犬の食べ過ぎには要注意!隠された病気の可能性

犬の食べ過ぎには要注意!隠された病気の可能性

愛犬が餌を食べ過ぎてしまうことはありませんか?もし、食べ過ぎを繰り返しているようなら怖い病気の可能性も…。犬の適切な餌の量、そして食べ過ぎに関わる怖い病気をご紹介します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬のご飯の適切な量と回数

餌を食べる3匹の犬

必要な食事量

食事量は犬種や体の大きさによっても差があります。
そこであなたの愛犬にあった食事量の計算方法をご紹介します。
一日に必要な食事量(カロリー)は、

  • (わんちゃんの体重 × 30 + 70 ) × 係数 = 一日に必要な食事量(カロリー)

※係数は、その子の状態で変わってきます。健康な成犬は、1.2を、高齢の子は、1.4を、肥満の子は、1.4を、そして減量中の子は1.0を係数としてかけます

となっています。

犬には人間の食事ではなく、きちんとドッグフードをあげるようにしましょう。
ドッグフードには、愛犬に必要な栄養素がバランス良く含まれており、人間の食事は塩分や油分が多いため、愛犬の健康を害してしまう可能性があるからです。

食事の回数

子犬のときは、一度に大量のご飯を食べることができないため、一日の食事は3~4回に分けて与えましょう。半年を過ぎたら一日2~3回の食事でもかまいません。一度にどれぐらい食べることができているのか、様子を見て回数を調整してください。

成犬であれば一日2回が良いでしょう。一度にたくさん食べさせると健康に良くありません。

シニア犬の場合は、消化機能が衰えてきているので子犬の頃と同じように、食事の回数を一日3回~4回に分けて与えてください。
一度にあげる食事の量も少なめにして、回数を増やして調整してあげるといいでしょう。

犬がご飯を食べ過ぎる病気

餌をみつめるパグ

食欲が増す症状がある主な病気としては、「糖尿病」と「クッシング症候群」があげられます。

糖尿病

犬の糖尿病の多くは、ホルモンの一種であるインスリン不足が原因のⅠ型糖尿病です。血液中の糖分が多すぎて、尿に余った糖分が多く排出されてしまいます。稀にですが、インスリンは分泌されていても血糖値がコントロールできないⅡ型糖尿病の子もいます。
糖尿病になると以下のような症状が見られます。

  • 大量に水を飲む
  • 食べる量が増える
  • 体重の減少
  • おしっこの回数が多くなる
  • お腹が膨らむ など

最悪の場合昏睡状態になることもあるので注意が必要です。
病気が進行すると白内障や感染症、膀胱炎や皮膚炎などの合併症を起こす危険があります。

糖尿病の原因の一つとしては、食事の度にインスリンが大量に放出される早食いやドカ食いがあげられます。
また、どの犬種でもなりえますが、以下の犬種が比較的糖尿病になりやすいと言われています。

  • ミニチュアダックスフンド
  • テリア
  • ゴールデンレトリバー
など

他にも先天性であったり、年齢や性別が関係していることもあります。

人工的に生成したインスリン注射を一生行わなくてはなりません。基本的に毎日行うので、飼い主さんが獣医さんの指示に従って注射をすることになります。
ほかにも食事療法や運動療法などもあるので、獣医さんとよく相談したうえで指示に従うのが良いでしょう。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

副腎皮質ホルモン(コルチゾール)と呼ばれるホルモンの過剰分泌によって引き起こされる症状のことをいいます。
症状としては以下のものがあげられます。

  • 大量に水を飲む
  • 食べる量が増える
  • おしっこの回数が多くなる
  • 毛づやが悪くなる
  • 脱毛する
  • 皮膚が薄くなるなどの皮膚症状
  • お腹がふくれる
  • 糖尿病の併発 など

原因としては、副腎や脳にできた腫瘍やかゆみ止めなどに使われるステロイドなどがあげられます。
また、発症する年齢は5歳以上のわんちゃんで、人間やネコよりも発症率は高いと言われています。
また、特に好発犬種はなく、どのわんちゃんにもおこりえます。

クッシング症候群の主な治療方法としては、腫瘍などの別の病気が原因で引き起こされている場合はそれらをまず治療します。
もし原因を除去できないのであれば、原因となるホルモンの産生を抑える薬を使いますが、一度薬での治療を始めると一生薬が必要となります。
薬の副作用であれば使用している薬を止める、または徐々に量を減らしたり代わりの薬にしてみるなどの方法があります。

食べ過ぎが原因の犬の病気

たくさんの餌に嬉しそうな犬

糖尿病やクッシング症候群とは逆に、食べ過ぎることが原因で起こる病気もあります。

胃拡張・胃捻転(いねんてん)

ドッグフードなどを食べすぎることが続き、犬のお腹がパンパンに膨れて苦しそうにしている場合は要注意です。
胃腸にガスが溜まり膨れてしまう、胃拡張になっているかもしれません。
胃拡張になると胃が周囲の臓器を圧迫して、血液の循環が悪くなり呼吸困難などを引き起こします。

また、胃拡張が進行すると胃捻転という症状を引き起こすことがあります。胃捻転は胃がねじれてしまった状態です。
胃捻転になるとウロウロする、よだれをたらす、吐こうとして吐けないなどの症状が見られます。胃捻転によりガスをだすことができなくなり、お腹がどんどん膨れていってしまいます。血管もねじれてしまい血流が止められてしまうため、手術などでガスを排出する処理をしなければ最悪の場合死に至ります。
胃拡張の症状がみられた場合は、それ以上飲食をさせず、すぐに動物病院へ連れて行ってください。

まとめ

ドッグフードと犬の足

人間も犬も食べ過ぎは良くありませんね。
食べ過ぎによる病気や、病気からくる食べ過ぎなど、どちらにしても愛犬の健康にはよくない状態であることは確かです。
愛犬の餌の量を普段からよく把握しておくことで、食べ過ぎかどうかを判断できます。愛犬の健康を守るためにも、今一度愛犬の食事量に目を向けてみることをおすすめします。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 mocmoc

    糖尿病を患った愛犬の食欲はとてもすごかったです。目立った症状はやはり水を飲む量が倍以上に増えたこと、色のない尿が増えたこと、そして常にお腹が空いているかのようにご飯をよく食べたことです。それなのに段々痩せてきてしまいました。痩せていくのが心配でまたご飯を追加してしまう、この繰り返しでした。
    高齢なのにご飯をしっかり食べてくれることに安心して、異常なことに気が付くのが遅れてしまったのは飼い主の責任です。

    一日の水を飲む量が400mlを超えさすがにおかしいと思い動物病院へ連れて行ったところ、血糖値が計測ぎりぎりまで上がってしまい、糖尿病と診断されました。それからインスリン治療が始まったことをきっかけに、食事の量を決めそれを変えず回数を増やすことになりました。元々食べることが大好きだったので、食事回数が増えたことで愛犬は大喜びでしたが飼い主としてはとても不安でした。
    愛犬はインスリン注射の効きが非常によかったせいで、メモリが最小でもぐんと血糖値が下がってしまい低血糖の危険がありました。対処として食事の量を増やし、時間を決めて回数も増やしたため、糖尿病の治療のはずなのに食事量も増やさなくてはならないという本末転倒の治療になってしまったことがあります。そして食べ過ぎのせいで内臓に脂肪が蓄積し、今度は急性膵炎も発症してしまいました。
    元を辿れば、ご飯の食べ過ぎが目立つようになった時に早く病院へ連れていけばこんなに悪化していることもなかったはずでした。

    異常にご飯を欲しがったり、食欲旺盛すぎる場合は早めに獣医さんに診てもらうことをおすすめします。隠れた病気があるかもしれません。早期発見が何よりも大事です。
  • 投稿者

    女性 RAPA

    食欲旺盛なのは、良いことだとばかり思っていましたが、こんな病気が隠れている可能性があるとは思いませんでした。
    糖尿病はなんとなくイメージできますが、クッシング症候群に食欲のイメージはありませんでした。脱毛などの皮膚異常のイメージが強かったので。
    どちらも発症したら、一生つきあっていかなくてはならない病気ですし、早期発見が大事ですね。
    そして、食べ過ぎが病気の原因となるとは思いませんでした。
    胃捻転は大型犬で聞いたことがありますが、手術が必要になるので、とても怖いです。

    食欲がないと心配するのは当たり前ですが、食欲が旺盛過ぎるのも気にしなくてはならない点なのだと改めて感じました。
    愛犬の異常にすぐに気づけるようしっかり見守っていきたいと思います。
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