難聴とは?
難聴とは、人間の場合、音が聞こえにくい、言葉が聞き取りにくい、あるいは全く聞こえない症状のことを言います。人間の場合は、医師とコミュニケーションが取れるため、どんな音が聞こえないのか、または、聞き取りづらいのかなどを明確にすることが出来ます。
ところが、犬の難聴の場合は、難聴のパターンを明確にすることが出来ません。また、難聴は程度によって「聴覚障害」と言われることもあります。
難聴のタイプ
難聴には、音の振動を伝える外耳から内耳に障害があるために起こる「伝音難聴」、音を信号として伝える内耳や聴覚神経に問題があるために起こる「感音難聴」、そのどちらもに問題が合併することで起こる「混合性難聴」の3つのタイプがあります。
難聴の検査
犬の聴覚検査の方法として、聴性脳幹誘発反応検査という方法があります。この方法は、聴覚だけでなく、耳の中の内耳などの疾患も診断補助や治療の指標となりうる非常に有効な診断方法ですが、残念ながら日本の動物病院などではあまり普及していません。難聴になった原因を突き止めるために、MRI、CT、甲状腺ホルモンの検査を行う場合があります。
犬が難聴になっている時にする行動や仕草4つ
名前を呼んでも気が付かない
犬と一緒に暮らすと、とてもたくさんの言葉を覚えていて、その意味を理解していることがわかります。例えば、しっかり耳が聞こえていれば「○○、お散歩に行こう」「○○、ご飯を食べよう」と飼い主さんに声を掛けられたら、敏感に反応するはずです。
ところが、耳が聞こえていないと飼い主さんの声を聞き取れていないので、それこそ、まるで無視しているかのように、全く反応しません。
食べ物に関する音を立てても反応がない
健康な犬なら、食事であれおやつであれ、食べることが大好きです。耳が聞こえていたなら、例え、自分のおやつを開ける音でなくても、ビニール袋を「ガサガサ」と音を立てるだけでも目をキラキラさせて、飼い主さんの前にお利口にお座りして待っているコもいるでしょう。
けれども、耳が聞こえないと、その「ガサガサ」の音が聞こえません。当然、おやつやごはんの袋を開ける音や、飼い主さんが食事を準備する物音も聞こえないので、難聴になると反応しなくなります。
飼い主さんの言葉ではなく、行動で物事を判断している
音が聞こえない世界の中で徐々に慣れてくると、飼い主さんの行動を目で見て、「おやつをくれるのかな」「散歩に行くのかな」と判断するようになります。
びっくりすることや無関心が多くなる
耳が聞こえにくくなると、撫でようと触った時に極端にびっくりするようになります。反対に、花火の音や雷の音に対して極端に反応していたにもかかわらず、まったく反応しなくなることも多くなります。小さな物音に対して異常に吠え立てるようなことも多くなるかもしれません。
犬が難聴になる原因3つ
加齢性難聴
加齢性難聴とは、「年齢以外に特別な原因がない難聴」のことです。歳を取ると、細胞レベルで耳の機能が低下していき、だんだんと聞き取れる音の範囲が狭くなっていき、完全に聞こえないというのではなく、いわゆる「耳が遠い」状態になります。
先天性難聴の要因になる病気
現在、人に飼育されている犬の中には、人間が被毛の色や体格、性格などのために品種改良を重ねて、作出された犬種が多く存在します。その中には、ある特定の被毛の色の犬種だけが持っている遺伝子があり、その遺伝子の影響で先天的に聴覚障害になることが知られています。
後天性難聴の要因になる病気
甲状腺異常、外耳炎、内耳炎などが原因で起こる難聴です。
まとめ
愛犬と私たち飼い主は、家族として運命的に出会いました。たとえ、耳が聞こえなくても、愛しい存在であることには変わりません。むしろ、私たちの声が聞こえないことはとても寂しいけれど、その分、私たちの心の中の声は愛犬にしっかりと届くようになるかも知れません。