犬に絶対してはいけないしつけ方
私たちとともに暮らすためには、愛犬に対してしつけをすることは必要不可欠です。
無駄吠えや問題行動など、ダメなことはダメだとしっかり教えてあげなければいけません。
しかし、犬をしつける際、絶対にしてはいけないしつけ方があることをご存じでしょうか。
ここでは、してはいけないしつけ方を6つご紹介します。
1.手をあげてしまう
まず「しつけ」と称して叩くことはもちろん、蹴ったりするなど、暴力行為をすることは絶対にしてはいけません。
これは飼い主がしつけと考えていたとしても、ただ単に犬を恐怖で支配しているだけにすぎないからです。
「ダメでしょう」と言い、手を振りかざし叩いてしまったとしても、犬は人間の言語をはっきり理解しているわけではないため、「なぜ叩かれたのだろう」と理不尽さを感じます。
同時に、飼い主に対して恐怖を感じ、信頼関係が崩れる可能性があります。
一時的に、「また叩かれるかも」と思わせることで、反省したように見えるかもしれませんが、犬は「何が悪かったのか」という考えよりも、「怖い」「痛い」という感情の方が上回っているため、本当のしつけにはなりませんし、かえって問題行動を悪化させる可能性も高いです。
2.突然怒鳴りつけてしまう
しつけの際に手をあげることはもちろんいけないことですが、叱る際に感情にまかせて怒鳴りつけることも、しつけ上、良い方法とは言えません。
これも、先ほどの手をあげることがなぜダメなのかという理由と同じです。
「こら!」と突然大声で怒鳴りつけられてしまうと、犬は「悪いことをしてしまった」と考えるのではなく、「怖い」「なぜ」といったように恐怖を強く感じます。
したがって、本当の意味でしつけをできているとは言い難いです。
また、突然怒鳴る、感情的になるといった落ち着きのない行動に対し、犬は「この人は頼りがいがない」「リーダーとしての資質がない」と判断を下すことがあります。
すると今後、様々な場面で愛犬が言うことを聞かないという場面が多くなる可能性があるのです。
3.怒りながら名前を呼ぶ
実は、叱るタイミングで愛犬の名前を呼ぶこともしてはいけないしつけ方に含まれます。
「名前を呼んだ方が理解しやすいのでは?」と思われるかもしれませんが、実際犬は自分の名前を名前だと理解していません。そもそも名前という概念がないからです。
例えば、「○○という言葉は良いこと(散歩やごはん、おやつなど)が起こる前触れ」という覚え方をしていることが多く、だからこそ、名前を呼ぶと嬉しそうにこちらに寄ってきてくれたりします。
しかし、叱るときにばかり名前を呼んでしまうと、その名前を「怖いことが起こるときに発される言葉」というようにネガティブな捉え方をしてしまいます。
そのため、ふだんこちらが名前として呼びかけたときも、嫌々近付いてきたり、中には聞こえないふりをしたりする犬もでてきます。
絶対に叱るときに名前を呼んではいけない、とまでは言いませんが、叱るときばかり名前を呼ぶのではなく、ふだんから良いことが起こるときにたくさん名前を呼んであげるようにするべきでしょう。
4.叱るタイミングを間違える
トレーニングのため、あるいは悪いことをしてしまったから叱るといった行為は、飼い主ならば誰でも通る道です。
しかし、間違いを指摘したり、叱るタイミングを間違えたりしてしまうと、しつけにならなくなってしまう恐れがあります。
例えば、愛犬が悪いことをしてしまい、時間が経過してしまった場合、犬は自分が悪いことをしたという事実を忘れてしまうことがあります。
時間が経過してから「ダメでしょう」と叱っても、なぜ叱られているのかを理解することができないため、ただ感情のまま怒る飼い主と映ってしまうことがあります。
すると、こちらはしつけのために叱っていたとしても、愛犬からしてみれば「理不尽」と感じてしまうため、何度も繰り返していると信頼関係を上手く築けない原因となり得ます。
もしも、外出時に起こした問題行動などを叱る際には、時間が経過してしまっているため、その問題対象(トイレの失敗やいたずら現場など)を指さし、冷静に叱ることで理解させることが可能です。
5.叱る際に笑顔を見せてしまう
愛犬が可愛いからといって、しつけの際に笑顔を見せてしまうこともNGです。
これはトレーニングではなく、叱る際に笑顔を見せてしまうという行為がいけないということを覚えておきましょう。
犬は自分が怒られている、これはダメなことなんだと理解する基準として、飼い主の声のトーンや表情から判断しています。
そのため、笑顔で「ダメでしょ~」と言ったところで、叱られている実感は湧きませんし、中には飼い主が笑顔を見せていることによって「飼い主さんが喜んでいる」と勘違いする犬もいます。
犬を叱る際に怒鳴ることはNGですが、声のトーンをいつもより低く意識し、表情硬めで接することで「叱られている」「悪いことをしてしまったんだ」という意識を持たせましょう。
6.顔に手を当てて無理やりこちらを向かせる
愛犬を叱る際、愛犬が飼い主から目を反らすという光景はよく見ます。
しかしこれは話を聞いていないのではなく、「もう怒らないで」「ごめんなさい」といった意思表示(ボディランゲージ)なのです。
そのため、既に悪いことをしたと理解している犬に対し、追い打ちを掛けるように犬の顔に手を当て、無理やりこちらを向かせることは、恐怖心を煽るだけの行為となってしまいます。
特に至近距離でジッと相手の目を見つめる行為は、叱っている最中であれば、飼い主であっても「敵視されている」と認識されることが多く、飼い主に対する恐怖心を植え付ける結果となる可能性があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
中には、ついつい叱る際にしてしまっているという行為もあったかもしれません。
しかし、このような叱る際のNG行為は、愛犬との信頼関係をこじらせてしまう恐れもあります。ぜひ冷静に声のトーンや表情を使い分け、正しく叱ることができるよう努力しましょう。