犬がゼーゼーと呼吸する!咳の対処法や病気の種類について

【獣医師監修】犬がゼーゼーと呼吸する!咳の対処法や病気の種類について

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愛犬がいつもと違う苦しそうな呼吸をしていると、とても心配ですよね。犬の呼吸異常は重大な病気の可能性があるのです。飼い主さんが正しい知識を持っていることがとても大切です。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬のゼーゼーという呼吸は病気の兆候

獣医と犬

家族の一員である愛犬が病気になってしまったらとても悲しいことです。
ワンちゃんは人間の言葉を話すことができないので、体調不良に気付くのが遅れたり、「もうしばらく様子を見てみよう」と考えて病院に連れて行くのが遅れたりすると、最悪の結果につながることもあるのです。
そうならないためにも、飼い主が正しい知識を持ち、普段の健康な状態との違いをいち早く察知し、獣医さんに診てもらわなければなりません。

この記事では正常な呼吸の状態と呼吸異常について知り、そこから考えられる病気を紹介します。
ただ、自己判断は決してしないでくださいね。
「あれ?これってまずいかも!」と早く気付いてあげるための記事とお考えください。

正常な呼吸

まずは平常時の呼吸数とリズムを注意深く観察する習慣をつけてください。
1日1分間、胸側に静かに手を置いて呼吸数を測ってあげましょう。もしくは、胸の上下の動きを数えてください。触ることで興奮して呼吸がはやくなる場合があります。

正常な呼吸数は1分間に10〜30回です。

犬の大きさや年齢によって異なるのである程度の幅がありますので、あなたの愛犬の普段の呼吸数を把握しておいてください。
当然、運動後や興奮しているときには呼吸数は多くなりますので、愛犬が横になってくつろいでいるときにスキンシップの一環として呼吸数をチェックしてみるといいでしょう。

犬がゼーゼーと呼吸する時の病気

マスクをした犬

呼吸が異常な場合に考えられる病気をいくかご紹介します。
こういう病気があるということを知っているだけでも、深刻化する前に気づくことができるかもしれません。

  • ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)
  • ジステンパー
  • フィラリア症
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 肺水腫
  • 気管支狭窄
  • 気管虚脱
  • うっ血性心不全
  • 僧帽弁閉鎖不全症

ケンネルコフ

咳を主な症状とする伝染性の呼吸疾患。

症状

乾燥したカラ咳をしきりにし、何かが咽喉につかえて息がつまり、吐き出すような仕草をする。連続して咳をすることで嘔吐することもある。症状が悪化すると、食欲不振になり、粘液性の鼻汁が出ることもあるし、放置すると気管支肺炎になる場合も。

感染経路

ケンネルコフは他の犬に対する伝染力が非常に強いため、患犬や患犬の汚物などへの接触、または咳の飛沫による空気感染で容易に感染する。特に環境や体調が変わった時に発生しやすく、幼犬や栄養状態の悪い犬が感染しやすい。潜伏期間は1週間前後。

治療

抗生剤などの投薬が基本になります。また栄養価の高い消化のいい食事を与え、十分休養させる。適切な治療を行えば数日〜数週間で回復する。子犬である場合は合併症がない限り、1頭のみで家庭に迎えられストレスのない良好な環境が与えられれば自然に回復する例が多い。

予防

ケンネルコフの主要ウイルスはアデノウイルス、パラインフルエンザウイルスなどであるが、5種以上の混合ワクチンにはこのパラインフルエンザウイルスやアデノウイルスに対するワクチンが含まれているので、完全ではないがケンネルコフの予防ができる。

ジステンパー

犬の伝染病の中で最も代表的なもので、ウイルスによって伝染する犬特有の病気。ジステンパーウイルスは各組織に侵入し、そこに潜在している最近との混合感染により様々な症状が出る。

症状

呼吸器症状:咳、くしゃみ、鼻の乾燥、鼻汁、呼吸困難
消化器症状:嘔吐、下痢、粘血便、流涎、食欲不振
目の症状:流涙、結膜炎、充血、角膜炎
神経症状:痙攣、全身麻痺、神経障害

感染経路

患犬の鼻汁、目やに、尿、便の中に病原ウイルスが含まれていて、それらに接触することにより感染する。また、近距離の場合は空気感染もする。潜伏期間は7〜10日間。

治療

対処療法が基本的な治療になります。また、ジステンパーにかかり回復したわんちゃんやしっかりワクチンを接種しているわんちゃんの血清を投与して症状を軽減できる場合もあります。二次感染の細菌に対しては、抗生物質などを投与。症状が進行すると死に至る回復困難な病気であるため、似た症状が出たらすぐに獣医師に診せるべきである。

予防

ジステンパーウイルスに対するワクチンは5種以上の混合ワクチンに含まれているので、ワクチン接種により予防できる。ワクチンによる抗体の効果は永続的なものではないため、1年ごとに追加接種を行う必要がある。

フィラリア症

犬糸状虫が主として終宿主の肺動脈や血管内、心臓に寄生することで、血液の流れが妨げられ、心臓機能、肝臓、腎臓等に障害を起こす。放置すれば最終的には心不全により死に至る。

症状

軽症例では肺動脈に寄生することで、咳がみられます。喉に骨をかけたような「カッカッ」という咳で、やがて運動中や気温の変化によって激しく咳き込むようになる。

初期症状:元気がなく疲れやすい、毛艶が悪くなる、呼吸が速くなる、咳が出る、体重減少
末期症状:貧血を起こしやすくなる、運動直後に失神する、腹水、黄疸、血色素尿をする、右心室拡張、肺動脈の血流障害

感染経路

蚊を媒介して感染する。フィラリアが蚊の体内で成長するためには体内温度16度以上が必要であるため、冬や早春に見られる蚊には感染能力はない。

治療

投薬による成虫の駆除を行う。死んだ成虫は白血球により処理されるが、早期発見と早期治療が重要で、成虫が多数寄生している場合、フィラリアの死体が血管を閉塞することで、犬の命を落とす危険が高くなる。多数寄生してる場合には外科手術により摘出することもあるが、右心房に移動した虫のみが対象であるため、完全ではない。

予防

蚊の発生する期間、内服薬剤や注射などの予防薬を連続投与して犬に感染した幼虫を駆除する。1ヶ月に1回、年に6回投与する例が多い。かかりつけの獣医師に相談し、蚊の発生する期間は定期的に通い予防薬を処方してもらうことが重要である。

気管支炎

空気の通り道である気管に炎症が起こった状態。急性気管支炎と慢性気管支炎がある。

症状

急性気管支炎:初期は乾いた咳だが症状の進行に伴って痰が絡んだような咳をする。喉に刺激が加わると(食事の後やリードを引っ張った時など)咳をするようになる。悪化すると肺炎になることもある。
慢性気管支炎:湿った咳をする。下を向いて喉が詰まっているような動きをする。喉に刺激が加わると(食事の後やリードを引っ張った時など)咳をするようになる。悪化すると浅くて速い呼吸をするようになり、チアノーゼや呼吸困難になる。

しかし、動物病院では、あまり診断するうえで急性気管支炎というものを使いません。ほとんどの子はすぐに治りますが、慢性的なものは慢性気管支炎ということはあります。 気管支炎としては、具体的な疾患がないのに、慢性的な咳をしていたりすれば、悪化して呼吸困難になったり、肺炎になったりします。

原因

ウイルスや細菌への感染、タバコの煙ホコリなどハウスダストの吸引、アレルギー、寄生虫

治療

原因に応じた治療を行う。ウイルス、細菌への感染による場合には抗生物質を与える。通常は運動を控え安静にしていれば数日で治るが、場合によっては抗炎症剤や鎮咳剤を用いることもある。慢性気管支炎になってしまうと、咳を完全になくすことは難しくなります。原因物質を特定しそれを遠ざけることで悪化を防ぐ。

予防

普段から温度や湿度に気を配り、タバコの煙やホコリなどのハウスダストを犬が吸い込まないようにする。お散歩の時には首輪ではなくハーネスを使い、首への負担を減らす。

肺炎

何らかの原因で肺に炎症を引き起こした状態。正常な呼吸ができなくなり重篤化するケースが多々ある。

症状

咳、吐き気、発熱、食欲不振、ぐったりして元気がない、運動を嫌がる、呼吸が速く浅くなる、呼吸困難。

原因

ジステンパーウイルスやケンネルコフウイルスなどの感染、細菌、真菌、寄生虫、有毒ガス、薬剤、誤嚥

治療

別の病気で肺炎が引き起こされている場合には、その原因となる病気の治療を行う。肺炎そのものの治療は、二次的な細菌感染を防ぐために抗生物質を投与したり、症状によって解熱剤、鎮咳剤、消炎剤などの投与や酸素吸入を行う。

予防

ウイルス性の肺炎を防ぐためには、ワクチン接種が欠かせない。その他の肺炎を防ぐためには、日頃から健康管理に気をつけた食事を心がけ衛生的な環境で飼育することが重要である。

肺水腫

肺に水が溜まり、酸素と二酸化炭素の交換が困難になる。重症の場合には命に関わる。

症状

湿った咳をする、ゼェゼェと呼吸が荒くなる、血の混じった泡状の鼻汁が出る、チアノーゼ(舌が青紫色に変色する)、横になると呼吸がしづらいので座ったままでいる、首を伸ばしお腹を動かす腹式呼吸をする。

原因

犬の場合、ほとんどは心臓の障害が原因で起こる。心臓の動きが悪くなり、血液の流れが滞ることで肺の中に血液成分が漏れ出し肺水腫を引き起こす。熱中症が原因である場合もある。

治療

原因に応じた治療と同時進行で肺に溜まった水を血管内に戻す治療を行う。利尿剤や血管拡張剤を投与し、溜まってしまったお水を尿として排出させる。

予防

他の病気が原因となって起こるので、定期的な健康診断等で原因となる病気の早期発見を心がける。夏のお散歩などでは暑さ対策をしっかり行う。

獣医と飼い主と犬

気管支狭窄

気管が狭くなり呼吸がしにくい状態。

症状

ゼェゼェという激しい呼吸、寝ている時にいびきをかく、呼吸の時にヒューという音がする

原因

異物を飲み込んで気管支に入り込んでしまった、気管に腫瘍がある

治療

異物の誤飲の場合には、その異物を取り除く。困難な場合には、麻酔をかけて内視鏡での除去や外科手術をし切開して取り出すこともある。腫瘍が原因の場合にも出来るのであれば同様に除去する。

予防

犬が誤食、誤飲してしまいそうなものは犬の届かない場所に置くこと。老犬になったら飲み込みやすい食事に変えてあげる。

気管虚脱

気管が潰れて呼吸困難になる。

症状

ゼーゼー、ハーハーと荒い呼吸をする、ガチョウの鳴き声のような呼吸音、よだれを垂らしながら喘ぐ、呼吸困難

原因

肥満、遺伝、物理的な刺激、老齢

治療

軽度の場合は咳止め薬や抗炎症薬などの投与を行う。チアノーゼが出ていたり酸素の欠乏が著しい場合には酸素吸入を行う。気管の変形が激しい場合には外科手術を行い、人工の気管軟骨を挿入する。

予防

肥満犬や老犬に多いので、普段からの健康管理が重要である。また散歩の際には首輪ではなくハーネスを使う。

うっ血性心不全

心臓機能が低下して、全身の血液循環が悪化した状態。

症状

初期症状:疲れやすい、夜に咳をする、落ち着きがなくなる
中期症状:食欲不振、体重の減少、呼吸困難
末期症状:呼吸が苦しくなり横にならない、歯茎の色が灰色から青色に変色、運動すると失神する

原因

心臓病やフィラリアなどの寄生虫などがあげられます。

治療

うっ血性心不全が他の病気の影響で引き起こされている場合には、基礎疾患の治療を優先して行う。心不全自体の治療には薬物療法、食事療法がある。安静にしていることもが重要である。

予防

他の病気が原因となって起こる場合も多いので、定期的な健康診断等で原因となる病気の早期発見を心がける。

僧帽弁閉鎖不全症

心臓の弁がうまく閉まらなくなり、隙間から血流が逆流してしまう。病気が進行すると肺水腫を引き起こすこともある。

症状

すぐに息切れをする、咳をする、疲れやすい、少しの運動ですぐに座り込んでしまう、失神、チアノーゼ

原因

僧帽弁が変性する理由は加齢性によるものと考えられてはいますが、はっきりとはわかっていない。発症しやすい犬種としてキャバリアがあげられる。他に、ポメラニアン、マルチーズなどその他小型犬に発症しやすい。

治療

内服による投薬治療を行うのが一般的である。

予防

肥満は、悪化させる要因の一つにもなりますし、塩分のとりすぎもよくはありません。ただ大事なことは、定期検診を欠かさないこと。

まとめ

愛犬

犬の咳や呼吸異常は、人間のように「風邪かしら?」では済まされない重大な病のサインです。
決して見過ごしてしまわぬよう、正しい知識を持って、日頃から愛犬をよく観察してあげてください。
そして定期検診を欠かさないでください。

犬は人間の4~5倍早く歳をとると言われています。
つまり人間にとっての1年が愛犬にとっては4~5年に相当するということです。
1年間定期検診に行かないということは、もし病気になっていた場合には4~5年間もの間病気を放置していたことになります。
人間も犬も病気は早期発見が大切です。

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