1.人間にも感染するから
狂犬病は犬だけがかかるものではない
狂犬病とは、狂犬病ウイルスによって感染する病気です。"犬"という文字が当てられていますが、犬だけでなくほとんどの哺乳類に感染する病気です。哺乳類ということは、もちろん人間にも感染し得る病気なのです。
世界の狂犬病感染源は?
一般的に、狂犬病ウイルスを持っている動物に噛まれたり引っかかれるなどした際に感染します。アジアやアフリカでは野犬から、ヨーロッパではキツネから、北米や中南米ではキツネ、スカンク、アライグマ、コウモリなどが感染源とされています。人から人への直接的な感染は現在までに報告されていませんが、角膜移植による感染が報告されています。
2.発症後の治療法がないから
狂犬病を発症するとどうなるの?
狂犬病が発症するまでの潜伏期間は約1~3ヶ月です。
初期症状は
- 発熱
- 頭痛
- 倦怠感
- 筋肉痛
- 疲労感
など、風邪のような症状が出ます。
そして進行していくと
- 興奮
- 不安
- 錯乱
- 幻覚
- 水を怖がる
などの神経的な症状が現れます。
水を怖がるのは、水を飲む時の感覚が過敏になってしまうのが原因の1つです。そのほか、目がチカチカしたり聴覚が過敏になるなどの感覚の異常が見られます。
致死率100%の恐ろしい病気である
現在においても、ひとたび狂犬病が発症してしまうと治療法がありません。最終的には昏睡状態となり、呼吸が停止して死に至ってしまう恐ろしい病気です。その致死率は100%とされており、風邪とは比べものにならないくらい恐ろしい病気なのです。
3.日本では義務だから
発症前なら対処法がある
狂犬病は発症してしまうと致死率100%の病気です。しかし、発症する前にワクチンや薬剤を打つことで発症を抑えられる可能性がありますが、その薬剤の中には日本では製造されていないものがあり入手困難な場合があります。
狂犬病を保有している動物にただ触れたり舐められただけでは処置の必要はないとされています。直接皮膚を噛まれたり引っかかれたり、傷のある皮膚を舐められた際には早急な治療が必要です。感染した恐れの高い場合の治療には「曝露後接種」という複数回ワクチンを接種する方法が取られます。
感染を広げないためにもワクチン接種が必要
日本は島国なので、外国からウイルスを持ち込まなければ感染することはほぼありません。現在も外国から狂犬病ウイルスを持ち込まないように、動物を国内に受け入れる際には厳重な対策を取っています。そのおかげで、現在では国内において狂犬病の発症はありません。
海外では今も発症している
しかし、狂犬病ウイルスが撲滅したわけではありません。海外では今も狂犬病が発症しています。狂犬病はひとたび発症してしまうと治療法がなく、人間を含めた哺乳類に感染する恐ろしい病気ですので、国内で発症していなくてもワクチン接種によって予防しておくことが義務付けられているのです。
まとめ
もう日本では発症していないのに、毎年お金を払って狂犬病のワクチンを打つ意味があるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。ワクチン接種には副作用の危険性もあり、不安になってしまうこともあるでしょう。しかし、狂犬病はひとたび発症してしまうと治療法がなく、必ず死に至ってしまう恐ろしい病気です。日本では発症していませんが、世界から狂犬病ウイルスが撲滅したわけではありません。
そして、人間を含めたほとんどの哺乳類に感染し得る病気であることも、日本で狂犬病の予防接種が義務付けられている理由です。先日我が家にも狂犬病予防接種の通知が届き、今年も春が来たのだなぁと実感しています。大切な愛犬だけでなく、哺乳類の動物たち、そして私たちの命を守るために、毎年の狂犬病予防接種が大切です。