犬にとって「安心」ってどんなこと?
「犬に安心してもらう接し方」を考える前に、犬にとっての「安心」とはなにかをまず、考えてみましょう。
そもそも、「安心」とはどんな状態のことを言うのでしょうか?
安心の意味
辞書を引くと、「安心」とは、
- 気にかかかることがなく、心が落ち着いていること
- 物事が安全、完全で、不安を感じないこと
となっています。
愛犬が「安心」している、という事は、「不安」を感じることなく、心が落ち着いている、ということになります。
「愛犬に安心してもらう」という事は、つまり、「愛犬を不安にさせないこと」であり、また、「犬に信頼されている」ということでもあると言えます。
犬に安心してもらうための接し方2つ
今回は、初対面の犬や、不特定多数の犬に対して「安心」を与えるための記事ではありません。
「飼い主さんが愛犬に安心て貰う」あるいは、「飼い主として、愛犬を常に安心させる」ための心構えとしての方法を2つ、ご紹介したいと思います。
- 犬に不安を感じさせない接し方をする
- 犬が生活していく上で、なんの不足も不満も感じさせない接し方をする。
では、それぞれ具体的にどのような方法なのかをご説明していきたいと思います。
犬に不安を感じさせない接し方をする
まず、愛犬を迎え入れて日が浅く、まだ飼い主さんも犬の扱いに慣れておらず、愛犬の方も、まだ警戒心が強くて、飼い主さんに懐いていないような時期、まずは、「犬と仲良くなる」必要があります。
そんな時、「犬に不安を感じさせない接し方」を実行してみましょう。
犬と向かい合って立たないこと。
犬の目の前に立って、犬の目を見つめる、という行為は、犬の習性からすると、「威圧」している、と捉えると言われています。
4本足の犬より、二足歩行の人間の方が高い位置に目があり、犬の真正面に立って犬を見下ろす形になると、犬からすれば「威圧されている」と感じさせてしまいます。
まずは、犬と並ぶように横に立って、自分の体の側面を見せ、「敵意がない」ことを犬に伝えることから始めてみましょう。
唐突に大声を出さないこと。
人に良く慣れている犬でも、穏やかな気持ちで飼い主さんと散歩を楽しんでいる時、側に金切り声を出してはしゃぐ子供さんの声にいら立って、吠えかかったりすることがあると思います。
犬が心から信頼して、好意を持ってくれていると確信できるまでは、犬に向かって大声をあげるべきではありません。
犬の側で大きな音を立てないこと。
大きな物音は、犬を驚かせ、その音の原因が犬が理解出来ないと、犬が驚いてしまいます。
それが生活している空間の中でたびたび、理解不可能な大きな音が出ているとなると、ストレスがたまったり、「また、あの怖い音がするかも…」と常に怯えるようになってしまうことも考えられます。
犬が自分から近づいて来てから、犬の体に触れること。
人間でも、気心の知れない相手に、なれなれしく体に触られるのはイヤですよね。
犬の場合は、「この人は、信頼できる」「この人は怖くない」と犬自身が判断すれば、犬の方から興味を示して近づいて来ます。
逆に、犬が無関心か、警戒している時に、強引に人間の方から犬の体に触ると、犬に不安と恐怖を与えてしまい、噛まれることもあるので、犬の方から近づいてこない時は、無理に犬の体に触れない方がよいでしょう。
犬が生活していく上で、不足を感じさせない接し方をする
犬でも、人間でも、いつもお腹が空いていて、寝床が不潔で、いつ、命が尽きるかわからないほど危険な場所で生きているような日常生活は、到底「安心」とはほど遠い生活だと言えます。
では、「犬が安心して暮らす」ために、私たち飼い主は、愛犬のためにどんなことが出来るのでしょうか。
犬との約束は必ず守ること
「どうせ言葉なんてわからない」「どうせ、人間の事情なんてわからない」と思わずに、もし、愛犬に「いい子にしていたらご褒美をあげるよ」などと、約束をしたなら、必ず守りましょう。
犬の知能は、4歳児程度の知能があると言われています。犬種や個体によっては、もっと知能の高い犬もいます。
例え、相手が動物であり、言葉の意味が理解出来ていなくても、飼い主さんが声に出して、言葉にし、愛犬と交わした約束は、必ず守るようにしましょう。
例えば、「週末、お天気が良かったら遠くまでお散歩に出かけようね」「お利口にお留守番が出来たから、おやつをあげよう」など、飼い主さんにとったら些細なことでも、愛犬にとれば、自分に向けられた飼い主さんからの愛情あふれる言葉なら、その意味を理解して、楽しみに待っているかも知れません。
トレーニングや躾だけが愛犬の信頼を得るのではなく、飼い主さんの誠意ある行動も、愛犬の信頼を得るためには必要不可欠です。
遊ぶ時は、飼い主さんも一緒に楽しむこと
厳しく躾けるだけでなく、愛犬が心から楽しんでいる時は、飼い主さんも一緒に心から楽しみましょう。
居心地が良く、絶対に安全な居住空間を犬に与え、十分に食事も与えていること
なにも警戒することなく暮らすことが出来て、眠る場所が安全で、常に十分に食事が与えられている環境で、不安になる犬はいません。
「犬を不安にさせない飼い主」になるために
いつも落ち着いていること
普段の日常生活でも、大声を出したり、大きなものを立てたりしないで、常に飼い主さんの心が穏やかで、落ち着いていれば、愛犬もなんの不安要素もなく、安心して暮らすことが出来ます。
犬を叱る時は毅然とした態度をとること
犬は、集団生活の中で統率が取れている状態にいる方が、精神状態が安定します。
「家族のルール」を犬が破った時は、その群れのリーダーとして、毅然と犬を叱り、決して反抗させないように毅然とした態度をとります。
そうすることで、犬の信頼を得ることが出来、犬の精神状態を安定させることが出来ます。
犬に話しかける時は、常に笑顔で優しい声で話すこと
言葉の意味が完全にわからなくても、愛犬はあなたの声と笑顔が大好きです。
「自分は飼い主さんに愛されている」と愛犬が日々、確信していられることが、愛犬の安心につながります。
まとめ
飼い主として、愛犬が常に安心して過ごせるように心を砕くことは、子育てをしている作業にとてもよく似ていると思います。違うのは、人間の子どもは言葉で話してコミュニケーションが取れて、気持ちを伝えることが出来るけれど、愛犬は飼い主さんの行動と態度で愛情を伝えるしか術がない、ということです。逆に言うと、言葉による誤解や行き違いが生じない分、本当の愛情をダイレクトに伝えることが出来る、ということになります。愛犬に安心して貰えるかどうかは、飼い主さんの心がけと行動次第です。