人が狂犬病に感染すると起こる症状
現在、日本国内では1957年を最後に狂犬病は発生していません。狂犬病は、全ての哺乳類に感染するとされていますが、人から人への感染はしません。人が狂犬病に感染する原因は、狂犬病に感染した動物に噛まれることです。人も動物も狂犬病を発症すると、ほぼ100%の確率で死亡するとされています。
近隣諸国では、狂犬病が蔓延している国もありますが、旅行者が現地の野良犬に噛まれ、狂犬病を発症する例があり、年間で数万人もの人が亡くなっているそうです。では、人が狂犬病を発症すると、どのような症状が起きるのでしょうか。
危険な症状①「風邪のような症状が起こります」
人が狂犬病に感染すると、身体がだるい・筋肉痛になる・停滞感がある・頭が痛い・熱が出るなど、風邪のような症状が起こります。これは、狂犬病に感染したことによる初期症状です。
危険な症状②「精神状態に異常が起こります」
人が狂犬病に感染すると、風邪のような初期症状が起きたあと、興奮する・不安になる・幻覚があらわれる・攻撃的になる・錯乱する・水を怖がるようになるなど、精神状態に異常が起こります。これは、脳に炎症が起きていることによる症状です。
危険な症状③「ほぼ100%の確率で死亡する症状です」
人が狂犬病に感染すると、最終的には昏睡状態となります。そして、自力では呼吸することができなくなり、呼吸が停止することで死亡します。
狂犬病に感染した可能性がある場合の対処法
狂犬病が発生している地域において、犬や猫などの動物に噛まれてしまったとき、狂犬病に感染する可能性がある場合には、ワクチンの接種(暴露後接種)をすることによって、発症を予防することができます。
一度ではなく、複数回にわたって、所定の回数を接種する必要があります。ワクチンの接種を受ける必要がある場合には、最寄りの医療機関または保健所に相談してください。
ワクチンの種類によって、接種する必要のある回数や接種する部位は異なります。日本で医薬品として承認されているワクチンには、下記のようなものがあります。
- 組織培養不活化狂犬病ワクチン(KMバイオロジクス株式会社)
- ラビピュール筋注用(グラクソスミスクライン株式会社)
どれくらいの期間で発症するのか
狂犬病に感染した場合、一般的には、潜伏期間が1か月から3か月あるとされています。しかし、感染してから数年後に発症したという事例もあります。また、狂犬病に感染した場合、発症してからでなければ、感染の有無を診断することができません。何らかの症状が起きてからでないと、明確な判断をすることができないのです。
どんな動物が狂犬病の主な感染源とされているのか
- 犬
- 猫
- キツネ
- アライグマ
- スカンク
- コウモリ
- マングース
私たち日本人が暮らすアジア諸国では、主に犬と猫が感染源となっています。
渡航前の予防接種で狂犬病を予防する方法
狂犬病が発生している地域へ仕事や旅行などで渡航される際には、狂犬病ワクチン接種(暴露前接種)をされることをおすすめします。現地では野良犬、野良猫、野生動物へは近づかないようにしましょう。食べ物を与えたり、触れたりすることもしてはいけません。
もし、動物に噛まれてしまったとき、すぐに噛まれた部分を石鹸か水で洗いましょう。(傷口の血を吸いだしたりしてはいけません。)そのうえで、近くの医療機関で治療を受けてください。狂犬病ワクチン予防接種は、1回15000円ほどで可能ですが金額は地域によりますので確認してください。
まとめ
人が狂犬病にかかると起こる症状には、
- 風邪のような初期症状
- 精神状態に異常が起こる症状
- 呼吸停止などの死に至る症状
このような症状があり、潜伏期間は1か月から3か月ほどです。狂犬病に感染しても、すぐに発症するわけではありません。感染から発症まで数年かかった症例もあります。
狂犬病が発生している地域や渡航する前の予防ワクチン(暴露前接種)または、動物に噛まれたときの発症予防ワクチン(暴露後接種)によって、狂犬病の感染や発症を予防することができます。
しかし、予防接種をしていても狂犬病の犬にかまれた時には症状が少しでも軽くなりますが、100%防ぐことはできません。 海外では、不用意に動物に触ったりしないほうが無難でしょう。
大切な愛犬への年に一回に狂犬病の予防注射も忘れずに行いましょう。