犬の『お尻歩き』には病気の疑いもある
みなさんは、愛犬がお尻を床にこすりつけながら歩いている姿を見たことがありませんか?
このおかしな犬の歩き方は「お尻歩き」と呼ばれています。
実はただお尻がかゆいからお尻をこすりつけているだけでなく、お尻に違和感や痒みがある可能性があり、そしてその原因が寄生虫や病気からきている可能性もあるのです。
特に下記に該当する行動をとっていた場合、病気や寄生虫が犬のお尻歩きの原因かもしれません。
犬のお尻歩きの原因が寄生虫の場合
- 肛門周辺をしきりに舐めている
- 肛門から白いヒモのような物が出ている
- 糞に白いヒモのようなものが混ざっている
- 下痢をしている
- 食欲が落ちている
- 毛ヅヤが悪くなっている
細長く平べったい『条虫』やタコ糸のような「線虫」が小腸に寄生することで、お尻を地面にこすりつける行動を取ることがあります。
犬に寄生する条虫は、「ウリザネ条虫」「マンソン裂頭条虫」などが有名です。
線虫では「回虫」「鞭虫」「鉤虫」などが有名です。
もし愛犬の肛門から白いひものような物が出ていたり、1㎝程度の白い切れ端のようなものがついている時、それは条虫の可能性がありますので、定期的にお尻をチェックするようにしてください。
また、便にタコ糸のようなものが混じっていれば回虫の可能性がありますので便もよくみるようにしてください。
ただし、誤飲したひも状の何かである可能性もあますので、注意してみてください。
もし強引に引っ張ってしまうと、腸が切れてしまい一大事になることがあるので、動いていない場合や、ちょっと引いても無理そうならむやみにひっぱらないようにして、獣医さんにみてもらいましょう。
そして寄生虫以外でお尻歩きする原因に、『肛門嚢の炎症』があります。
犬のお尻歩きの原因が肛門嚢の炎症の場合
- 肛門周辺が赤く腫れている
- 排便しづらそうにしている
- 排便時に突然走り出すことがある
- 肛門付近を気にして舐めることがある
肛門腺という分泌器官でつくられた分泌液は肛門嚢に蓄えられますが、その分泌液が何かの原因によって肛門嚢内にとどまり、細菌が繁殖することで炎症が起こり肛門嚢炎になってしまいます。
そのまま放置すると、破裂したり腫瘍化することがあるので大変危険です。
また、肛門嚢炎を発症するのは、排便時に動く外肛門括約筋の力が弱いトイプードルやチワワなどの小型犬に多いようです。
定期的なチェックと肛門腺絞りをしてあげましょう。
その他、肛門周囲腺の炎症が原因の場合
寄生虫や肛門嚢の炎症以外では『肛門周囲腺の炎症』が犬がお尻歩きをする原因の場合もあります。
- 肛門が赤く腫れている
- 排便しづらそうにしている
- 肛門から異臭がしている
- 排便時に痛そうな声で鳴いていることがある
犬の肛門付近にある肛門嚢の外側に肛門周囲腺と呼ばれる小さな分泌腺があり、この分泌腺が炎症を起こした状態が肛門周囲腺炎です。
この炎症が悪化すると肛門横に小さな穴があいてしまい、肛門周囲瘻になってしまいます。
肛門周辺の通気が悪くなったり、被毛に糞がついて排便しづらくなったりすることからも発症する場合もあるので、定期的なチェックをしてあげてください。
犬のお尻歩きには定期的な肛門腺絞りが大切
肛門腺という器官から分泌される液体は肛門嚢にたまり、通常はその液体はマーキングや排泄の度に肛門嚢から少しずつ排出されます。
しかし、小型犬や中型犬の中にはこの排出する機能が衰えている犬もいるため、飼い主さんが排出してあげなくてはいけません。
肛門腺に分泌液が溜まる速さは犬によって様々ですが、1か月に1回を目安に絞ってあげましょう。
犬がお尻歩きをしたり、お尻をしきりに気にしている様子が見えたりする場合は、お尻をチェックして気になる症状がない場合は肛門腺に液体が溜まり始めている可能性があります。
コツさえつかめば肛門腺絞りは自宅でもできるので、挑戦してみてください。
肛門腺絞りのやり方
- 犬の尻尾を利き手ではない方の手で持ち、肛門が見えるようにします。
- 親指と人差し指で肛門の下3分の1あたりを時計で言うと4時8時の位置で押さえ、肛門嚢を探します。このとき、指先に少し固い感触があったらそこが肛門嚢です。
- 位置が確認できたら肛門をつまむようにぐっと力を入れ、肛門から液が出てきたら最後まで絞り切ります。室内で行う場合はかなり臭い液が飛び出てくるので、ティッシュなどを指と肛門の間に挟んでおきましょう。
- 液体が出てこなくなったら終了です。きれいにお尻を洗い流してあげましょう。
肛門腺絞りの注意
肛門嚢に分泌液が溜まっていると固くなってしまい、液体が出てこないことがあります。
その際に強く絞ってしまうと犬も痛みを感じてしまい、肛門腺絞りは怖いものだと認識してしまうため、焦らずに肛門嚢をほぐすようにマッサージをしてから行うようにしましょう。
まとめ
犬がお尻で歩く「お尻歩き」は病気が原因になっている可能性があります。愛犬をよく観察することが早期発見につながるので、少しでも意識をしておくと良いでしょう。
また、肛門腺絞りは犬も痛みがあるため嫌がることが多く、緊張で肛門が固く閉じてしまうことがあります。
無理に続けるとより嫌いになってしまうため、飼い主さんがリラックスした雰囲気を作りながらしてあげることが大切です。
最初はなかなかできずに焦ってしまうことが多いと思いますが、愛犬と無理なく挑戦し続け、おうちでもケアできるように頑張っていきましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 匿名
女性 匿名
うちもお尻歩きしていて、そろそろトリミングに行かなきゃなぁ〜。なんて呑気に構えてました。少ししてから白目が赤くなり涙が出て…
病院にすぐにつれていきましたが、ぶどう膜炎との診断。
でも、実際は子宮蓄のう症でした。もう少し遅れていたら 命が危なかったらしく 驚きました。 手術をしてからも 左半身付随になり、本人もなかなか大変だったと思います。今は半年たち 麻痺も無くなりましたが、運動をさせないとふらつきます。
細かな観察が必要だと 再認識したところです。
女性 ムーディー
40代 女性 SUSU
ミニチュアダックスの男の子と暮らしています。
トリマーさんいわく、犬によって肛門腺が溜まりやすい、溜まりにくい体質があるそうで、愛犬は残念ながら溜まりやすい体質とのことでした。
肛門腺を絞ってから3週間程たつと、お尻歩きをするようになります。特に排便後が多いです。
犬のことをよく勉強していない頃はその姿がかわいくて、笑って見ていたのですが、あまりいい状態ではないということがわかってからは、お尻歩きをする時期になるとシャンプーを予約しなきゃと思うようになっています。
肛門腺絞りはコツがあるようで、自分ではなかなか思うようにいきません。
獣医さんやトリマーさんによっても腕の差があるようで、絞って貰った後、数日、お尻歩きをすることがあります。
肛門腺を絞るのには力がいるそうなのですが、あまり力が強すぎるのも良くないようで、お散歩仲間のペキニーズの子は、男性のトリマーさんにお願いしていたが、帰ってきてからのお尻歩きがあまりにもひどいので、肛門腺だけは獣医さんにお願いしていると話していました。
我が家も同じ方にお願いしており、やはり帰宅後のお尻歩きが多く、ひどい時はサロン帰りのアスファルトでもお尻歩きをしていました。
肛門腺が溜まりすぎるのも炎症が起きますが、強く絞りすぎるのも肛門が赤く晴れ上がり、ワンちゃんにとってはかわいそうなことだと思います。
獣医さんやトリマーさんにお願いしている場合、どうだった?とワンちゃんに聞ければ一番いいのですが、もし、帰宅後、何度もお尻歩きをしている場合は、力が強すぎる、など良くないことが起こっている可能性もあります。
お願いする相手を変えてみることで改善されるかもしれません。
現在、我が家ではサロンを変え、帰宅後のお尻歩きはありません。
痛いのもむず痒いのもかわいそうなので、出来るだけ上手なトリマーさんを見つけてあげたいですね。
40代 女性 まかぶらたると
この記事にあるように、寄生虫などがいる場合を想像すると、かなり怖いです。その話は聞いたことがあるので、心配で定期検診の時に獣医さんに尋ねたことがありましたが、今のところはその心配はないとのことでしたので、ちょっと安心しています。
肛門腺絞りは、定期的に行うようにしています。シャンプーをする時にできるだけするようにしています。ここでも書かれているように、部屋などでもしやってそれが溢れたりすると、かなりの匂いで大惨事になりそうです。たしかに相当臭いです(笑)シャンプー前に絞るようにすれば、そのまま流せますし、犬自身もかなり気持ちよくすっきりするようです。
でもあまり頻繁にお尻歩きをするようであれば、その際は注意しておかないといけないかなーと思いました。
女性 もふころ
気にする様子もあるので、早々に獣医さんに診てもらおうと思います。