犬が見知らぬ人から撫でられること
愛犬と散歩中、道行く人に「かわいい~」とか「触ってもいいですか?」と声をかけられて触られることって多くありますよね。そして逆に、自分がお散歩している犬に遭遇して犬を触らせてもらうこともあるかと思います。
犬好きなら思わずとってしまう行動なのですが、ちょっと待ってください。
触られている犬は一体どう思っているのでしょうか?そしてその時どのような反応を示しているのかあなたはご存知ですか?
見知らぬ人は犬にとって警戒の対象となりますが、その人の雰囲気や年齢、その触れ方によって犬の反応は変わってきます。それに伴い警戒の仕方も違ってくるものです。その相手によっては全く警戒せず受け入れることもあれば、犬が好きそうな人でもその人が触れようとしただけで警戒して「ワンワン」吠えることもあり、犬の反応は様々です。
そこで、今回ドイツの研究チームがこんな興味深い実験を試みました。
見知らぬ人に撫でられた時の犬の反応を検証
ドイツの研究チームは「犬が見知らぬ人に急に接触された時どのような反応を示すのか」という実験を執り行いました。犬オーナーとして、そして犬好きとしてはとても興味深いものですね。
実験内容
実験に参加した犬は全部で28頭。犬種年齢やトレーニング歴などすべてバラバラです。
まず、飼い主が実験スペースに犬と一緒に入ります。その時飼い主は犬に対しては無関心状態で普通に振る舞います。そしてそこへ見知らぬ人が訪れ、犬を触っていきます。
そこで犬たちの行動や反応、心拍数を解析していきます。犬の反応の予想としては舌をぺろっと出したり、あくびをする、片足をあげるなどのカーミングシグナルが予想され、それらによってストレス度合いも違ってくることが分かります。
犬への接触方法
①肩を撫でる
②胸のわきを撫でる
③首の上部を撫でる
④犬が床に伏せている状態になっているところを撫でる
⑤前足片方だけを持つ
⑥頭のてっぺんを撫でる
⑦尻尾の付け根付近の背中を軽くかく
⑧首輪を掴み持つ
⑨片手でマズルを持つ
撫でられ方によって反応が違う
犬たちに行った1から9の実験によって犬たちは様々な行動や反応を示し、それによる心拍数にも変化が見られました。
それでは、その実験結果とはどのようなものとなったのでしょうか?
犬の反応
犬が否定的反応を見せた接触方法
1から9の中で犬が否定的反応を見せ、心拍数に変化をもたらしたのは
④犬が床に伏せている状態になっているところを撫でる
⑧首輪を掴み持つ
⑨片手でマズルを持つ
この3つでした。これら3つに共通しているのはどれも「抑制的接触方法」であるということです。
犬が不快な反応を見せた接触方法
上記の④⑧⑨よりは犬が煩わしいと感じなかったものの、不快に感じ心拍数に変化をもたらしたのは
⑤前足片方だけを持つ
⑥頭のてっぺんを撫でる
この2つでした。これらは犬が「嫌だなぁ」と感じやすい接触方法です。
逆に犬が喜んだ接触方法
これまでは犬が否定的な反応を見せたり、犬が不快に感じたりした接触結果でしたが、今度は逆に犬が喜んだ接触方法が実験から分かりました。
①肩を撫でる
②胸のわきを撫でる
⑦尻尾の付け根付近の背中を軽くかく
この3つの接触方法でした。これらが犬にとって好ましい触れ方ということです。
実験結果から見えてくる初対面の犬に会った時の対処法
28頭の様々な犬に実験した結果、犬が否定的に感じることや不快に感じることが多いというのが分かりましたね。
こちらからしたら好意的な接触の仕方だとしても、犬からしたら抑制的接触方法である場合があるのです。人もそうですが、抑制的に接触されれば犬だって嫌悪感を抱きます。これは当然と言える結果ですね。
また忘れてはいけないのが、最も人がやりがちな「犬の頭を撫でる」ということが実験結果から犬が不快に感じてしまう接触方法だということです。ついつい可愛くて頭を撫でたくなりがちですが、見知らぬ人にいきなり頭を撫でられたら嫌なのは当たり前でよすね。
今後私たちが犬に対して気遣ってあげるべきことは”むやみに触らない””むやみに触らせない”これが一番の対処法ではないでしょうか。
人と犬共に暮らしてきた深く長い人生の友でありますが、そもそも種が違うのです。種が違うということはコミュニケーションの仕方も違います。そのため信頼関係を築くのには時間がかかるもの。
そんな犬たちを見た目だけで判断し可愛い容姿だから触れたいと思うのはこっちの勝手な思考でしかないのです。
また、犬と触れ合ってこなかった人やなんとなく犬を怖いと感じている人、子供の犬への接触方法は恐る恐る触ろうとしたり、逆に犬の心理状態を理解せず勢いよく触ったりします。
このような人々からすると犬という生き物はまだまだ未知の世界であり、犬という生き物がどういう行動をするのかという飼い主からすれば常識であることがこれらの人々からすれば常識ではないのです。
この事実も私たち犬のオーナー達が理解し、犬と人が不快にならないよう事前に対処する必要がありますね。
まとめ
いかがでしたか?
ドイツの研究チームが行った犬が示す見知らぬ人への反応は、その接触方法で様々な反応を見せましたね。そして、そのほとんどが犬にとって好ましくなく、否定的反応を取ってしまったり不快な反応を示したりしました。
これらの結果から、私たち”人”が”犬たちに対する接触法”を見直さなければならないということがよく理解できたかと思います。
犬はその見た目から「かわいいな」「触ってみたいな」と勝手に思われてしまいがちですが、実はストレスを感じやすく、見知らぬ人の触れ方が抑制的に感じてしまうことが多いということを忘れてはいけません。
そして犬のオーナーはそれらを踏まえて見知らぬ人が接触する前に、犬が不快に感じないように未然に防ぐことも必要なことなのです。
そうすることで、犬と人との関係はより良くなっていくことでしょう。
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50代以上 女性 丸ちゃん