年齢別にみる犬の最適な過ごし方【幼少期~シニア期まで】

年齢別にみる犬の最適な過ごし方【幼少期~シニア期まで】

幼少期、成犬期、シニア期と大きく3つに分かれる犬の一生。それぞれの時期に、それぞれの最適な過ごし方があるのです。犬をこれから飼おうとしている方も、いま犬と生活していらっしゃる方も、時期別に注意すべきことを知って、愛犬がより幸せに過ごせるようにしてあげましょう。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬の年齢ごとに最適な過ごし方がある

家族と愛犬

犬の一生には、幼少期~シニア期までそれぞれ特徴を持った時期があります。
人間も同じように赤ちゃん〜高齢者の時期があり、それぞれの時期でライフスタイルが変わってきますよね。犬も年齢ごとに適切な過ごし方があり、それぞれの時期でどんなことに気をつければ良いのかが異なってきます。
ではさっそく具体的に見ていきましょう!

幼少期

子犬すやすや

幼少期とはいつからいつまでか

幼少期とは、生まれてから約1歳までのことをいいます。 幼少期の中でも、生まれてから生後50日くらいまでは母親の保護を必要として生活します。それ以降もたくさんのことを学びながら、自立するために成長していきます。

食事について

生まれてから生後50日くらいまでは母乳を飲んで過ごします。離乳してからは、必要な栄養を十分に含んだ高成犬よりもカロリーの高いフードを与えていきます。また、

  • 一日4回程度に分けて与える
  • 幼少期用のフードを与える
  • ふやかして与える

などの工夫が必要です。

睡眠時間

成犬の平均睡眠時間は12~15時間と言われていますが、幼少期はこれより長い睡眠時間が必要になります。幼少期の犬は好奇心旺盛で、あちこち動き回ったりして体に対する運動量が多く、また急速な成長にも沢山のエネルギーを消費するので、回復のためにたっぷり睡眠時間を確保しなければなりません。可愛い子犬を迎えたばかりの時は、ずっと一緒に遊びたいと思ってしまいますが、子犬にとって十分な、休息と睡眠時間を与えてあげることも大切です。

運動量(散歩)

ワクチン接種が一通り終わった頃からが本格的なお散歩デビューの時期です。それまでは、室内で遊んで十分な運動量を与えてあげましょう。 また、生後4~12週頃の「社会化期」には様々な経験を積極的にさせていく時期となりますので、子犬が疲れない程度に抱っこやカートに乗せてお外に連れて行ってあげて、いろんなものを見せたり触れさせたりしてあげましょう。

監修獣医師による補足

以前は生後4週齢頃から始まる3~4回のワクチン接種が終わって十分に免疫力がついてから外に連れて行ったり他の犬と接触させたりしましょう、と指導されてきました。

しかしそれでは犬の大事な社会化期に、非常に限定された経験しかさせてあげられません。

そのことが問題行動につながる可能性が大きいと考えられていて、現在は、ワクチン接種が終了する以前から衛生面を配慮した上で外に連れて行ったり、他の犬との交流を持つことが推奨されています。

抱っこやカートでのお散歩の他にも、パピークラスに参加するのも良い方法です。

獣医師:木下 明紀子

注意点

以上より、いくつか注意点を挙げると

  • 幼少期用の高カロリーフードを与える
  • 15時間以上の睡眠時間を確保してあげる
  • 本格的なお散歩はワクチン接種が終わってから
  • 可愛いからといって遊び過ぎない

などに気をつけて、愛情をいっぱい注いであげましょう。

成犬期

飼い主と遊ぶ犬

成犬期とはいつからいつまでか

成犬期は1~7歳くらいまでと言われています。 メスは犬種によっても違いがありますが、小型犬でしたら多くは1歳前後で発情期を迎え、オスも生殖能力を持ちます。体力と精神の両方が成熟するのは1歳半を過ぎた頃からになります。大型犬の成熟には、さらに長い時間がかかります。それ以降からシニア期を迎えるまでは、体力的にも精神的にも一生で一番充実しピークを迎える時期です。

食事について

1歳頃からだんだんと体の成長は止まっていくので、幼少期の食事から成犬期の食事に変えていきます。この時期に必要なカロリーは、幼犬の50%くらいに減りますので、成犬用のフードに切り替えましょう。

5~7歳頃からだんだんと運動量が減るとエネルギー消費量も落ちていくでしょう。引き続き1歳頃と同じ食事を与えていては肥満体型になってしまいます。

その子の食欲や運動量に合わせてローカロリーのフードに切り替える時期でもあります。また、避妊・去勢手術を受けた場合には太りやすくなることが多いため、カロリーの低い食事に変えなければならないこともあります。

睡眠時間について

成犬の平均睡眠時間は12~15時間と言われています。大型犬や超大型犬は比較的睡眠時間が長いとも言われています。その犬種がどういう仕事をしてきたのかによっても、平均の睡眠時間が違うそうです。また、成犬なのに異常に睡眠時間が長い場合は以下のような原因があるかもしれませんので、環境を改善したり、病院に連れて行ってあげましょう。

ストレス

引っ越しや家族構成の変化など、環境が変化したときにストレスを感じやすくなります。このストレスを和らげるために睡眠時間も増加することがあるそうです。

甲状腺機能低下症

何らかの病気により甲状腺の働きが弱まり、代謝が下がってなんとなく元気がなく、長時間眠るという行動が現れます。甲状腺機能低下症では、皮膚のかさつきやシワ、脱毛などの目に見える症状が出ることも多くあります。

関節などに痛みがある

関節の病気やヘルニアなどによって痛みを感じている場合、じっとして眠っているようにみえることがあります。

運動量(散歩)について

犬種によって運動量は変わってくると思いますが、平均して一日のトータルで30~40分はお散歩が必要な場合がほとんどでしょう。また、1歳頃の体重がその犬のベスト体重とされています。散歩の量やフードの種類を考えて、ベスト体型を維持できるように管理してあげましょう。

注意点

以上より、いくつか注意点を挙げると

  • 犬は人間より良く眠るので十分な睡眠時間を確保してあげる
  • 成犬用のフードに切り替える
  • ベスト体重を維持する

などに気をつけて、健康的な身体づくりを心がけましょう。

シニア期

ソファーでまったり

シニア期とはいつからか

犬のシニア期は一般的に7~8歳頃からと言われています。この頃から運動量も食事量もだんだんと少なくなり、性格も落ち着いて一日を穏やかに過ごすようになる子が増えてきます。

食事

成犬期と比べてエネルギー消費量が落ちてきます。さらに老齢化して一度に食べられる量が減った場合には、

  • 一日3~4回に分ける
  • 少量で済む消化性の高い食事を与える

などの工夫をしてあげましょう。

睡眠時間

成犬期に比べて睡眠時間が長くなります。体力も衰えてくるので、若い頃より多くの休息が必要となります。食事とトイレ以外はほとんど寝ているように感じるかもしれませんが、十分な休息をとらせてあげましょう。

運動量(散歩)

成犬期に比べて運動量は減ります。ですが、肥満防止や気分転換、ストレス解消のためにも定期的に散歩に行くようにしましょう。愛犬の負担にならない程度で、様子を見ながら行いましょう。

注意点

以上より、いくつか注意点を挙げると

  • 食事量に合わせたフード選びをする
  • 体力と相談しながら散歩に行く
  • 睡眠時間は長くなるので構いすぎない

などに気をつけて、穏やかに過ごせるようにしてあげましょう。

十分な休息は必要ですが、脳への刺激がなさ過ぎる生活もシニア期の犬の精神面にとって良くありません。

愛犬のペースに合わせながら、コマンドに従ったらご褒美をあげたり、体力は使わないが頭を使う遊び(ノーズワークや知育おもちゃの使用など)を一緒にやったり、歩くのが大変でもカートに乗せてのお散歩をしたりすると良いでしょう。

まとめ

犬の成長過程

幼少期、成犬期、シニア期と大きく3つの時期に分けて犬の過ごし方を学んできました。
どの時期に何をすべきか、だいたい覚えられましたか?
愛犬のライフステージに合わせて、飼い主さんがしてあげるべきことをしっかり頭に入れて、愛犬と飼い主さんが幸せに暮らせるようになれれば嬉しいです!

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 うさぎ

    犬はあっという間に成長してしまいますね。ついこないだまで赤ちゃんだったはずが、もうおじいちゃんと呼ばれる年齢に。私にとってはいつまでも手のかかる子供みたいなものですが、体はおじいちゃん。良質の睡眠と運動と食事で長生きしてもらいたいです。
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