保護犬の譲渡を希望する場合
誰しも初めての経験というものはあります。もちろん犬を飼うということも例外ではありません。初めて自分の犬を飼おうと思った時、その入手経路は何パターンかありますが一般的にはブリーダーやペットショップでの購入という形になるでしょうか。
この場合、多くは子犬の状態で販売されるため一度飼育を始めたら10年~15年、長ければ20年近い付き合いを想定しなければいけません。愛らしい子犬の顔を見てしまうと、この先10年、15年買い続けることができるかどうか、しっかり考える暇もなく衝動的に(一目ぼれして)飼ってしまうことも多いようです。しかし犬を飼うときはちゃんと自分が犬を飼い続けることができるかどうか、しっかり考える必要があります。
保護犬の譲渡を希望する場合も同様です。成犬になっている場合が多いので子犬のころから飼うより付き合いは短くなるでしょうが、かわいそうだからという一時の感情で引き取るわけにはいきません。その後何年も続く犬と暮らす生活をシミュレーションしてみましょう。
飼養の費用
犬を飼育するには日々のごはん代の他に室内飼いであればケージやペットシーツ、クッション、おもちゃなどの消耗品、ワクチンや病気の際の医療費など、年間で10万円以上のコストがかかります。中型犬、大型犬の場合はもっと食べるので費用は掛かりますし、トリミングが必要な犬種であればもっとかかります。年をとれば医療費がさらに追加されるでしょう。経済的に不安がある場合は、たとえどんなに犬が好きであっても勢いで犬を引き取ってはいけません。
10年の付き合いとなることを考慮すると、小型犬でさえ生涯にかかるコストは200万円を超えることになります。ご自身の経済状況で飼えるかどうか、しっかりと考える必要があります。
年齢と体力
犬にとって日々の散歩は運動とストレス発散に重要な意味を持っています。小型犬では室内で遊んでいたら大丈夫などともいわれていますが、外出で受ける刺激や運動量は室内の遊びの比ではありません。小型犬であっても一日一回は外に連れ出してあげましょう。大型犬ともなれば体重×1分以上の散歩は必須です。
となると、犬は一人で散歩に行くわけにもいかないのでそれに付き合う人間が必要となります。しかし若いころはこれに付き合えても、人間も年を取るわけです。10年後の自分の年齢と体力を考えてみましょう。
しつけの労力
保護犬は一般的に「飼い主に捨てられたかわいそうな犬」と考えられ、心に傷を負ったケージで震えている人間不信、と思われがちです。もちろん虐待されて人間不信に陥り怯えている犬もいれば、スーパーハイテンションな犬、やたら好戦的な犬、他者に興味が薄い犬など、個性はそれぞれです。
保護犬を飼う際は、問題行動を起こす子が多くその矯正でとても難しそうと考えられがちです。しかし子犬のように性格をこれから形成するのではなく、ある程度個性が出来上がっている成犬であることが多いため、その個性を把握することができればその後のしつけやトレーニングに反映させやすいといったメリットもあります。どれだけご自分が犬のしつけに労力を割くことができるかどうか、それもシミュレーションしてみてください。
保護犬の引き取り方
いろいろ考えてみたけれど、自分は保護犬を引き取って一緒に暮らしていこうと考えた場合、愛護センターや保健所にて里親募集案内等を確認しましょう。多くの都道府県の動物愛護センターでは、日々保護犬の情報をホームページなどに掲載しています。譲渡を受けることができる人についても同様に掲載されているため、まずは最寄りの愛護センターへ問い合わせてください。
各愛護センターでは独自に譲渡の基準も設けていたり、調査票等があったりして、で終生飼養できるかどうかを確認された上で動物とのお見合い(マッチング)が設定されるでしょう。その際、初めて犬を飼う旨もスタッフの方に伝えてみると、飼育に関するアドバイスや飼い方講座、しつけ教室などを紹介してもらえます。
まとめ
いかがだったでしょうか。犬を飼った後の10年はシミュレーションできましたか?
子犬から飼育しようと、成犬を引き取ろうと、犬との付き合いは長いものになります。初めて犬を飼う場合は戸惑うことも多いと思いますが、保護犬を引き取ることは不可能なことではありません。犬と一緒の生活をよりよくしたいという気持ちがあれば、きっと大丈夫です。困ったときは譲渡元の愛護センターなどに相談し、しつけや飼い方のアドバイスをもらってくださいね。