犬にとっての夏の危険と注意点
熱中症、やけど
犬は全身を毛に覆われており、さらに汗をほとんどかかないため体温を下げるのが苦手だとされています。そのため夏の暑さで体温が上昇し熱中症にかかりやすいので、室温調整や外出時の水分補給には十分注意をしなくてはなりません。特に問題となるのが車内で起こす熱中症。ほんの数分でも締め切った車内はあっという間に温度が上がってしまうので、夏の間は絶対に車内で留守番をさせることのないように気をつけましょう。犬が熱中症にかかった時の死亡率は30~50%とも言われており、命をおびやかす非常に危険なトラブルです。また、日差しの強い日にはアスファルトが非常に熱くなっているため、肉球をやけどしてしまうことがあります。夏の外出時には飼い主が手でアスファルトの熱さを確認するようにしましょう。
ダニや蚊による被害
夏のように気温が上がってくると犬に寄生するノミやダニ、蚊などの活動が活発になってきます。ノミやダニは自然豊かな山などだけでなく、近所の公園や道端の草むらなどにも潜んでいます。これらの虫は犬にさまざまな病気をもたらし、最悪の場合死に至らせることもあるので虫よけや駆虫薬で対策を取るとともに散歩から帰った後は全身をしっかりとチェックしましょう。
水による事故
夏になると暑さのため公園などでのお散歩がままならないということもあると思います。そのため水が好きな犬はプールや川、湖などで水遊びをさせることもあるでしょう。水遊びの際にはおぼれてしまったり流されてしまったりといった水難事故を防ぐため、水流がない場所や足の着く場所を選んだり、ライフジャケットを身につけさせるなど十分に注意しなくてはなりません。
犬にとっての冬の危険と注意点
低体温症、ヒートショック
犬は被毛のおかげで基本的には寒さに強い動物だとされていますが、体温調節が苦手な子犬や老犬、疾患を抱えている犬などは寒さによって低体温症になってしまうことがあります。また、保温性の高いアンダーコート(下毛)を持たないシングルコートの犬も低体温症にかかる危険性が高いとされています。また、あたたかな室内と寒さの厳しい外の急激な気温差でヒートショックを起こしてしまう犬もいるので、洋服などを利用して気温差が激しくなりすぎないように注意しましょう。
やけど
犬はあたたかく快適な場所を好むことから、暖房の目の前で寝たりこたつに潜り込んだりする様子も多く見られます。しかし、近づきすぎたり長時間そばにいることで気がつかないうちにやけどを負ってしまうことも少なくありません。ストーブなどには近づけないようにガードをつけたり、こたつにすっぽり潜り込んでしまったりしないよう気をつけてあげてください。
誤飲、誤食
冬はクリスマスやお正月、バレンタインデーとさまざまなイベントがあります。人が多く集まった時など普段は気をつけている誤飲や誤食が発生しやすいので注意しましょう。特に誤飲誤食が多くトラブルになりやすいのがクリスマスに食べるチキンの骨やお正月のお酒、バレンタインのチョコレート。犬の手や口が届いてしまう場所に置きっぱなしにしない、人がその場を離れないなど管理を怠らないように気をつけましょう。
季節ごとの危険レベルは犬種によって違う?
夏、冬それぞれに潜む犬にとっての危険性の中でも、やはり気になるのは気温に関わるトラブル。熱中症や低体温症がそれに当たりますが、その危険度は犬種や犬の持つ特徴によっても変わってきます。
暑さに弱いとされている犬には次のような特徴があります。
- 北方原産でアンダーコートが密集し被毛が分厚い犬種
- 短頭種
- 子犬や老犬、病中病後犬
- 肥満傾向にある犬
- 足が短く体高が低い犬
これらの犬は呼吸機能や体温調整機能が未熟で正常に働かなかったり、体温が体にこもりやすいため特に熱中症にかかりやすいと言われています。本格的な夏が始まる前でも気温や湿度管理に十分気をつけましょう。
また、寒さに弱いとされている犬には次のような特徴があります。
- アンダーコートのないシングルコートの犬種
- スムースコートなど超短毛犬種
- 子犬や老犬、病中病後犬
犬は基本的に寒さに強い傾向にありますが、それはしっかりとした被毛に体が覆われているからです。そのため被毛量が少ない犬や短い犬は寒さへの抵抗力が弱いとされています。また、完全室内飼育の犬は外で暮らす犬に比べてアンダーコートが十分に発達せず寒さに弱くなると考えられています。
犬にとっては夏の方が危険だが個体差もあり
夏と冬のどちらにも犬にとっての危険はありますが、最も起こりやすく気をつけなくてはならないのはやはり熱中症だと思います。また、熱中症は死亡率も高いため命をおびやかすものとして危険性が高いということもあるので特に注意が必要です。ただし、暑さや寒さに対する抵抗力は犬種や個体によっても大きく異なるため日頃から犬の様子をしっかりと観察して適切な管理を行いましょう。