犬の目の下が腫れる原因 考えられる病気や対処法・予防方法を解説

犬の目の下が腫れる原因 考えられる病気や対処法・予防方法を解説

犬の目の下や周りが突然腫れてしまった…そんな経験はありませんか?かわいい愛犬の顔つきが変わってしまうため、驚かれる飼い主さんも多いと思います。今回は、犬の目の下や周りが腫れたときに考えられる様々な病気について説明したいと思います。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬の目の下が腫れる原因

治療中のダックスフンド

犬の目の下や周りが腫れる原因は様々あります。目の病気で腫れることはもちろんですが、それ以外には意外にも歯が原因で目の下や周りが腫れてしまうことがあります。では具体的に、犬の目の下や周りが腫れてしまう病気にはどんなものがあるのか、それぞれ説明していきたいと思います。

犬の目の下の腫れから考えられる病気

犬の目の下や周りの腫れを確認している医師

眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)

犬は歯磨きをきちんとしていないと、歯に歯垢(しこう)や歯石がたくさんつきます。歯石は細菌の塊です。それを放置しておくと、犬の歯茎がだんだんと痩せていき、歯槽膿漏(しそうのうろう)になります。更に進行すると、細菌は歯の奥へと進み増殖し、膿になります。

膿はどんどん増えていき、たまってくると、犬の目の下や周りが腫れてきます。パンパンに腫れて限界がくると目の下や周りの皮膚が破けて穴が開き、中から大量の膿が出てくることもあります。犬の目の下や周りが腫れてくるのは、奥歯の臼歯という歯が原因で腫れることが多いです。

症状

  • 口や息が臭い
  • 固いものが食べづらい
  • ヨダレに血が混ざる
  • 目の下や周りが腫れてくる
  • 口に痛みがあり触られるのを嫌がる
  • 目の下や周りからドロッとした膿が出てくる
  • 目の下や周りの毛が固まって汚れている

副鼻腔炎(ふくびくうえん)

こちらも犬の歯が悪く、歯槽膿漏(しそうのうろう)がひどくなると起こることもある病気です。主に、牙である犬歯の歯槽膿漏がひどくなると、歯茎を痩せさせ、細菌が犬歯の根っこへと進んでいきます。上顎と鼻の境目の骨はとても薄いため、細菌はその骨を溶かし、貫通させてしまい口と鼻がつながってしまいます。

鼻へと入った細菌は副鼻腔という器官へ入り込んでしまい、炎症が起き中に膿がたまります。蓄膿症になってしまい、そのたまった膿や炎症によって目の下や周りが腫れてしまうことがあります。

症状

  • くしゃみをする
  • ドロッとした鼻水が出る
  • 鼻水に血が混ざる
  • 目の下や周りが腫れている
  • 口が臭い

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

いわゆる「ものもらい」です。麦粒腫ができると、痛みや違和感があるために、気にして擦ったり掻いたりしてしまい、犬の目の下や周りが腫れてしまうことがあります。麦粒腫は、瞼のフチにたくさんあるマイボーム腺という脂を出す腺に細菌が入ってしまい、マイボーム腺が詰まることで腫れてしまいます。

症状

  • ものもらいがある
  • 気にして目を擦り腫れている
  • 突起物がある

犬の目の下が腫れる時の対処法・予防法

犬の目の下や周りの腫れの治療

眼窩下膿瘍・副鼻腔炎の治療法

  • 悪さをしている歯を抜く
  • 抗生剤を使う
  • スケーリングをし歯を綺麗にする

歯が悪くなっているということは、それだけ長い月日が経ち犬自身高齢になっていることが多いです。歯を抜いたりする治療は、全身麻酔が必要になりますので、高齢の犬にはリスクを伴います。

そういったことが難しい場合は、根本的治療ではありませんが、抗生剤を使って増えた細菌を退治し膿を減らして腫れを引かせます。原因である歯を抜いたりしなければ、また腫れはいつでも再発する可能性があります。

犬の目の下や周りが腫れてきていなくても、口や息が臭かったり、固いものが食べづらそうにしていたり、くしゃみや鼻水が出てる場合は歯が悪くなっている可能性がありますので、動物病院で口の中を診てもらった方がいいです。歯の細菌は顎の骨を溶かし、ちょっとしたことで顎の骨が骨折してしまうこともありますので注意が必要です。

眼窩下膿瘍・副鼻腔炎の予防法

こちらの病気は、犬の歯のケアが足りていない為に起きてしまう病気でもあります。歯磨きをして、愛犬の歯を清潔に保つことがとても大切になります。いきなり歯ブラシを口に入れてしまうと嫌がってしまうので少しずつ慣れさせていきます。

愛犬が歯磨きをしたことがない場合は、まずマズルや口を触られるのを慣れさせます。触らせてくれたら、ご褒美をあげる、それを繰り返していきます。愛犬が口を触らせてくれるようになったら、歯ブラシを使って歯に歯ブラシを当て、できたらご褒美をあげるを繰り返していきます。

愛犬が歯ブラシを当てさせてくれるようになったら、少し磨く、できたらご褒美をあげるを繰り返していきます。このように少しずつこなしていき、最終的には磨けるようになることが目標です。愛犬に一度も歯磨きしたことない場合は、決していきなり磨くことのないよう注意が必要です。トラウマになると二度と歯磨きをさせてくれなくなります。

麦粒腫の治療法

  • 詰まっているものを絞り出す
  • 抗生剤の目薬や眼軟膏を付ける
  • 突起物になっている場合は切除する

麦粒腫の予防法

残念ながら麦粒腫の予防法はなく、なってしまったら早めに病院へ連れていき治療をするしかありません。若齢でも高齢でもどの犬種でもなります。擦ってしまうと、ますます悪化して傷を付け血が出てしまうこともありますので、気にしているようであればエリザベスカラーを着けて悪化を防ぎます。また、目の周りが涙や目ヤニで汚れている場合は、清潔なタオルやティッシュでこまめに拭いてあげます。

まとめ

犬の目を樹にしている医師

目の下や周りが腫れてしまう原因は様々あります。歯が原因の場合、犬は痛みがあっても限界まで我慢してることが多いです。犬はしゃべれませんから飼い主さんがなるべく早く気付いてあげてケアをし、治療をしてあげることが大切です。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 ペッパー

    うちでもものもらいになったことがあり、最初は毛で隠れがちでよくわからなかったのですが、目を掻こうとしたりクッションに擦り付けるようなしぐさが見られたのでおかしいなと思って顔を観察していたら、上瞼がなんとなくポコッとしているように見えてさわるとすごく嫌がったので翌日病院に連れて行きものもらいだとわかりました。お薬で10日程ですっかりよくなり今では全くしこりなどもなくきれいになりました。目の周りのトラブルは、ビックリしますがよく見る場所な分、発見しやすいという面はいいですよね。目以外の病気でもなんでもそうですが、日々愛犬をしっかり観察したり触ってチェックするのが、健康管理にとってすごく大切なんだなぁと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 suzy

    眼窩下膿瘍や副鼻腔炎、膿の中の細菌が骨や皮膚を溶かして穴を開けてしまうと書いてあってびっくりです。さすがにそこに至るまで病気に気が付かないということはありませんよね?(ちょっと不安です)鼻水や涙の量、口臭など、サインを見逃さないようにしないといけませんね。
    うちの犬は、目の下側の縁に、脂肪腫が出来ました。ぽちっと、白い小さなものだったのですが、時間をかけて少しずつ大きくなりました。はじめはあっても大丈夫と獣医さんに言われていたのでそのままにしていたのですが、育ってしまった脂肪腫が眼球に当たりそうになったため、麻酔をして切除手術をしてもらいました。
    ただ、その際には目の下や周りが腫れるということはまったくありませんでした。
  • 投稿者

    20代 女性 ひまわり

    ものもらいは人間でもある病気なので知っていましたが、歯の病気が原因で目元が腫れるなんて知りませんでした。しかも重病な場合に腫れるんですね。。。とても怖いです。
    知人のわんちゃんに、歯周病が原因で知らない間に歯茎が弱って顎まで溶けてしまった子がいました。(その方は、自分ではしっかりケアしていたとの事)歯に関する病気は知らない間に重病になっている事も多いそうですね。たかが目元の腫れとは思わずしっかり観察したいと思います。
  • 投稿者

    女性 ゴン吉

    歯垢が原因で目の周りが腫れてくることがあるなんて怖いですね。歯の細菌が心臓や内臓に悪さを働くことがあるということは知っていましたが、他にも影響があるんですね。
    歯みがきは虫歯予防だけではなく、犬の健康には欠かせないことなんですね。

    麦粒腫は擦ってしまうとそこからまた大きくなっていきます。麦粒腫自体表面が弱いので、少し擦っただけで出血を起こすこともあります。一度発症すると取れたとしても再発します。
  • 投稿者

    女性 もふころ

    愛犬は目が大きい犬種なのですが、麦粒腫が悪化しイボになってしまいました。最初は軟膏や目薬で対処していたのですが、できた場所が悪く手術でも取ることはできないそうです。早いうちの対処が重要です。
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