犬が雪を好きな理由
断言できる理由はわかっていませんが、多くの動物学者は犬が雪を見てはしゃぐ原因のひとつに、犬が変化を好む性質であるということをあげています。犬にとって普段見慣れない冷たくて異質な雪は、景色や地形、匂いなど、犬の体に感じるさまざまな感覚を変化させるのです。自分が見知った世界とは違う環境に犬はとても敏感に反応しているのではないか、といわれています。
他にも北国に生息していたオオカミを祖先としている犬は、冬を迎える前に脂肪を蓄え、寒くなると動いて体温を上げるという遺伝子上の習性もあるようです。動くことで筋肉をほぐし、体温の低下を防ぐと同時に体の免疫力を高めるという役割を果たしています。犬が雪を見るとはしゃいでしまうのは、こうした理由も考えられます。
犬の雪好きと犬種の関係
犬が雪を好きになる条件として、寒さに強いことがあげられます。もともと犬は寒さに強く暑さに弱いのですが、中には寒さが苦手な犬種もいます。
犬は通常オーバーコートとアンダーコートの二重構造の被毛を有しており、密なアンダーコートによって熱を蓄えることができるので、体温調節が得意です。特に被毛が豊富であり、体脂肪も多い北方を起源としている犬は、雪や厳しい寒さにも耐えることができるのです。また、小型犬より大型犬の方が耐寒性があり、日本原産の柴犬や秋田犬なども日本の冬の寒さには順応している犬種であり、雪好きであることが多いのです。
逆にシングルコートと呼ばれる被毛が一重の犬種は、被毛で保温する必要があまりない温暖な地域で改良された犬種のため、寒さに弱い犬が多いようです。もちろん個体差もありますが、寒がりな犬は雪への興味よりも寒さが勝ってしまい、すぐ屋内へ入りたがることもしばしばです。
犬の雪好きと性格の関係
犬種として寒い冬に適しているかということ以外に、犬が雪を好む原因はどのようなことが考えられるでしょうか。
好奇心が強い犬であれば雪に対してより興奮しますが、変化を嫌うタイプや警戒心が強い犬はそれほどではありません。普段から雪を見慣れている北国の犬は雪が降ってもはしゃぐことはありませんが、なかなか雪の降らない地域に住む犬であれば珍しいものに驚くことでしょう。また、一緒にいる時間の長い飼い主が雪の降る屋外での活動を好むようであれば、犬も自然とそうなる傾向があり、結果雪が好きになり得るとも考えられます。
犬の雪好きか否かは、犬がもともと持っている資質に加え、性別、飼育環境、飼い主の考え方など様々な要因によって形成されていく性格によるものや、住んでいる場所の環境などにも左右されると言えるのではないでしょうか。
犬の雪遊びや散歩の際に注意すべきこと
寒さや雪が得意な犬は、雪の中でも平気で駆け回ります。そんな犬たちにとっては嬉しい雪ですが、この時期特有の注意点もいくつかあります。
子犬や老犬
子犬は体脂肪が少なく体温調節も上手にできないので、初めて外に出すときは抱っこ等で雪に慣れさせ様子をみましょう。また、老犬は代謝が落ちたり、長期にわたり常に快適な温度で暮らすことなどの理由から、換毛期がずれたり毛の生え変わりが不十分である場合もあります。外へ出す際は体調に十分配慮しましょう。
事故
犬を雪の中で遊ばせるときは、見知った場所で、障害物のない平地にしましょう。雪遊びの大好きな犬はとても興奮しますので、踏みしめた雪の下に穴や障害物がない場所であることが重要です。せっかくの楽しい雪遊びが思わぬ事故につながりかねません。
しもやけ
しもやけは寒さにより血行が悪くなることで生じる炎症であり、患部は赤く腫れて痒みを伴います。犬も長時間寒さにさらされているとしもやけになり、耐え難い痒みから患部を舐めたり噛んだりし、余計に悪化させることもあります。肉球や耳の先、尻尾などがなりやすいので、散歩や雪遊びの後は、濡れたところをタオルでしっかり拭いてきちんと乾かすことが大事です。
雪玉
犬の毛に雪が付着すると、周りの蒸気や雪の水分が固まり、また雪が付いては固まるを繰り返すことで、毛にびっしりと雪の塊ができてしまいます。俗に雪玉と呼ばれていますが、特に長毛種は顔周りや腹、足の飾り毛などに大量の雪玉ができるため、遊んでいるうちに重くなり動けなくなってしまうこともあり、取り除くのも一苦労です。無理に取ろうとすると毛が切れたり皮膚を傷めたりしてしまうので、お湯で溶かして取りましょう。雪玉対策としては、体にフィットし、全身を覆うタイプのドッグウェアを着せることがおすすめです。
雪好きな犬に関するまとめ
犬種としての特性の他、性格や育った環境などで犬は雪が好きになると考えられますが、もちろんすべてがこれに当てはまるというわけではありません。犬種ごとにある程度の平均はあるのかもしれませんが、同じ親を持つ兄弟が同じ環境で育っても、好き嫌いに関しては個々で違うということもよくあることです。
人間に置き換えて考えてみても、物事の好き嫌いを判断する基準は人それぞれであるように、犬もまた同様であるといえます。この複雑さがなぜ犬が雪を好きなのかがはっきりと解明されていない所なのかもしれません。
時に人にとってはやっかいものになってしまう雪ですが、雪がもたらす美しい風景は本当に魅力的です。一年のうち限られた時期にしか見られない雪、人も犬も慣れない感覚に心がはやってしまうのも無理はないのかもしれませんね。
ユーザーのコメント
女性 いちぼ
20代 女性 macaron
北海道に住んでいるので、冬は一面雪景色になります。
多少雪が降っていても、毎日散歩に連れてってます。
そのせいか、雪が大好きです。
雪原を思いっきり走らせると、いい運動になるし、ストレス発散にもなるようです。
好きになるか嫌いになるかは、飼い主の育て方にもよると思います。
女性 もふころ
どちらも毛を長く伸ばしているので、帰ってきた時には体中に雪玉を付けてきます。ダブルコートの方は意外に平気なんですが、シングルコートの方は寒さでガタガタ震えていました。
凍えてしまうので時間を決めて遊ばせた方がいいですね。