犬のマウンティングの心理①優位性を示すため
実は犬同士、犬と人の関係性をつくり上げるためにマウンティングを行うことが多くあります。公園などでオス同士のマウンティングをしている時や、家族の中で子供にだけマウンティングをする、あまり知らない人に対してマウンティングをするなどの場合はこの理由から行っている可能性が高いでしょう。
生まれたばかりの子犬が兄弟犬同士でもつれ合うようにして遊んでいる中で、上に乗った方が強いものであるという意思表示、社会的なコミュニケーション方法を学びます。下にいることを受け入れた犬は上になった犬を自分よりも文字通り「上」の地位にいる存在として認めたことになるとされています。そのため自分と力が互角だと感じた場合や、自分の方が上の存在だと示しておきたいという場合にマウンティングを行うのです。
犬のマウンティングの心理②性的本能
犬のマウンティングというと交尾のため、性的な本能と考える人が多く、そのため愛犬が人や他の犬に対してマウンティングをしていると恥ずかしいと思ってしまいがちです。
性的な本能からマウンティングをするのは、発情期を迎えたメス犬のフェロモンに反応してオス犬が子孫を残すために行う動物の本能として正常な活動です。しかし、発情期のメス犬にオス犬がほんの短い時間マウンティングしただけでも妊娠してしまうことがあるので十分気をつけるようにしましょう。
犬の性的本能は強く抑えるのは非常にむずかしいもの。1km離れたところでも発情期のメスのフェロモンをかぎつけ、外飼いの犬であれば鎖を引きちぎって行ってしまうこともあるほどなので室内飼いの犬を含め、ふとした拍子に脱走してしまわないよう注意が必要です。また、発情期を迎えたメス犬の飼い主はさらに注意が必要。ドッグカフェやドッグランなど他の犬が集まる場所への外出は控え散歩も犬の少ないコースや時間を選ぶなど最新の注意を払いましょう。そうすることでオス犬のマウンティング、それに伴うトラブルを防ぐことができるのです。
犬のマウンティングの心理③遊び
子犬や遊びが大好きなタイプの犬に多いのですが、特に理由なく遊びのひとつとしてマウンティングすることがあります。この多くは人に対して行われるもので、何気なくマウンティングをした時に人がおおげさに騒いだり笑ったりしたことなどを経験していると、マウンティングを楽しいことと認識して何度もくり返してしまうことがあります。
かまって欲しいと感じた時、さみしさやストレスを感じた時などにもすることがあるので、このような理由からマウンティングをしていると考えられる場合は別のスキンシップや遊びに移行して十分なコミュニケーションを取るようにしましょう。
犬のマウンティングをやめさせるためには適切な対応が必要
このように犬のマウンティングにはさまざまな理由があります。そのため、理由を理解せずにただ叱ってやめさえようとしても何度もくり返してしまうと思います。優位性を示すためにマウンティングをしているようであれば基本的にはトレーニングやしつけをし直すなど関係性を見直すことが大切。遊びでマウンティングをしている場合は静かに体を離して、笑ったり話しかけたりせず徹底的に無視するといいでしょう。発情期のメス犬に対するマウンティング以外の場合、性的興奮でマウンティングをしていることは実はあまりないのですがその場合はほかに気をそらして忘れさせるようにするといいと思います。
犬のマウンティングを予防したい、やめさせたい場合は飼い主がしっかりとその理由を考え、適切な対応をすることが大切です。まずは犬をしっかりと観察して日頃の関係性や犬の感情を理解できるようにするようにしましょう。