ヨークシャーテリアの平均体重
ヨークシャーテリアの成犬時の平均体重は、一般的に2kgから3kg程度とされています。ただし、これはあくまで目安の数値です。
犬種標準を定めるジャパンケネルクラブ(JKC)では、ヨークシャーテリアの体重は3.1kg以下と規定されています。
しかし、これはドッグショーなどにおける基準であり、家庭犬として暮らす全てのヨークシャーテリアがこの範囲に収まらなければならないわけではありません。
骨格や体格には個体差が大きく、両親犬の大きさや血統によっても変わってきます。4kgを超える少し大きめのヨークシャーテリアもいれば、2kgに満たない小柄な子もいます。
大切なのは、標準体重の数字にこだわりすぎることなく、その子自身の骨格に見合った「理想体重」を知り、維持してあげることです。
ヨークシャーテリアの子犬の月齢別の体重目安
ヨークシャーテリアの子犬は、生後1年をかけて急速に成長します。特に最初の数ヶ月の体重変化は著しく、多くの飼い主様がその成長ぶりに驚かれることでしょう。
ここでは、子犬の成長過程における体重の推移の目安を月齢別にご紹介します。個体差が非常に大きい時期ですので、あくまで参考としてご覧ください。
【ヨークシャーテリアの月齢別 体重目安】
月齢 | 体重の目安 |
---|---|
生後2ヶ月 | 500g ~ 900g |
生後3ヶ月 | 800g ~ 1.3kg |
生後4ヶ月 | 1.1kg ~ 1.7kg |
生後5ヶ月 | 1.3kg ~ 2.0kg |
生後6ヶ月 | 1.5kg ~ 2.3kg |
生後8ヶ月 | 1.8kg ~ 2.8kg |
生後10ヶ月~1歳 | 2.0kg ~ 3.2kg |
子犬の体重は、生後3ヶ月頃までに生まれたときの体重の数倍に達し、生後6ヶ月頃には成犬時の体重の7割程度にまで成長することが多いです。
その後、成長のスピードは緩やかになり、おおよそ10ヶ月から1歳頃に骨格の成長が止まり、体重が安定してきます。この時期の体重増加が緩やかでも、食欲があり元気に過ごしていれば、過度に心配する必要はありません。
ヨークシャーテリアのライフステージ別の体重目安
犬の健康管理は、人の一生と同じように、成長段階に合わせたケアが重要です。ここでは「子犬期」「成犬期」「老犬期」の3つのステージに分けて、体重管理で意識すべきポイントを解説します。
子犬期(~1歳頃)の体重管理
子犬期は、骨や筋肉、内臓など、体を作るための最も重要な時期です。この時期の栄養状態が、生涯の健康を左右すると言っても過言ではありません。体重の増加を気にするあまり、食事の量を極端に制限することは、健全な発育を妨げる原因となるため絶対に避けてください。
子犬用の高栄養なフードを、パッケージに記載されている給与量を目安に、1日数回に分けて与えるのが基本です。
成犬期(1歳~7歳頃)の体重管理
1歳を過ぎ、成長が落ち着くと成犬期に入ります。この時期は、子犬期に形成された骨格と筋肉に見合った「その子の理想体重」を維持することが目標となります。ヨークシャーテリアのような小型犬は、避妊・去勢手術後にホルモンバランスの変化で太りやすくなる傾向があります。
フードを成犬用に切り替え、おやつの与えすぎに注意し、適度な運動を習慣づけることが肥満予防の鍵です。
老犬期(シニア期、8歳頃~)の体重管理
8歳頃からはいよいよシニア期、老犬期に突入します。年齢とともに基礎代謝が低下し、運動量も減るため、成犬期と同じ食事内容では体重が増加しやすくなります。肥満は心臓や関節に大きな負担をかけるため、シニア犬用のフードに切り替えるなど、カロリーコントロールが必要です。
一方で、病気や消化機能の低下、歯の問題などで食が細くなり、体重が減少してしまうケースもあります。急激な体重の増減は病気のサインである可能性も高いため、より一層注意深い観察が求められます。
ヨークシャーテリアの体重の測り方
愛犬の体重を正確に把握することは、健康管理の基本です。動物病院で定期的に測ってもらうのが最も確実ですが、ご家庭でも簡単に測定できます。月に1~2回(子犬期は週1回程度、決まった時間に測定する習慣をつけましょう。
家庭にある体重計で測定する方法
人間用のデジタル体重計があれば、飼い主様が抱っこして測る方法が手軽です。まず飼い主様だけが体重計に乗り、ご自身の体重を測定します。次に、愛犬をできるだけ動かないように安定させて抱っこし、再び体重計に乗ります。その二つの数値の差が、愛犬の体重となります。
例えば、飼い主様の体重が50.0kg、愛犬を抱っこした状態の体重が52.5kgであれば、愛犬の体重は2.5kgと計算できます。
ペット用の体重計を使う方法
より正確に測定したい場合や、抱っこを嫌がる子の場合は、ペット用の体重計を用意するのも良いでしょう。数g単位で測定できるものもあり、特に体重変化が健康状態に直結しやすい子犬やシニア犬、持病のある子の管理に役立ちます。
ヨークシャーテリアの体重・体型の管理方法
体重の数値だけを追うのではなく、実際に体に触れて体型をチェックすることが非常に重要です。ここでは、獣医療の現場で用いられる「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」という考え方をご紹介します。本記事では一般的な5段階評価を採用しています。
ボディ・コンディション・スコア(BCS)とは
ボディ・コンディション・スコア(BCS)とは、犬の見た目と体に触れたときの感触から、体型を評価するための指標です。一般的に「痩せすぎ」から「太りすぎ」までを5段階で評価します。
このBCSを用いることで、体重の数値だけでは分からない、その子の骨格に対する肉付きのバランスを客観的に判断できます。
理想的な体型(BCS3)の見分け方
BCSの5段階評価のうち、真ん中の「BCS3」が理想的な体型とされます。ご家庭では以下の2つのポイントを確認してみてください。まず、愛犬の胸のあたりを優しく撫でてみましょう。
手のひらで薄い皮下脂肪越しに、肋骨(あばら骨)の感触がゴツゴツしすぎず、かといって脂肪に埋もれることなく、程よく触れられれば理想的です。次に、愛犬を真上から見てみましょう。胸からお腹にかけて、なだらかなくびれが確認できれば良い状態です。
痩せすぎのサイン(BCS1~2)
肋骨や腰骨、背骨などがくっきりと浮き出て見え、触るとゴツゴツと骨の感触が強い場合は「痩せすぎ」の状態です。
真上から見たときに、腰のくびれが極端にえぐれているように見えます。栄養不足や、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。
太りぎみのサイン(BCS4~5)
厚い脂肪に覆われて肋骨にほとんど触れることができず、真上から見ても腰のくびれが全くない、あるいは寸胴に見える場合は「太りぎみ」です。
肥満は関節炎や気管虚脱、糖尿病、心臓病など、様々な病気のリスクを高めます。ヨークシャーテリアは骨が細く、関節が華奢なため、体重増加による足腰への負担は特に注意が必要です。
ヨークシャーテリアの体重を維持する方法
愛犬のBCSが理想的な「3」から外れていた場合、食事と運動の両面から生活習慣を見直す必要があります。理想体重を維持するための具体的な方法をご紹介します。
食事管理のポイント
最も重要なのが食事のコントロールです。フードのパッケージに記載されている給与量はあくまで一般的な目安です。愛犬の年齢、体重、活動量、避妊・去勢の有無などを考慮して量を調整しましょう。
計量カップは誤差が出やすいため、キッチンスケールを使って毎回正確に計量することをおすすめします。また、可愛い愛犬につい与えすぎてしまいがちな「おやつ」は、1日の総摂取カロリーの10%以内にとどめるのが原則です。
運動管理のポイント
ヨークシャーテリアは室内での活動だけでも運動量をある程度確保できますが、心身の健康と社会性を育むために、毎日の散歩は欠かせません。1回15分~20分程度の散歩を1日2回行うのが理想的です。
肥満気味の子の場合は、急に長時間の運動をさせると逆に関節を痛める原因になります。まずは散歩の時間を少しずつ延ばしたり、室内でボール遊びの時間を作ったりすることから始めましょう。
まとめ
ヨークシャーテリアの体重管理は、単に数値を目標に合わせることではありません。日々の食事や散歩を通して愛犬の体を観察し、体に触れてコミュニケーションをとる、愛情表現の一つです。
ご紹介した月齢ごとの体重やBCSはあくまで目安とし、目の前にいる愛犬の個性を何よりも大切にしてください。食事量や運動量、あるいは急な体重の変化など、少しでも不安や疑問に思うことがあれば、ためらわずに動物病院でかかりつけの獣医師に相談しましょう。
正しい知識と日々の観察が、愛犬の健やかで幸せな一生につながります。