犬の口の中の構造
犬の口の中の環境は人とは異なっていて、唾液の成分の違いから常にアルカリ性に傾くようになっています。歯の形や並び方も人とは大きく異なっており、人の奥歯の役割である「すり潰す」と言う役割の歯はなく、鋭利で「噛みちぎる」用に特化した構造をしています。
また歯の並び方も上下が噛み合わさった時に交互になるように配置されており食べ物を飲み込めるサイズに細断できるようになっているため、よく「ハサミ状」とも言われています。
歯周病になりやすい犬の特徴
ワンちゃんたちは犬種によって歯が埋まっている顎の骨の形が大きく異なっています。ミニチュアダックスフンドは家庭犬の中でも特に歯周病が多く、痛がって口を触らせなくなった子や頬を腫らして受診する子が多いです。
また、大型犬に比べて小型犬の方が相対的に小さい口の中に歯が並んでいるため、歯と歯の隙間が狭かったり顎の骨が薄かったりといった理由もあり、より歯周病リスクは高いでしょう。
歯周病になりにくい犬種
逆にこういった子たちに比べて、パグやフレンチブルドッグといった鼻の短い子たち(短頭種)は歯の並び方の違いから歯周病になりにくいと言われています。
犬の歯並びと歯周病
同じ犬種、同じ大きさのワンチャンでも生まれ持った歯の生え方で歯周病リスクが変わってきます。
歯の並び方や生える方向が本来の状態ではない、また乳歯が成犬になっても残っているなどの場合、その部分に食べカスが詰まりやすい場合があります。
歯磨きをされている場合にもどうしてもその部分が磨きにくい時もあるかと思います。これらが歯周病リスクとなります。歯科専門病院などではこういった歯に対する矯正処置などの予防歯科を行っているところもあります。
犬の食生活と歯周病
普段からフードをパリパリとよく噛んで食べる子たちはドライフードによる歯磨き効果もあるためか歯石の付着が少ないように感じます。
また食べるものも繊維質が多かったり、あえて噛んでもらうことで歯磨き効果を目的とした少し大きめの粒サイズのフードなども有効です。ただしこれは個体差によるところなのでおうちのワンチャンに対して「よく噛んで食べる」ような指導は難しいでしょう。
逆に缶詰等のウェットフードなどはワンちゃんは喜ぶことが多いのですが歯磨き効果はそれほど期待できないかと思います。
犬の歯周病で気をつけたい「おもちゃ・おやつ」
おやつ
たまに牛や豚の骨や蹄をおやつ代わりに与えてらっしゃる飼い主様もおられますが、歯の健康を守ると言う観点からはあまりお勧めできません。
というのも前述の通りワンちゃんの歯はハサミ状になっていることから、硬いものを噛んだ際に歯が折れる危険性があるからです。折れる際に上下で真っ二つに折れると比較的気が付きやすいので受診も早めかと思います。
しかし2枚に割れるように折れてしまうとなかなか気が付きにくく、また露出した歯の血管や神経から細菌が入り込むことで歯だけでなく全身の病気へと進行してしまうことがあります。
おもちゃ
おもちゃの中にはロープなどの歯が食い込むような素材のものがあります。普段少しの時間をそれで遊ぶのであれば大きな問題にはならいのですが、クレート内やベッドで常にそれを噛んで遊んでいる場合は歯が磨耗する(削れてしまう)可能性があります。
削れてしまうと歯が折れた時と同じように露出した歯の血管や神経から細菌が入り込む恐れがあります。
犬の歯周病予防と歯磨き
日常的に歯磨きをさせてくれるワンちゃんはやはり歯石が付着しにくく、歯周病の進行が遅いことが多いです。ただ歯磨きだけでは100パーセントの予防は難しいので動物病院での定期的な検診をおすすめします。
犬の歯周病の進行をおさえるためのまとめ
- 食べ物の工夫
- おやつは硬すぎないもの
- おもちゃも硬すぎないもの
- 日常的な歯磨き習慣
- 定期的な検診、予防
前述の通り歯周病というものは完璧に防ぐことは難しいですが、日常生活に潜むリスクを減らしてあげることで歯周病含めて歯のトラブルを大いに減らせることができます。
まずは飼われているワンちゃんのお口の健康状態の確認のために、動物病院にて相談されてみてはいかがでしょうか。