犬の歯の役割とは?
犬の歯も人間と同じように生え変わります。
乳歯は生後3週間前後から生え始め、約2ヶ月ですべて揃います。
そして永久歯は生後4ヶ月過ぎから生え始めます。6〜7ヶ月頃には生え変わりが終わり、すべての歯が永久歯となります。
犬の歯のほとんどは肉を切り裂きやすい尖った形をしており、食べ物をすりつぶす習慣はありません。
歯は食べ物をすりつぶすよりも、丸呑みしやすいサイズに噛み切る役割をしています。
犬に多い歯のトラブル!
歯周病
成犬の多くが「歯周病」という歯のトラブルを抱えています。
歯周病は歯垢や歯石が原因で起こる炎症で、口臭や出血などの症状が見られます。
成犬の約8割が歯周病にかかっているという話もあり、犬に多い病気です。
動物病院での歯石除去などの治療もありますが、全身麻酔が必要であるため高齢になると体に負担がかかります。
毎日のデンタルケアで歯周病を防ぐことはできますので、最低でも2日に1回は歯磨きをしてあげると良いでしょう。
まずは口の周りを触ることから始めて、徐々に口の中を触られる感覚に慣らしていきましょう。
指に巻いて使う歯磨きシートやガーゼなどでこすったり、歯ブラシを使ってケアしてあげてください。
歯ブラシを嫌がるようであれば、犬の好きな肉汁などを少しつけて臭いをかがせたり、舐めさせたりしながら口の中へ入れていきましょう。
もしもうすでに歯石や歯垢がついていて落ちないときは、動物病院で相談してみてください。
歯が折れる、削れる
喧嘩や事故、硬い骨やひづめなどを噛んで歯が折れたり、削れたりすることがあります。
折れ方や削れ方によっては痛みを感じたり、細菌感染を起こすことがあるのですぐに治療する必要があります。
歯の折れたり削れたりした部分を樹脂などで補う治療もありますが、ひどい場合には歯を抜いてしまうこともあります。
犬の歯は思っているよりも頑丈ではないので、あまり硬いものを噛ませすぎないようにしてください。
特に小型犬は歯が丈夫ではないので、与えるおもちゃやおやつには気をつけましょう。
歯がなくても食事はできる
犬は元々、歯を咀嚼にはほとんど使っていません。
食べ物を噛み砕いて食べずにほぼ丸飲みするためです。
そのため歯が多少なくても食事をすることはできます。
しかし、歯があるときとまったく同じようにすべてできるわけではありません。
たとえば、犬用のガムや蹄などはあげてはいけません。
犬は歯があるときと変わらず喜んで受け取るかもしれませんが、噛むことができずにずっと舐め続けます。
そのうち強引に丸飲みしてしまうかもしれません。
喉に詰まると命の危険もありますし、仮に飲み込めたとしても丸飲みは胃腸に大きな負担をかけることになります。
また胃が刺激されて嘔吐した際に、吐いたものが喉に詰まる危険性もあります。
犬が歯を失ったら、丸呑みしても大丈夫な大きさのものだけを与えるようにしましょう。
歯がない犬への食べさせ方
シニア犬や病気などで歯がない犬にあげる餌は特に異変がなければ通常のドッグフードでもかまいません。
丸呑みしても喉につまらない大きさであれば大丈夫です。
ただ少しお湯でふやかしてあげると食べやすいかもしれませんね。
缶詰やウェットタイプのフードを与えるのも良いかと思います。
人間の場合は噛み砕くことで唾液が分泌され、唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素で食べ物を消化します。
犬の場合は唾液にはほとんど消化酵素は含まれていません。
人間よりも胃の消化機能が優れているので、口の中で消化する必要がないためです。
「ほとんど噛んでいないけど大丈夫かな?」と思うこともあると思いますが、基本的には心配しなくても大丈夫です。
シニア犬や病気などで歯がない犬でも、丸呑みできる餌であれば体に不調がでることはほとんどありません。
ジャーキーやガムなどは噛みちぎらなければ丸飲みできず喉に詰まってしまうので、絶対にあげないようにしましょう。
どうしてもおやつがあげたいのであれば、子犬用のポーロなどがおすすめです。
まとめ
犬の歯は食べ物をすりつぶすために使われる形のものではないので歯がなくても食事をすることはできます。
健康でない歯をずっと放置するよりは、抜いてしまったほうが良いという話もあります。
歯肉に炎症が起こっていたり、歯がぐらぐらしている状態ではドッグフードがあたると痛みが出てしまいます。
犬の状態に合わせて歯を抜くのか、そのまま治療するのかを選択してください。
歯がなくて少し食べにくそうにしているのであればフードの大きさがあっていないのかもしれません。
粒が小さなフードにしてみたり、缶詰やウェットタイプのものにしてみてください。フードをふやかしてみるのも良いでしょう。
歯がなくても食事はできますが、歯の健康をおろそかにして良いわけではありません。
歯の健康は、飼い主さんの日頃のケアが大切になってきます。
愛犬のために定期的なデンタルケアや歯茎のチェック、与えているフードやおやつの管理などを一度チェックしてみてはどうでしょうか。