仔犬に最も必要なことは「安眠」
仔犬とは生後1年未満の月齢の犬をさします。
仔犬を家族に迎え入れ、一気におうちの中が賑やかになり、可愛い姿にとっても癒されます。
ですが、仔犬にとって最も重要な【安眠】は、その後の躾や環境により出来上がる性質に、大きな影響があることをご存じですか?
仔犬にとって、【安眠】はどのような影響をもたらすのでしょうか。
十分な睡眠時間は仔犬の心も体も健やかに育てます
仔犬にとって睡眠時間は1日に、15時間が必要です。
一日の半分以上の時間を寝て過ごします。
これは、体の成長をスムーズにするだけでなく、精神的に安定した生活を過ごさせるために、最も重要です。
もし、迎えたばかりの仔犬が可愛いと、かまいすぎて睡眠時間が十分にとれないと、すぐに体調不良になってしまいます。
- 食欲不振
- 夜泣き
- 下痢
仔犬は寝ている間に体が成長します。
かまいすぎで睡眠時間を奪ってしまうことは、仔犬の成長を妨げる原因となってしまうのです。
仔犬を迎えて1か月程度は、食事と掃除の時間以外はクレートやサークルの中でぐっすりと眠らせてあげなければいけません。
睡眠不足から、食欲不振や下痢を引き起こし、未発達の消化器官は疲れて下痢を引き起こします。
超小型犬では、体重減少と下痢は命の危機に直結してしまうこともあります。
また、睡眠不足から精神安定が保てず、夜泣きや要求泣きが何日も続き、食欲不振に繋がってしまいます。
仔犬は好奇心旺盛ですので、室内フリーにしておくと、たくさんの物に興味を示し、おうちの中の探検などで、ずっと興奮状態になってしまいます。
元気に動き回っている仔犬が突然、パタリと死んだように眠るのは、体力がまだ備わっていないためです。
- 閉じ込めておくのはかわいそう
- 抱っこしてあげれば落ち着く
- 自由に育てたい
- 仔犬に触れていたい
これらの飼い主さんの想いや行動が、仔犬にとっては大きな負担となってしまいます。
仔犬を迎えたら、最初の1か月は仔犬の睡眠確保は、飼い主さんの最も重要な責任です。
乱れた体内時計を整えるための睡眠
ペットショップから迎えた仔犬は、生活時間が乱れています。
展示販売され、睡眠時間であるにも関わらず、購入希望の方に抱っこされたり、多くの人が入れ替わりやってきては覗かれたり興奮させられたりします。
そのため、最も良いとされる仔犬に必要な睡眠時間を取れていません。
おうちに迎えたらまず、乱れた体内時計を正常に戻してあげる必要があります。
ワクチン接種が済むまでの期間は、日中のお昼寝から目が覚めて動き始めたら5分程度ベランダやお庭に出て、優しいお日様の光を浴びさせてあげたり、カーテン越しに柔らかい日差しの下で過ごさせてあげたりすることも体内時計を正常に戻してくれます。
また、日光浴は自己免疫力の向上やビタミン生成にも役立ちます。
※仔犬のケージやクレートを日が当たる窓際へ置くのは、熱中症の危険があります。
最初の1か月間 仔犬の睡眠時間のとらせ方
1、 サークルケージやクレートは、静かで明るすぎない場所に設置する
2、 興味津々により興奮してしまう場合には、目隠しを設置する
3、 仔犬が自ら起きてくる以外は起こさない
4、 食事、排泄物の掃除、ボディケア以外は必要以上に触らない
5、 泣いても暴れても、反応せずに根気強く待つ
6、 仔犬との時間は、仔犬が自ら起きているときのみに限定する
7、 1日15時間以上の睡眠がとれるように心がける
8、 室内フリーは極力させず、興奮させ過ぎない
9、 起きているときでも静かにしていればかまわない
10、寝ているときは絶対に起こさない
仔犬は、風通しがよく、静かで少し薄暗い場所が落ち着きます。
少しの時間出してほしい、かまってほしいと泣いたり騒いだりすることもありますが、静かに放っておくといつの間にか眠っています。
いつも空腹が満たされず、睡眠時間が短い仔犬は適量のご飯の回数を仔犬の起床タイミングに合わせて細かく与えましょう。
お腹がいっぱいになるとよく眠ってくれます。
また、ドッグフードに記載されている月齢ごとの給与量はあくまでも目安です。
体格に合わせたり、眠りが浅いときには給与量を増やしたり、回数のみを増やしたりして調整しましょう。
フードの給与量が分からないときには、獣医師に相談して調整しましょう。
仔犬の安眠が心の成長に大きな影響を与えます
仔犬の時期に、安眠、熟睡が適切に保たれていると、その後の成長で精神安定のある成犬に育っていきます。
本来仔犬は母犬に守られて安心して眠り、お腹が空けばいつでもおっぱいを飲める環境で育ちます。安定した心を育てていくためには、仔犬の時期の睡眠がとても重要なのです。
また、トイレの躾や、その他の躾に関しても最初の1か月を限られた範囲で過ごさせることで、覚えも早くなります。
室内フリーの状態で自由に過ごさせていると、興奮して頻尿になり、トイレの失敗も多くなります。何も悪いことをしていないのに、トイレを失敗して叱られる経験は仔犬にとって必要なことではありません。
仔犬が、たくさんご飯を食べて、よく眠り、正常な排泄ができていることは喜ばしいことです。
仔犬の時期に安眠が取れなかった仔犬の成長
もし、仔犬の時期に自由勝手に過ごさせ、過度にかまいすぎて育ってしまうと、どのような影響があるのでしょうか?
- 落ち着きがなく、いつも興奮している
- 自分の思い通りにならないと吠える、泣く、怒る
- 内臓、消化器官が弱くなる(下痢や嘔吐しやすい体質)
- 飼い主への分離不安症
- イタズラと破壊行動が成犬になってもおさまらない
- 食が細くなる又は、過食になる
- 集中力がなく、躾やトレーニングが入りづらい
- 怒りやすい、イライラしやすい
など
これらの状態は人間に置きかえると分かりやすいのではないでしょうか?
連日の睡眠不足で、急激に食欲が低下し胃が持たれるような感覚になることがあります。
集中力がもたず、ミスが多くなり、聞いたことを記憶できない。
目の奥が染みるように怠く重たく感じ、少しのことでイライラを感じ、下痢をすることもあります。このような状態では、健やかな成長はできないことが分かると思います。
スッキリと目覚めた朝のような清々しい毎日を過ごさせてあげるために、【安眠】はとても重要なのです。
仔犬のしつけや 環境へ慣らすことを焦らない
仔犬を家族に迎えると、できるだけ早くトイレのトレーニングを始めて、できるだけ早くしつけを始めて、家や家族、環境に慣らさなければいけないと焦ってしまう飼い主さんは多くいます。
【いい子にしたい】
【早くしつけないと覚えられなくなる】
【トイレの躾が一番大切】
飼い主さんは、迎えた仔犬を良い子に育てたいと考えます。
ですが、焦らなくても犬のしつけは何歳からでも教えることが可能です。
迎えて1か月を、仔犬の睡眠時間を優先して、しつけを始めないことでその後しつけられないなどの悪影響はありません。
逆に、安定した精神状態で育てることで、飼い主さんが望む【いい子】に育てる一番の近道になります。
仔犬の様子を見ながら その子に合ったタイミングで成長させる
仔犬を家族に迎えて1か月を過ぎるころには、それぞれの特徴がでてきます。
- 食欲旺盛
- 静かに飼い主さんを見つめている
- 一人遊びが上手
- おしっこをするタイミングが定まる
- 起きている時間が長くなってきた
- 遊びに誘ってくれるようになった
犬にもそれぞれの個性があり、犬種が同じでもそれぞれ全く異なる性格をしています。
体力もついて、起きている時間が増えたり、飼い主さんの声に反応したりと、心も順調に育っていきます。
それでも生後1年を迎えるまでは、睡眠が必要な仔犬であることは変わりませんので、遊びのあとは十分な休息をとらせ安心して眠れる環境は整えてあげましょう。
少しずつ分かってくる、個性や性格に合わせてしつけの仕方を工夫して、その子に合わせた成長をサポートしてあげましょう。
まとめ
いかがでしたか?
初めて仔犬を迎える方も、2頭目を迎える方も、仔犬ではなく成犬を家族に迎え入れる方でも、応用できる【睡眠のとらせ方】です。
犬を迎え入れたときに大切なのは、少しでも早く家に慣らすということよりも、精神的に穏やかに過ごさせることです。
特に仔犬の場合には、体調や成長にも大きく関係する【睡眠】は、飼い主さんが最初に与えてあげられる【幸せ】なのです。
また、少し落ち着きがないという成犬や精神的に不安定だという成犬に対しても、この睡眠のとり方はおすすめです。
ぜひ、参考にしてみてください。