犬が会話を理解するポイント①単語の意味
犬が人間の会話を理解する要素のひとつは、やはり単語そのものの意味です。
人間同士の会話でも、犬に対する何気ない話しかけの中でも、犬は意味をある程度理解している単語や、聞いたことがある単語を抜き取って反応することがあります。
特に、「お散歩」「おやつ」「ごはん」など犬自身にとって得になることがある単語については、理解のスピードが速く、反応も強くなります。
寝ていると思った犬が、「おやつ」という単語を聞いた途端、飛び起きて寄ってくるなどという経験をしたことがある飼い主さんも、少なくないのではないでしょうか。
犬はゆったり休んで寝ているように見えても、飼い主の会話や言葉を耳に入れていて、自分と関係がありそうだと気がつくと、すぐに反応するのです。
犬が会話を理解するポイント②声のトーン
犬が人間の会話を理解する要素のひとつとして、「単語の意味」をあげましたが、それよりも、犬が言語を理解するために重要な要素とされるのが、その言葉を発するときの声のトーンです。
声の大きさ、高さ、スピードなどから、どういう感情でその言葉を発しているのかを、犬は非常に敏感に感じ取るのです。
実際、アメリカやオーストラリア、ハンガリーなど世界中の様々な場所で、犬の言語理解についての研究が行われており、声のトーンが言語理解に深く関わっているということがわかっています。
MRIなどを用いて脳の反応を確認する研究では、同じ単語でも発するトーンによって、全く違う脳の反応が見られることも多く、犬が人間の会話を理解する際には、単語そのものの意味に、声のトーンがプラスされることで解釈、認識を行うことができると考えられています。
言葉の意味としては褒めていたとしても、そこに感情がこもっていない場合などは、犬がうれしいと感じることはなく、脳は無反応となるという実験結果なども出ています。
口先だけで褒めたり、ごまかそうとしたりしても、犬には通用しないということなのでしょう。
犬が会話を理解するポイント③表情、雰囲気
人間同士の会話を犬が理解する際、言葉そのものの意味はわからなくても、声のトーンと同様に話している人間の表情や態度、その場の雰囲気などから、ある程度理解することができると考えられています。
この場合は、話の内容そのものというよりも、その話をしている人たちが楽しそうなのか、仲が良いのか、喧嘩をしているのか、悲しんでいるのかなど背景や、状況を理解できると考えた方がいいでしょう。
飼い主と長く暮らしていると、ため息ひとつにも反応するようになったり、会話の途中のボディランゲージなども理解するようになってきたりするのです。
当然、犬はその会話に加わることはありませんが、喧嘩をしている家族の間に割り込んできたり、機嫌の悪そうな飼い主から離れた場所に隠れたり、楽しそうにしている飼い主の近くで一緒にうろうろしてみたり、まるで人間の子供のような行動を取るようにもなってくるのです。
まとめ
犬が人間同士の会話や、何げない話しかけの内容を理解するためには、単語そのものも意味だけでなく声のトーンや表情、その場の雰囲気などを総合的に判断すると考えられています。
人間の感情に敏感で、コミュニケーション能力に優れる犬たちは、同じ言葉でもそのトーンによっては、別の意味でとらえることすらできると考えている研究者もいます。
犬に話しかけるとき、犬がいる場所で人間同士が会話をする場合にも、犬が不安になったり心配になったりしてしまわないよう、話し方や態度にも十分気をつけた方がいいでしょう。
繊細な犬の場合、家庭内での言い争いや嫌みの含まれた発言などで、ストレスを感じてしまうこともあるのです。
「どうせ犬には何を言ってもわからない」などと考えず、人間同士が気遣いを持って会話をするように、犬に対しても接するように心がけましょう。