犬が腰を抜かす事について
「愛犬が歩いている時に突然腰が抜けて立てなくなった」
「たまに愛犬の腰が立たない。その理由が知りたい」
など思っている飼い主の方はどのくらいいるのでしょうか。
何の前兆もなく急に愛犬の腰が抜けて、そこから立てなくなったらとても心配ですよね。腰を抜かすことについてもう少し詳しくお伝えしていきます。
犬が腰を抜かす状況とは?
腰を抜かすと言っても「それってどんな状況を表すの?」と疑問に思う方もいることでしょう。腰を抜かす(腰が立たない)というのは、自分の意志で足を動かすことが出来ない、腰を持ち上げられない状態のことです。
医学的には【後駆麻痺(こうくまひ)】による起立困難と言われています。実際に愛犬が腰を抜かしたところを見た飼い主の方によると”後ろ足にだけ力が入らない”ような状態だったそうです。
犬が腰を抜かす原因
どういう状態が腰を抜かすと表現するの理解したところで、次にどのような原因で症状が起こるのかご紹介します。
主に後駆麻痺を引き起こす原因となるものが①椎間板の病気 ②脊椎の病気 ③脊髄の病気 ④大動脈血栓塞栓症です。
犬の後駆麻痺の原因で一番多い病気が「椎間板ヘルニア」と言われています。椎間板ヘルニアとはどんな病気なのでしょうか?
椎間板ヘルニアとは
背骨の腰部の椎骨と椎骨の間にクッションの役割を果たしている軟骨(椎間板)があります。これに衝撃が加わることで、組織の一部が脊髄に向かって飛び出し、脊髄を圧迫することを「椎間板ヘルニア」と言います。人間でも椎間板ヘルニアに悩まされている人も少なくありません。
また、下記の犬種は遺伝的にこの病気を引き起こしやすいと言われています。
- ミニチュアダックスフンド
- フレンチブルドッグ
- ビーグル
- ペキニーズ
- ウェルシュコーギー
椎間板ヘルニアには症状のグレードというものがあります。グレードは5段階に分かれており、グレードが低ければ痛みの症状だけもしくは軽度の麻痺ですが、グレードが徐々に上がると後ろ足が麻痺して立つことや歩くことが困難になります。
グレード5になると完全に後ろ足の痛覚がなくなってしまいます。脊髄造影検査を合わせたレントゲン検査やMRI検査、CT検査などによって特定されます。
後駆麻痺と似た症状の病気
後駆麻痺と似ている症状を引き起こす病気もあります。
跛行(はこう)
片足をかばいながら歩いていると腰が上下に動くので腰が立たないと表現したり、認識したりする人が多いようですが、医学用語では「跛行(はこう)」と呼ばれる症状です。どちらかの足に体重をかけるのを嫌ったり、片方の足を浮かせて歩いたりするのが跛行の症状です。
てんかん発作
てんかんと聞くと意識を失って全身で痙攣を起こす状態をイメージしがちですが、一点だけ集中して痙攣が起きることもあり、これを焦点発作と言います。この焦点発作が両後ろ足に起こった場合、その間は後駆麻痺と同じような状態になります。発作後、しばらく経つと特に痛がることもなく、ケロッとしているのが特徴です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?突然目の前で愛犬が腰を抜かしたら、ビックリしますし心配にもなります。
痛がったり不安がったりしているはずですので、安心させるようにさすってあげると良いでしょう。また、何度も繰り返す、尋常ないほど痛がるなどあまりにも様子がおかしい場合は動物病院で看てもらった方が良いですね。
ただし、レントゲン検査やMRI検査を受ける場合には数万円以上の費用がかかります。さらに一つの動物病院では、「特に何ともない」と言われて終わったが、それでも症状が治らず別の病院で診察してもうと病気と判明したというケースもあります。いくつかの病院をピクアップしておくのも良いでしょう。
特に初期症状はひどい場合は分刻みで進行します。レントゲンで確認できるのは骨などなので神経がどのような状況なのかは分からないこともあります。レントゲンで問題なくても脊髄に影響が出ている場合がありますので経過はよく見てあげてください。
そして治療や手術になった場合ですが、施設によって金額や内容も異なってきますので見積もりを取って最適な治療を受けられるところを選びたいものですね。