盲導犬になれる犬種に適している3つの条件

盲導犬になれる犬種に適している3つの条件

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盲導犬が、某大手企業のオフィスで視覚障害のあるスタッフを支えて活躍しているという話を、最近ネットで見ました。いま、活躍中の盲導犬は全国で1,000頭、盲導犬を必要とする視覚障害者は7,800人。先ほどの企業のように、盲導犬の活躍の場は広がっていますが、まだまだ不足しています。今日は、盲導犬に向いている犬種をテーマに、盲導犬をめぐるお話しをしたいと思います。

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盲導犬のラブラドールレトリーバー

盲導犬は世界で活躍している

最近ネットで見た映像に、「企業のオフィスに取り込まれて、視覚障害のあるスタッフを支えて活躍する盲導犬」を紹介したものがありました。

それは情報システム系の大手企業で、そこでは多様化をテーマに、人事面でも性、年齢、障害の有無を問わない人事方針を徹底しており、視覚障害のある方も各部署に効果的に配属されています。

私がたまたま見たのは人事課のHさんという弱視の視覚障害者が、イッシュという盲導犬を隣のデスクの下に控えさせて、社屋内の移動に使いこなしている様子を映していました。
これは個人ではなく、会社がその有益性を認めて盲導犬を活用しているということです。この事からも、盲導犬の活躍の場が広がっているのがよくわかりました。

盲導犬に向いている犬種

ゴールデンレトリバー

盲導犬に適している犬種の条件3つ

では、盲導犬に適している犬種とは一体どのような犬種なのでしょうか?盲導犬になるには以下の3つの条件で向いているか向いていないかがはっきりと分かれます。

  • 人との作業意欲が高い
  • 攻撃性がない
  • 順応性が高い

昔は盲導犬のほとんどジャーマン・シェパードでしたが、この犬種は見るからに精悍で、人によっては威圧感を与えがちだということから、見た目の可愛さ、穏やかさから、現在はラブラドール・レトリーバーがもっとも多く活躍している犬種です。他には、レトリーバー系のゴールデン・レトリーバー、それにゴールデン・レトリーバーの1代雑種で通称ミックスブリードもいます。

レトリーバー系の犬は、垂れ耳でアーモンド型の目など、見た目が穏やかであること、生来狩猟犬で人間との作業を好む性格から、盲導犬にはうってつけなのです。
さらにレトリーバー系の犬のサイズが格好だということも、この犬種がほぼ盲導犬の専門になっている理由です。

盲導犬の歴史

人間の動きを助ける犬の話としては、古くはローマの遺跡からも、犬が人間の目代わりになっている様子が伺えているそうです。これが盲導犬の原点であると私は考えています。

当時は、今のようにハーネスを使っての脚側歩行ではなく、長い紐で繋がれた犬が人間を引っ張っているものばかりでした。盲導犬としての役割を存分果たせていたかというと、正直微妙なところですね。

実際に初めて盲導犬として言われているのは、ヨハン・ヴィルヘルム・クラインというウイーンの神父に首輪に長い棒をつけられた犬で、1819年のことだそうです。

そして盲導犬の訓練学校が初めて設立されたのは第一次世界大戦中のこと。

戦いで視覚に障害を受けた兵士を助けることを目的として設立されました。翌年には盲導犬が作出されて、兵士たちの誘導に役立てられたそうです。このころから盲導犬は世界的に活躍の場を徐々に広げていきます。

後述のように、盲導犬には今はさまざまな犬種が使われていますが、当時は犬種はジャーマン・シェパードでした。1923年には、初めての国立の盲導犬学校がポツダムに設立され、盲導犬が多数誕生して視覚障害兵士たちの社会復帰を助けました。

日本では、1938年に観光で日本に立ち寄った、あるアメリカ人観光客が連れてきた盲導犬が最初だと言われています。TheSeeingEye,Inc.を卒業したオルティーV.フォーチュネートフィールズという犬でした。

国産の盲導犬が誕生したのは1957年のこと、盲導犬団体の一つ『アイメイト協会』を創設した塩屋賢一が訓練したチャンピイという犬です。
盲導犬にはこのような歴史があり、今のように世界中で盲導犬が活躍するようになるまで、様々な過程があったことが分かりますね。

白い杖か盲導犬か

盲導犬というのは、いわゆる身体障害者補助犬の一つで、ほかには聴覚障害者の手助けをする聴導犬、肢体不自由者の手助けをする介助犬がいます。

道路交通法では、視覚障害者が公道を歩く時は、政令で定める杖(白杖)を携帯するか、盲導犬を帯同しなければいけないことになっています。

身体障害者補助犬法では、仕事中の盲導犬は胴輪式のハーネスを着け、そのハーネスのハンドルに盲導犬であることを明示すること、その盲導犬を使う視覚障害者は「盲導犬使用者証」や「身体障害者補助犬健康手帳」を携帯しなければならないことになっています。

盲導犬の動作、振る舞い

盲導犬の仕事は「目の見えない人、見えにくい人が安全に歩けるように」助けることが第一義です。障害物を避けたり、段差や曲がり角を教えたり、安全歩行のための補助をすることです。そのために道路交通法や肢体障害者補助犬法に守られて、目の不自由な人とバスや電車に乗ったり、店などに出入りすることができます。
これは上記の「身体障害者補助犬法」にて定められていることで、正しく補助犬の行動管理・衛生管理を行なわれている盲導犬に対して、正当な理由がなく入店を拒否することはできませんので、もし飲食店などを経営されている方がいましたら、事前に勉強されてみてはいかがでしょうか?

盲導犬のシンボルはハーネスで、これは体につけている白い胴輪の事を指すのですが、これを介して盲導犬の動きが使用者に伝わり、安全に歩くことができます。ハーネスの動きで左右に動けば左右の方角の角を、上下の動きで段差を知らせます。

このようにして盲導犬は盲目の方の動きを繊細にキャッチし、目の前にある危険や障害を伝えているんですね。
音の静かな車が増えてきているので、盲導犬はこれからも活躍していくことでしょう。

盲導犬を見たら

そんな繊細な動きで使用者に情報を伝える盲導犬には、周囲は周到な注意を払わなければなりません。では次に、盲導犬に対してしてはいけないことを6つ挙げます。

  • さわる
  • 声をかける
  • じっと見つめる
  • 食べ物与える・見せる
  • そばで大声を出す
  • ハーネスを引っ張る

これらはどれも盲導犬の判断を狂わせ、関心を逸らせ、意識を乱します。犬嫌いならば、盲導犬はたいてい使用者の左側を歩いていますから、その反対側を歩けばいいのです。

海外のユニークな盲導犬たち

黒のラブラドールレトリバー

盲導犬というと、目の不自由な人間を補助する犬というのが常識ですが、犬が犬を助けるという、それも何の訓練も受けない犬が自発的に視覚障害の犬を助けているという話をご紹介しましょう。これは5月22日のCBSNewsで報道されたものです。

これはアメリカでの出来事、ジェシカ・バンホウテンさんの愛犬、10歳の雌の秋田犬“キアヤ”が白内障で失明、それと気付いたオスの弟2頭、カス(8歳)とケラー(2歳)が「姉」の両側に寄り添って守る姿が報道され、全米が感動したという話です。

「ふたりともキアヤに気を遣って、ごはんは先に食べさせ、外出するときは両側に座って揺れないように気をつけるんです」、とジェシカさん。キアヤが片目を摘出したときは、カスはいつも目のない側に寄り添ってキアヤを支え、目のない側の耳を舐めてきれいにしてあげるそうです。

若いケラーもカスに見習って、おなじようにキアヤの周囲を離れなくなっているといいます。

見守る獣医師のグエン博士は、「驚いています。犬同士に見る奉仕の精神です。なんとも素晴らしい」と手放しで感嘆しています。

人間を支える犬たち、盲導犬もそうですがサービスドッグと呼ばれる犬たちは、訓練されて障害者に寄り添うのではなく、守るべき対象に自分で気付いて守りにつくことができる適性を生まれもっているのだ、ということに気付かされた印象的な話です。

これは日本でのことか海外の情報だったか、判然としませんが、こんな話もあります。

ある盲導犬が獣医の診察を受けた時のことです。盲導犬は日頃から使用者の安全のために、爪の手入れやなど定期的に獣医の診察を受けます。その日もそのためのチェックだったといいます。

大人しかったその犬が、ハーネスを外すやいなや、獣医の手元から急に跳んで、診察室中を走り始めたそうです。看護婦さんにフセをして見せたり、突然跳ね回ってはしゃぎ回りました。

ひとときの興奮状態が過ぎて、獣医がハーネスを取り付けるや、それまでの騒ぎは何だったのかという風情で、もの静かな「盲導犬」にもどったそうです。

「この子にいっときの遊びをさせてください」と使用者が事前に言っていたひと言を、その獣医は思い出したそうです。「そうか、この犬の心情を知っておられたのか」、と使用者と盲導犬の「絆」を改めて見た思いがした、とその獣医は語ったそうです。

その日以来、その獣医はこの盲導犬と使用者の姿を街中で見かけたそうです。もの静かに働く盲導犬の姿があの日の「騒ぎ」と重なって、その獣医は、「獣医になってよかった」と思ったそうです。

まとめ

盲導犬と人間の話には、私たちが学ぶべき教訓が多々あります。この話の締めくくりに、あえて長崎の盲導犬「アトム」の運命について触れておきたいと思います。

それはとても哀しいお話です。

使用者の補助を使命として訓練された盲導犬アトムが、他ならぬ使用者の非情な扱いで苦しみ、果ては失踪するまでに追い込まれていった経緯は、知る人の心臓を掻きむしります。

なんのために、人間に馴染みやすい犬種を選んで盲導犬を作るのか、なんのために犬生来の性格を抑えてまで訓練して盲導犬を作るのか、ハーネスから解き放たれて飛び跳ねて喜ぶあの盲導犬の姿を思い浮かべるたびに、人間は盲導犬という「生きた白い杖」について、真剣に考えなければいけないのだ、と思うのです。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 まゆみ

    盲導犬になるために訓練されたとは言え、犬の気持ちを考えると複雑な心境になりました…。散歩したり跳ね回る事もないんですよね…。
    盲導犬を見かける事はあまりありませんが、もし見かけても、話しかけたりはしない様にしようと思いました。
  • 投稿者

    30代 女性 椛

    最近、盲導犬を見ることが増えた気がします。
    電車の中でも本当に静かでお利口で、きちんと業務をこなしてします。
    よく見るのはやっぱりラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリーバーですね。
    見た目も威圧感なく、優しい顔をしているので怖がられることなく連れて歩きやすいのかもしれませんね!
    もっともっと盲導犬を連れて行動できる範囲が広がって、活躍できる場が増えるといいですね〜
  • 投稿者

    50代以上 女性 K9-ABC

    町で目にすることがある盲導犬は、本当にお仕事に注力しています。失礼な言い方かもしれませんが「犬なのに、偉い!」。目の不自由な方々のお手伝いをする盲導犬に向く性質の犬種から、選ばれてパピーウォーカーさん達に愛情いっぱい注がれて大事に育てられ、まだ遊びたい盛りの時に訓練して合格した犬が盲導犬として、お仕事につけるので、なかなか需要にあった供給ができないことも仕方ないと思います。それでも社会のため、一人でも多くの方の社会参加を支援するため、彼らはがんばっていると思います。盲導犬をはじめとする使役犬のみんな、私たちを助けてくれてありがとう!中には心ない方がいて盲導犬を大切にできないようですが、周りの私たちが関心を持って行動することで、人間にも、犬にも、もちろん他の生き物にも、より良い社会を築けると信じたいです。
  • 投稿者

    30代 女性 v_v

    愛犬家の方の中には、盲導犬や介助犬は動物虐待だとして反対する方がいます。犬は言葉が話せませんので、本当のところはわからないのでしょうが、犬たちは盲導犬や介助犬として働くことが嫌なことなんだとはわたしは思えません。
    多くの適正審査がされて、訓練を受けられる犬が選ばれていきます。喜んで職務ができない犬は、どんなに優秀であっても不適格として採用されないと聞いています。使用者と盲導犬には確固たる信頼関係が築かれているはずですし、一概に動物虐待とは言えないと私は考えます。
    仮にうちの犬が、と考えると向いていないことを訓練してやらされるのか、と考えてしまいますが、訓練も犬が楽しめるようされていると思うので、うちの犬が訓練できるくらいだったらそう悪くないのかも、などと考えてしまいます。
    犬は大昔から人間の生活を助けてきてくれました。歴史的背景を顧みてもそうおかしくないことだと思ってしまいます。
  • 投稿者

    40代 女性 こたママ

    以前犬のイベントに行ったときに盲導犬のデモンストレーションを見て感激しました!角や障害物でしっかり止まって伝えるのが簡単そうにやっているけど、犬にとってはすごくむずかしいことだよなぁ、と。それに何より利用者との信頼関係がすごいと思いました。相棒である盲導犬の姿すら見えない中で犬の動きを信頼して頼りにするって、結構怖いんじゃないかと思うんです。私だったらドキドキして本当に大丈夫!?って思っちゃいそうで。だからハーネスでつながって歩く姿を見るとなんだかグッときちゃいます。私たちに出来るのは、盲導犬のお仕事を邪魔しないこととチャリティなどに協力すること。特に仕事の邪魔をしないことは子供たちにもきちんと教えておこうと思います。
  • 投稿者

    女性 わたあめ

    盲導犬をよく見かけるようになってきました。
    電車やレストランでも、お仕事中のベストを着てスマートに振る舞っている姿を見ると、うちの愛犬とは大違いだなといつも思います。
    愛犬家の方の中には、盲導犬や聴導犬などは動物虐待だとして反対する方がいますが、私は彼らはとても楽しんで立派に自信を持って仕事をしているように見えます。
  • 投稿者

    女性 わかめ

    適正のある犬はわずかしかいないんですよね。以前海外のですが、盲導犬の選定から訓練までのドキュメンタリーを見たことがあります。とても優秀そうな犬なのに、1度でも興奮して暴れたりしたらそこで適正なしと判断されてしまうとか。確かに大切な命を預かる任務ですので厳しく審査されるのは当然ですが、あまりに厳しくて驚いたのを覚えています。
  • 投稿者

    女性 ルーツ

    盲導犬のテストはとても厳しいそうです。知り合いが盲導犬適正試験のようなものを途中で脱落してしまった犬を引き取って飼っていました。とてもお利口な子なのですが、どうやら遊ぶのが大好き過ぎて集中力がちょっと足りなかったようです。盲導犬は命を預かる大変な仕事ですから、一度でもはしゃいだり、攻撃的な素振りを見せた子は適正ナシと判断されてしまうんだとか。なんだかすごい世界ですね。
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