犬を飼うときに行うべき飼い主の義務8選

犬を飼うときに行うべき飼い主の義務8選

「犬を家族として迎えよう」と決めて、リード、ごはんのお皿、ペットシーツなど、いろいろと準備を整えました。そして、待ち焦がれていたあなたの犬がようやくあなたの「家族」としてあなたのところへやってきました!さあ、その日から、あなたにはそのコの飼い主としての義務が生じます。まずは、何からはじめればよいのでしょうか?

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犬を飼うときに行うべき飼い主の義務とは?

手続き系の書類

今回の記事でいう「義務」には大きく二つあります。
一つは、法的に私たち飼い主に課せられた義務。その法律を守っていないと、時に罰金を課せられたり、書類送検されたりします。
もう一つ目の「義務」は、「愛犬が健康に長生きし、幸せに生きていくために飼い主が行うべきこと」です。

①かかりつけの獣医さんを決め、健康診断を受ける

はじめて犬を家族に迎える時、その犬がとても元気そうで活発なら、いきなり獣医さんに連れて行く人はあまりいないのではないでしょうか?
けれども、人間の子どもさんを育てる時に、必ずかかりつけの小児科を決めます。
それから年を取ってくると、体の調子が悪くなった時、健康に不安を感じた時などに、すぐに病院に行って具合を診て貰ったり、病院の先生や看護師さんにいろいろと相談しますよね。
それに対して、動物は言葉を話せません。
それに、人間よりずっと寿命は短く、あっという間に成長し、あっという間に年を取ります。
それは、小さな子供さんや、体が弱って病気がちになったお年寄りと同じで、言葉を話せない動物を家族として大切に想うのなら、なにか異常があった時にすぐに診て貰える、かかりつけの獣医さんを決めておく必要があります。
また、病気や怪我だけでなく、この先に書き進めていく予防接種や、避妊、去勢手術、ワクチン接種など、獣医さんにお世話になることはたくさんあります。

よい獣医さんを探す方法とは?

今は、ネットでなんでも検索できる時代です。
ネットで評判を見て判断する…というのも、間違った方法ではありません。
ですが、最も信頼できるのは、すでに動物を飼っている人の話を聞くことです。
「~病院は、夜間診療がない」とか、「××病院の先生は、怖くで話しにくいけど、腕はいい」など、実際に通っている人から詳しい話を聞いて、いくつかピックアップしてみると良いかもしれません。
また、「よい獣医さんの探し方」こそ、ネットでいくらでも検索できるので、何を基準に「動物病院選び」の優先順位を決めるか、よく考えてみましょう。
例えば、距離的に通いやすい場所にある獣医さんを選べば、なにか異変があった時にすぐに獣医さんへ連れていくことが出来ます。

かかりつけの獣医さんを決めたら、健康診断を受ける

病院にもよりますが、獣医さんの定期検査は以下のような項目があります。

  • 触診、問診、打診、聴診
  • 血液検査
  • 尿、大便検査
  • エコー
  • 心電図
  • 身体測定
  • 歯科検診 
  • 眼科検診

予防接種も、避妊手術、去勢手術も健康に問題があればできません。
また、注射や手術をすることになりますので、犬も、獣医さんや、獣看護師に慣れておいたほうが、ストレスは小さいはずです。
そういったことも考慮し、まず、かかりつけの獣医さんを決めて、健康診断を受けましょう。

②狂犬病の予防接種

予防接種する犬

市町村の広報や、地方新聞、また、獣医さんのポスターなどで、大体春から初夏くらいの時期に「狂犬病の予防接種のお知らせ」というような情報を見かけることがあると思います。
「犬を飼ったら、狂犬病の予防接種は飼い主の義務」だと私は思っていましたが、なぜ、狂犬病の予防接種をしなけばならないのか、その理由までは知りませんでした。
皆さんは、狂犬病の予防接種がなぜ必要なのか、その理由をご存知でしょうか?

日本では絶滅しているはずの狂犬病の予防接種は、本当に必要?

日本は、1956年を最後に、狂犬病は発生していません。ですので、日本人は、狂犬病に対する知識や警戒心はかなり乏しく、狂犬病の予防接種の実施率も40%前後と、決して高くはありません。むしろ、もし、狂犬病が国内に発生したら、大流行するのを止められない可能性があるほど、危険な数値です。
いまだ、世界的には狂犬病が根絶されておらず、毎年5万人もの人が狂犬病で命を落としています。
それに、狂犬病に感染するのは犬だけはありません。
家畜、野生の区別もなく、予防接種をしていなければ、狂犬病はすべての哺乳類に感染します。
現在、島国である日本では、海外から犬を輸入する際には、検疫が厳しく、水際で狂犬病を食い止めることが出来ています。
けれども、外国から船に乗ってやってくる動物がいたり、売買目的のために動物を密輸入したり、いつ、どこで海外から狂犬病ウイルスに感染した動物が日本に入ってくるか、わからない状態でもあります。
もしも、海外からなんらかの要因で、狂犬病が日本国内に入ってきたとしても、自分の飼い犬がきちんと予防接種していたなら、感染の心配はありません。
逆に、もし、狂犬病の予防接種をしていなければ、感染した犬にあなたの犬が咬まれたら、あなたの犬は狂犬病に侵されてしまいます。
死んでしまうことはもちろん、それ以上に恐ろしいのは、感染して凶暴になったあなたの犬は、あなたを咬むかもしれないし、別の犬に襲い掛かって、さらなる感染の拡大の要因となってしまうかもしれません。そういった危険性がゼロではない以上、狂犬病が根絶されている日本にいても、狂犬病の予防接種が必要なのです。

狂犬病の予防接種の時期は法律で決められている

狂犬病の予防接種は4月1日から6月30日の間で行います。
それは、「狂犬病予防法」という法律で定められているからです。
生後、90日を過ぎた犬であれば、予防接種を受けることが出来ます。

③畜犬登録

紙の上に乗る犬

畜犬登録が必要な理由とは?

「狂犬病予防法」では、狂犬病の予防接種と市町村への登録が義務付けられています。
これは、「狂犬病予防法」上、飼い主の責任と所在を明確にするためです。
市町村によって、鑑札や予防接種証明書の発行手続きが違うかも知れませんが、私の住んでいる町では、狂犬病の予防接種をすると、証明書と鑑札の両方が同時にその場で貰えます。
畜犬登録をしておき、鑑札を犬の首輪にしっかりとつけておけば、災害時や犬が迷子になってもかなり見つけやすくなるはずです。
例えば、あなたが自分の犬が迷子になったのではなく、散歩に出かけた時、首輪をしているのに、飼い主さんの姿が近くに見当たらない犬を保護したとします。
その犬の首輪には、近隣の市町村の鑑札が縫い付けられていたら、その町へ問い合わせれば、迷い犬の飼い主さんをすぐに見つけることが出来ます。

④避妊、去勢手術

カラーを付ける犬

避妊、去勢手術が必要な理由

メス犬なら、最初の発情期が来る前に避妊手術をすることで、子宮、乳房、乳腺など、生殖に関わる器官に起こる病気の可能性を無くすことが出来ます。
それに、生理になることがなければ、いつでもドックランや旅行などのお出かけを一緒に楽しむことが出来ます。
また、オス犬も去勢することで、メス犬同様、精巣、睾丸などの生殖器を取り去ってしまうことで、病気のリスクを減らすことが出来ます。
さらに、オス犬はメス犬と違って、発情期に周期があるのではなく、発情したメス犬のニオイを嗅いで発情します。
その時に、交尾できないことは、オス犬にとって大きなストレスになります。
それから、オス犬とメス犬の両方を多頭飼いしていたなら、避妊、去勢は絶対に必要です。
なぜなら、避妊、去勢をしていなければ、爆発的に犬が増えてしまい、健康に飼育できる環境ではなくなってしまうでしょう。
多頭崩壊という悲劇を避けるためにも、避妊、去勢は飼い主の義務だと言えます。

避妊、去勢手術を行うのに最適な時期とは?

オス犬の場合は、おおよそ生後6か月と言われています。
けれども、小型犬と大型犬では体の成長速度が違うので、一概に「6か月で去勢が出来る」とは言い切れません。
生殖器の成長の具合や、体力などの様子を見ながら、かかりつけの獣医さんとよく相談して手術する時期を決めましょう。

避妊、去勢手術にかかる費用

  • オス犬 2万前後
  • メス犬 3万前後

一時期の出費とすれば、決して安いとは言えません。けれども、将来、病気にかかるリスクが軽減すると思えば、妥当な金額です。
この金額が出せなければ、犬と寿命が尽きるまで一緒に暮らし、最期まで幸せなまま、看取ることは出来ないと思います。
厳しいことをいうようですが、避妊、去勢手術の代金さえ出せないような状況なら、犬を飼うべきではないと思います。

⑤フィラリアの予防接種

薬を飲む犬

フィラリアって、どんな病気?

フィラリアは、蚊に刺されることで感染する寄生虫疾患です。
「フィラリア症」とは、犬糸虫という寄生虫が犬の肺動脈に住み着き、その結果、犬の体にさまざまな疾患が現れていく状態を言います。

けいれん、吐血、…フィラリアで最期を迎える犬は、もだえ苦しんで死ぬ

昭和50年代の飼い犬の飼い犬の平均寿命は、7~8歳で、「10年生きれば長生き」と言われていたんだとか。その頃は、「犬を医者に見せて病気を予防する」という意識もあまり高くなかったでしょうし、現代ほど獣医さんもたくさんいなかったので、
フィラリアが原因で死んでしまう犬が多く、そのため、平均寿命が短かったのでしょう。
さらにむごいことに、フィラリアで最期を迎えた犬たちは、おだやかに死ぬのではありません。
血を吐き、痙攣し、のたうち回って悲惨な死にざまをするそうです。

フィラリアは、予防すれば、防げる病気

フィラリアは、獣医さんの指導のもと、飼い主が責任をもって薬を与えれば、100パーセント予防できる病気です。

⑥ノミ、ダニの予防をする

ダニ予防の薬を塗る犬

ノミ、ダニは私たち人にも寄生し、血を吸います。
ノミに刺されたら痒いですし、一度、家の中にノミが発生すると、完全に駆除するのに一年はかかると言われています。
けれど、ノミやダニに寄生されると、ただ、かゆいだけではなく、犬も人間も死に至る恐ろしい病気に侵されてしまう危険性があるのです。

ノミが原因で引き起こされる犬の病気

  • ノミアレルギー…繰り返し、ノミに吸血されることで引き起こされる。痒みがひどくなる
  • ヘモバルトネア…貧血

ダニが原因で引き起こされる犬の病気

  • バベシア…マダニに咬まれ、マダニの体の中にいるバベシア原虫に赤血球が破壊されることで重度な貧血に陥り、手当てが遅れると死に至ります。

私は、30年以上前、以前飼っていたアメリカンコッカースパニエルのゴールディを亡くしました。まだ若く、8歳でした。
今なら、治療法や予防法が確立されているけれど、当時、病院に連れて行ったときは、もう手遅れでした。
最期まで、「私は元気だから、心配しないで」というように、気丈にしっぽを振って見せたり、よろめきながらもケージの外まで出てきた姿を、今でも忘れることが出来ません。

マダニに咬まれると、人間も死亡する可能性がある

ある種のウイルスに感染したダニに人間が咬まれると、バベシア同様、重度の貧血に陥り、現在、治療法が確立されていないので、一度発症すれば、死に至ることもあるほどの恐ろしい病気です。

ノミ、ダニの予防法は、獣医さん任せにしない。

ノミの駆除方法については、獣医さんの指示に従うのが最も的確です。
けれども、ノミの産卵時期、投薬、注射以外でいかにノミの寄生を防ぐかなどについて、ノミについてより詳しく知ることで、かかりつけの獣医さんの指示をより正確に理解することもできます。
すべてを獣医さんまかせにするのではなく、たくさんの情報の中から、ご自分と犬の生活サイクル、行動範囲、犬の年齢、体調、性格など総合的に考えて、飼い主としてできる限りの予防法を考え、実行してあげてほしいと思います。

⑦ワクチンの接種

ワクチンを打つ犬

ドックランに行くとき、ペットと一緒にホテルなどに泊まるとき、あるいは、ペットホテルに預ける時など、整備が整っている設備ほど、「ワクチン接種の証明書の提示」が必要になります。
では、ドックランにも行かず、一緒に出掛けることもなければ、犬にとってワクチン接種は必要がないのでしょうか?

どうして、ワクチン接種が必要なのか?

犬には、感染すると特効薬がなかったり、重症化して命を落としかねない危険な病気がたくさんあります。母親から産み落とされ、母乳を飲んでいる間は、母親からの免疫に守られて感染のリスクは低いと言われています。
ところが、生まれて8週から12週の間にその母親から譲り受けた抗体の力は、ぐっと弱くなります。
犬に感染する病気菌やウイルスは、空気中に漂っていたり、尿や便に含まれていたりします。
仔犬のときだけではなく、体が弱っていたり、接種したワクチンの効力が薄れていたりすると、病気に感染してしまうことがあるかもしれません。
病気感染の危険から飼い犬を守るために、毒素を弱めた、あるいはすでに病気を発症させるだけの力を無くした状態のワクチンを接種して、仔犬の体の中に病気に対する抗体を作り出します。

薬は正しく与えてこそ、犬の命を守ることが出来る。

フィラリアの薬、ノミ、ダニの薬、狂犬病予防、ワクチン接種…と、病気の予防のためとはいえ、なかなか面倒なスケジュールです。
投与可能な月齢、投与が必要な時期、タイミングなど、かかりつけの獣医さんとしっかりと相談して実施しましょう。
例えば、フィラリアの場合、せっかく毎月、しっかりと投薬したとしても、投薬のタイミングを間違えたら、愛犬の体の中でフィラリアの卵が孵ってしまい、翌年の検査のとき、フィラリアに感染していることがわかった…ということになりかねません。
薬は、正しく投与してこそ、最大の効果を発揮し、愛犬の命を守ることが出来るのです。

⑧家庭犬として生きていけるように、家族全員でベストを尽くす

家族に囲まれる犬

家族が楽しく、円満に暮らすためには、家族内でもいろいろなルールがあると思います。
言葉は通じないけれど、縁があって、あなたの「家族」になった犬にも、当然、「家族として守るべきルール」を教えるのも、飼い主としての大切な義務です。
また、人を傷つけるような犬には絶対にしないこと、犬を飼っていることで人に迷惑が掛からないようにすることは、人間社会の中で犬と一緒に暮らす生活を選択した以上、とても大切なことで、それも飼い主の大きな義務なのではないでしょうか。
人間と犬が一緒に、どちらも幸せに暮らすために何が必要なのかを家族みんなで話し合い、最善を尽くしましょう。

まとめ

子犬の寝顔

  • 狂犬病の予防接種
  • 畜犬登録
  • かかりつけの獣医さんを決め、健康診断を受ける
  • 避妊、去勢手術
  • フィラリア予防
  • ノミ、ダニ予防
  • ワクチン接種
  • 家庭犬として必要な躾、トレーニングをする

環境省自然観光局のHPに掲載されている「動物愛護管理法」には、「動物の飼い主は、動物の種類や修正などに応じて、動物の健康と安全を確保するように努め、動物が人の命等に害を加えたり、迷惑を及ぼすことのないように努めなければなりません」という一文があります。
大切な愛犬の命を守り、また、人を傷つけたりしないように気を配ることが飼い主の義務だと言えるのではないでしょうか?

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