犬のお口のトラブル「歯周病」
普段一緒に暮らしているワンちゃんが「口が臭いかもしれない」「歯の一部が茶色くなっているのに気付いた」など虫歯(う歯)を想像する飼い主さまもおられるかもしれません。
でもそれは虫歯ではなく実は歯周病であることがほとんどです。では歯周病とはどのような病気なのでしょうか。
結論から言うと、ワンちゃんたちは虫歯になることは少ないです。それはワンちゃんの口の中の環境は人と違ってpH値がアルカリ性であり、口の中の細菌バランスが異なっているためと言われています。
では虫歯が少ないから安心できるかと言うとそう言うわけでもなく、虫歯よりももっと気にしたいものに「歯周病」というものがあります。
犬の歯周病はどうやって起こる?
歯周病とはワンちゃんの口の中にもともと少なからず住み着いている歯周病菌が増殖することで、様々な症状が起きている状態です。
増殖の過程としては、歯周病菌が口の中の食べカスを分解することで歯垢がたまり、さらにそれが3~4日経過すると表面がザラザラしていて黄色〜茶色の歯石に変わります。
いったん歯の表面に歯石が付着してしまうと歯磨きでは除去できません。軽度歯周病では歯の表面や歯周ポケット内に溜まっていた歯垢や歯石が、病気の進行とともに歯の根元へと進み、そこでさらに増殖します。
犬が歯周病になった時の症状
軽度
初期では口臭が気になったり歯茎の炎症(赤く腫れたり出血しやすくなる)が起きます。この時点ではなかなか気づかないことも多いです。
中程度
歯石の付着は目に見えるところから歯の根元へと進行し、歯肉内部にて化膿が進みます。その為、ある日突然片側(もしくは両側)の頬が腫れたり痛みにより口元を触られるのを嫌がる、フードを食べている時に「キャン!」と鳴いて食べなくなることがあります。
重度
歯の根元への感染が重度になると周囲の組織を溶かすことで口から鼻の内部へと病的なトンネルができてしまい、そこを唾液などが通ってしまうことでくしゃみを頻発するようになります。
またこの時の鼻水はニオイがきついことや粘度が高いこと、血混じりであることが多いです。
歯は上下の顎の骨に埋まっていますが、感染によりその周囲の骨を溶かします。その結果、鼻先を壁などにぶつけた際のわずかな衝撃にも関わらず、顎の骨の骨折を招くことがあります。
先ほどの口から鼻へとトンネルができてしまっていてくしゃみを頻発しているような子の場合、くしゃみの際に床などに鼻先をぶつけることも多いのでより骨折のリスクも高いです。
また増殖した細菌が顎の骨の血管から全身へとめぐってしまうことで心臓や腎臓の機能に悪影響を与えてしまうということもあります。
犬の歯周病サイン
- 口臭がきつくなった
- 歯の表面がザラザラして黄色い
- くしゃみや鼻水が多くなった
- 歯が抜けるようになった
- 口元を触られるのを嫌がるようになった
こういったサインはおうちでも比較的わかりやすい歯周病サインかと思います。
ただし、これらは歯周病以外の病気が原因である可能性がありますので、毎日の観察で気になるようなことがありましたらかかりつけの動物病院にて相談されてみてはいかがでしょうか。