犬種によって作出の目的が違う
犬には多くの種類がありますが、その違いは見た目だけではありません。
長い歴史の中で人は犬と共に生活してきましたが、それは「かわいいから」「癒されるから」という目的ではありません。犬にとっては人と暮らすことで安全が確保され、人にとっては犬の能力が暮らしに役立つものだったからです。時代や地域によって人が犬に求める役割は異なっていたので、様々な用途にあわせた犬種が開発されてきました。
犬種は大きく分けると7つに分類されます。
スポーティング・グループ
銃で鳥を仕留めるハンターの補助をするグループ。「獲物を探し、その所在をハンターに知らせる犬」と「射撃によって撃ち落とされた獲物を回収し、運ぶ犬」がいる。
ハウンド・グループ
嗅覚ハウンドと視覚ハウンドに分けられ、狩猟を行うグループ。猟犬が獲物を探し出してハンターが射撃する方法と、馬に乗ったハンターが多くの猟犬を引きつれて野をめぐり、犬に獲物を捕獲させる方法とがある。
ワーキング・グループ
狩猟以外のいろいろな作業に従事するグループ。公安機関の警察犬、空港の税関検査、盲導犬として活躍する。山岳地帯で道に迷った旅行者の救護や極地でのそり引き犬としても活動する。
テリア・グループ
土中や岩穴に生息している狐やアナグマ、ウサギ、野ネズミ、イタチ、モグラなどの小害獣を駆除するために利用されていたグループ。「テリア」とはラテン語で「土を掘る」という意味。
トイ・グループ
小型の室内犬。愛玩犬として扱われ、大きな役割はない。
ハーディング・グループ
草原や山岳地帯で牧畜の補助をするグループ。鋭い嗅覚や聴覚を利用して家畜群を監視し、誘導する牧羊犬など。
ノン・スポーティング・グループ
上の6種類に分類できない犬種のグループ。
このように犬種ごとに様々な目的があったのです。
例えば「狩猟」の能力が役立つ時代もありましたが、現在日本では犬のほとんどは愛玩犬として飼育されているため、「狩猟」の能力が問題行動につながる場合があります。
これらの行動は起こる前にきちんとしつけをすれば起こらなくなります。しかし、犬を飼う前にはきちんとその特性を理解しておく必要があるのです。
犬種特有の問題行動の例
ダックスフンド(ハウンド・グループ)
特性
嗅覚ハウンドとしてアナグマの巣を発見して穴に入り込んで獲物を威嚇し、穴から追い出す役割を担っていた。ダックスフンドは体格の割に吠え声が大きく、短足の前趾は土を掘り出し、穴を広げるのに役立った。
問題行動
よく吠える可能性がある。
しつけ
- 興奮させないために興奮をおさえるコマンドを教えておく
- ある程度は吠えても問題のない環境で飼う
ボーダーコリー(ハーディング・グループ)
特性
羊の統率犬として名高い実用犬。羊から目を離さない集中力があり、機敏な行動を得意とする。
問題行動
自転車や車、走っている人など動くものを見ると追いかけてしまう可能性がある。
しつけ
- 外出時には「まて」と「つけ」をしっかりできるようにしておく
- 幼い頃から自転車や自動車の存在に慣れさせておく(抱っこして出掛けるなど)
- 行動欲求が満たされるような遊びやトレーニングを常に行う
ボルゾイ(ハウンド・グループ)
特性
「ロシアン・ウルフハウンド」とも呼ばれるとおり、ロシアでオオカミ狩りに使用されていた。ハウンドグループの中では視覚ハウンドに分類され、目で獲物を追い、オオカミよりも速い足で追いかけていた。
問題行動
小動物などに過敏に反応し、追いかけようとする可能性がある。
しつけ
- 幼い頃から多くの犬や人に接し、社会化を行う
- 外出時には「まて」と「つけ」をしっかりできるようにしておく
シベリアンハスキー(ワーキング・グループ)
特性
古くからソリ引きやボート引きとして、重いものを引っ張って運ぶ役割を担っていた。
問題行動
リードなどを引っ張る癖があり、また引っ張る力が強い可能性がある。
しつけ
- 散歩のときの「つけ」は100%できるようにトレーニングをする
- 定期的にドッグランに通うなど、エネルギーを発散させる
- 力の弱い人は飼わないようにする
ゴールデン・リトリバー(スポーティング・グループ)
特性
リトリーブとは「回収」を意味し、リトリバー犬種は撃ち落とした鳥を探して持ってくる目的で使用されていた。
問題行動
- 水を恐れることがなく、川などに進んで入っていく可能性がある。
- 落ちているものを何でも持って来てしまう可能性がある。
しつけ
- 外出時には「まて」と「つけ」をしっかりできるようにしておく
- お客様の靴などを室内に運んで来てしまわないように、玄関には柵をつけておく
グレイハウンド(ハウンド・グループ)
特性
高い追跡能力を持ち、鹿狩りなどの獣猟犬として飼育されていた。
問題行動
動くものを追う本能があり、全犬種の中で最も足が速いため飼い主が制止できなければ危険が多い。
しつけ
- 外出時には「まて」と「つけ」をしっかりできるようにしておく
- 定期的にドッグランに通うなど、エネルギーを発散させる
ミニチュア・ピンシャー(トイ・グループ)
特性
未知の人に強い警戒本能を示すため、車の盗難防止や麻薬密売者の護衛犬として車に乗せられていた。攻撃的で自尊心が強く、恐れを知らず自分より大きな相手にも果敢に立ち向かい、前触れなく咬みつく事もある。
問題行動
知らない人に突然飛びついたり、むやみに手を出すと咬まれる可能性がある。
しつけ
- 「まて」や「おすわり」といったコマンドをしっかりとできるようにしておく
- 散歩中に知らない人が近づいてきたら、顔から触らないようにお願いする
犬種が同じでも個体差がある
犬種により様々な特性と問題行動の可能性がありますが、これらは100%そうなるということではありません。同じ犬種でも個体差があるので、問題行動が出やすい子とそうでない子がいます。それは生まれつきというよりは、飼い主さんや飼育環境次第です。
飼い始めてから「こんな犬だったの!?」とびっくりする前に、あらかじめ犬種の特性を理解した上で犬を飼い、その特性に合わせたしつけをしていってあげましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 匿名
女性 匿名
運動量が沢山いるのですが、散歩は朝晩30分位なので、週末にドッグランに連れて行きます。
食むらがあり何かと工夫していますが、体重は変わらないので身体に合わせた食事をとっているようです。
犬の被毛を被った人間のようなのは納得です。犬とは思えないくらい私達の言う事を理解しています。
女性 アニータ