犬回虫症の症状や感染経路は?治療から人間への影響まで

【獣医師監修】犬回虫症の症状や感染経路は?治療から人間への影響まで

犬回虫症という病気をご存知でしょうか?愛犬が下痢をした時、うんちに白い虫がいてびっくりした、という経験を持つ飼い主さんもいるかもしれません。犬回虫症は生後六ヶ月未満の犬に症状が出やすいため、おうちに子犬を迎える前に知っておきたい病気の一つです。今回は症状や治療方法など、皆さんに詳しくお伝えしたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬回虫症はどんな感染症?

元気のない犬

回虫は犬や猫、人間といった多くの哺乳類の小腸に寄生する害虫として知られています。人間に寄生している回虫をヒト回虫、犬に寄生している回虫を犬回虫と呼びます。犬回虫症は、線虫類の一種である犬回虫が犬に寄生したことが原因で起こる病気です。

なんらかの理由で子犬の体に移行した虫卵や幼虫は、子犬の体内で成虫になります。ミミズのように細長く白っぽい色をしていて、成虫になると長さは10~15センチくらいまで成長します。

体に入った回虫卵や幼虫は、血流に乗って肝臓から心臓、肺へと回ります。その後、更に成長を続けながら再び小腸に戻り、そこで成虫となって1日に10万個近い卵を産むようになります。

犬回虫の幼虫が人間の体内に入ることはあっても成虫になることはできません。しかし、幼虫のまま人の体内を巡りさまざまな障害をおこすことがあり、それによって発症する感染症をトキソカラ症といいます。

症状

吐き気のしている犬

犬回虫症は、回虫が成虫になった際に症状が現れます。健康な成犬の体の中では犬回虫は成虫にならないため、多くは無症状です。一方で子犬や免疫の下がった犬に多数の成虫が寄生すると、以下のような症状が現れます。

下痢、嘔吐

母子感染をした子犬の場合、下痢や嘔吐が主症状になります。家に迎えたばかりの子犬が下痢をする場合は、犬回虫症を疑って獣医師に診てもらいましょう。感染した犬の糞便の中や嘔吐物の中に、紐のような回虫が見つかる場合もあります。

食欲不振

犬回虫が寄生するとあまり餌を食べなくなります。それに伴い体重が減り、毛つやの悪化や皮膚のたるみなどがおこります。子犬の元気がない、普段に比べて食欲が減ったなどの異変に気がついたら、急いで受診しましょう。 

太鼓腹(お腹が膨らむ)

犬回虫がお腹にいることで、腹部が異常に膨らむことがあります。お尻や足なども一緒に太くなる肥満と違い、お腹だけがぽっこリ膨らむ状態です。

腸閉塞

多くの犬回虫が腸管内で絡まりあうと、腸が詰まってしまい腸閉塞を起こすことがあります。急激に腹部が腫れてきた場合は腸閉塞を疑いましょう。進行すると、頻繁な嘔吐や脱水などの他、激しい腹痛からお腹を丸めた姿勢をとる、呼吸が浅いなどの症状が見られます。

一般的に腸閉塞は手術が必要となりますが、手遅れとなってしまうケースもあるため、異変に気づいたらすぐに受診しましょう。

感染経路

犬の親子

経口摂取 

犬回虫卵が含まれる糞便を犬が口にすることで、感染することが多いとされています。犬が回虫卵に汚染された土壌で遊んでいるときに、偶然的に口に入ってしまうこともあるようです。この他にも、回虫卵を口にしたネズミなどを犬が食べることによって、間接的に感染するケースもあります。

母子感染

通常、犬回虫は抵抗力のある成犬の体内で成虫になることはありません。成犬が虫卵を摂取した場合、虫卵から孵化した幼虫は「被嚢幼虫」と呼ばれる状態で、犬の体内で活動を休止します。しかし、メス犬が妊娠すると、体内で休眠していた被嚢幼虫は再び活動をはじめ、胎盤を経由してお腹の中の子犬へと感染します。

生後も母乳を介して感染したり、母犬の糞便を口にしてしまったりして感染することがあります。

検査方法

病院で検査を受ける犬

犬回虫症に感染している疑いがある時は、動物病院で糞便検査をしてもらいましょう。糞便の中にいる幼虫や成虫は目で確認できることもありますが、虫卵はとても小さく肉眼では見ることができないため、顕微鏡で確認をします。糞便検査は1,000~1,500円程度かかります。

糞便検査で虫卵が見つからなかったとしても、安心はできません。犬回虫は、感染から卵を排出するまで21~42日間かかります。これをプレパテントピリオドといいます。この期間であれば、もし感染していたとしても虫卵は見つからないため、糞便検査を何回か行う必要があります。 

治療方法

薬を飲む犬

駆虫薬

犬回虫症の治療には、駆虫薬(抗線虫薬)を投与します。消化管内に寄生する虫は、回虫以外にも多数存在しており、治療薬は寄生虫の種類により異なります。駆虫薬はペットショップやインターネットでも購入できますが、素人判断はせずまずは動物病院を受診することをおすすめします。また回虫駆除薬の中にはフィラリア症を予防するためのフィラリア薬と合剤になっているものもあります。

対症療法

犬回虫症にかかり下痢や嘔吐がある場合は下痢止めや吐き気止めを使用し、脱水症状が見られる場合は輸液を行います。
 
犬回虫症の治療費は地域や病院によって違いますが、薬の処方に1回500~3,000円程度かかります。このほか初診料や診察料、糞便検査や対症療法を行った場合は別途費用がかかります。 

駆除期間

薬を見つめる犬

駆虫薬は、2~3回の投与を2週間以上の間隔をあけて行います。駆虫薬は腸管の中にいる成虫には有効ですが、体の中を移行している幼虫や虫卵には効果がないので、1度で駆除することができません。犬回虫は卵から成虫になるまでに約1~2ヶ月かかるので、予防のためにも3ヶ月に一度の割合で駆除することが推奨されます。

犬回虫症は母子感染の可能性もあるので、子犬には必ず回虫がいるものだとし、生後3週齢までに全ての犬に対して駆虫薬を投与した方がよいと言われています。3ヶ月までは2週間おきに薬を投与し、3~6ヶ月齢では月に一度、その後も定期的に薬を与えて駆除することが望ましいです。

犬回虫症は完治できる?

ケージの中の犬

駆虫薬を飲むことで、おなかの虫はきれいになりますが、飼育環境に潜む虫卵まで駆除することはできません。糞便と一緒に排出された犬回虫卵は、2~3週間後には感染力の高い幼虫包蔵卵となり、その後も1年以上生き続けることもあります。

虫卵で汚染された飼育環境では、一度完治してもペットは再感染を繰り返してしまいます。汚染された場所の掃除や消毒を徹底し、糞便はすぐに処分する、定期的に駆虫薬を飲ませるといったことで完治も望めます。

犬回虫症は人間にも感染する?症状は?

女性の鼻を舐める犬

犬回虫症は、人間にも感染することのある人獣共通感染症です。人への感染は犬と同じように、虫卵を口から取り込んでしまうことで起こります。

回虫卵を飼料として食べた鳥を、レバ刺しなど生食することでも感染します。犬回虫卵は、免疫力のある大人の体内に入ってもあまり問題はありません。しかし、子どもや免疫力が低下している人の体内に入ると、卵から孵化して幼虫になり、幼虫のまま肺や肝臓、眼球、脳や神経などに寄生し様々な症状をおこします。

症状は幼虫が侵入した臓器によって違いますが、発熱や全身の倦怠感、肺炎のような症状、腹痛や腹部の違和感などといった症状があらわれます。また眼球に寄生した場合、飛蚊症や目の痛み、充血、まぶしさなど視覚障害や視野障害がおこります。脳や神経に関連した症状が現れることも多く、てんかんや運動障害を引き起こすこともあります。

まとめ

医者の腕に抱かれた犬

犬回虫症は子犬によく見られる身近な病気で、検査と駆虫によって対処が可能です。回虫が増えると命に関わることもあるので、感染した疑いがあるときは定期的な投薬をして、愛犬を守りましょう。

犬回虫症は人間にも感染する可能性のある病気です。生まれたばかりの子犬はかわいらしいのでついつい過剰に触れ合いたくなりますが、感染予防を意識しながら飼育できるとよいでしょう。 

犬回虫症の感染を広めないためにも、糞を持ち帰り適切に処分するなど飼い主さんのマナーも大切です。正しい知識を持ち愛犬を回虫症から守ることが、犬も人も安心して暮らせることにつながっていきます。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 女性 小夏

    6ヶ月の子犬ちゃんに要注意…子犬ちゃんは気をつけなければいけない病気がたくさんです。
    嘔吐や下痢が見られるのであれば、なんの病気にせよすぐに病院に連れて行かなければいけません!
    人間にも感染するのであれば、排泄物も気をつけて処理しなければいけませんね!
  • 投稿者

    20代 女性 ゆん

    犬の回虫症の駆虫剤はドロンタールという錠剤や、レボリューションのようなスポットオンタイプ、また、ネクスガードスペクトラのようなフィラリア、ノミ、マダニまでも駆虫してくれるオールインワンのチュアブルタイプなどがあります。
    ただし、とても小さな子犬では駆虫剤によっては不適応になる場合があるので注意です。いずれにしても、6ヶ月未満の子犬は数回の糞便検査を受け、寄生虫疾患がないことを確かめた方が良いですね。
  • 投稿者

    30代 女性 もこじ

    今の愛犬が3ヶ月で家に来てすぐ動物病院で回虫症と診断されました。
    1度薬を飲ませたら次の日の朝、便に見たくもない回虫が…。マスクと手袋を付けて処理しました。治療は薬を2回、期間的には2ヶ月かからない程でした。回虫の姿を見たのも1回目の薬の後のみ。もうあの姿は2度と見たくないです!笑
  • 投稿者

    20代 男性 やたー

    お家に来て2週間くらい経ってウンチに回虫がいました。すぐに病院に連れて行き薬を貰って与えました。そこまで焦る必要はないと言われましたが、愛犬に寄生虫が...と考えると心配でした。
  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    4か月になったばかりのうちのワンちゃん、今日フィラリアの薬を服用後、ウンチに白い細長いものが…ビックリして病院へ言ったら回虫でした。フィラリアの薬に消化管内の回虫駆除の効果もあったようで、それが出てきたようです。病院の帰りの車でも酔って吐いた中に回虫がいました。
    もう見たくないですね(^◇^;)
  • 投稿者

    30代 女性 38moto

    回虫症というと、俗にいう虫下しですね。子犬を迎えたらまずこれを注意して見ておくことが大事ですが、何せ見た目があまりよろしくないので、早期に発見して駆除してあげたいものです。幸いにしてうちで迎えた子は特に問題ありませんでした。
    駆除薬を飲んでから約2週間後に検査をし、必要に応じて再度投薬して除去していきます。最低でも半月はかかるということですね。
    回虫は健康な成犬には特に害がないものだそうです。子犬や妊娠中の母犬をターゲットにした病気の一種で、抵抗力のない犬を狙っているところがにくらしい病気です。
    毎回吐瀉物や排泄物まで確認するのは大変ですが、回虫が増えてしまうと今度は命にもかかわる事態になってしまうので、子犬は生後半年くらいまで注意しておくことが必要です。
    稀に人にも感染し、重症化してしまうと肝機能の問題や視力低下、失明など大きな障害をもたらす可能性があるので、特に小さいお子様の行動にも目を光らせていた方がいいと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 ぴいすけ

    子犬もそうですが、迎えたばかりの犬は、必ず動物病院で健康診断を受けたほうがいいです。回虫などの寄生虫、皮膚病など、見た目は元気そうでも病気の場合も多々あります。発見が遅れると、最悪の場合命にかかわりますし、完治まで時間がかかってしまいます。獣医さんに便検査や血液検査をしてもらったり、皮膚の状態を診てもらうことで発見できる異常も多々あります。
    犬を迎えたときはうれしくてつい連れ回したりしがちですが、特に子犬を外に出すときは注意が必要です。月齢が幼いときは、抱っこ散歩のほうがお勧めです。他の犬の便や尿などに触れなくてすみますし、子犬を抱いているといろんな人が興味をもってくれますので、人間に慣らすこともできます。
    最近、ワクチンプログラムが終わっていない子を公園で散歩させる人をよく見かけますが、公園にはいろいろな菌や寄生虫がいるので、犬に十分抵抗力がつくまで、公園デビューは待ったほうが良いと思います。
  • 投稿者

    30代 女性 ちょびこ

    パピーの頃に獣医さんから聞いたことがありますが、あまり身近では回虫がいたというのは聞いたことがありません。だからそれほど身近な病気だと思っていなかったんですが、人獣共通感染症だったんですね!パピーの頃はうんちの状態とかも比較的気をつけてみていたつもりなので、一応虫らしきものが出てきたことはないと思います。口をなめられたりするだけで移ってしまうなんて知らなかったのでびっくりしました。幸い回虫にかかることはなかったのでよかったですが、やっぱり無知はだめですね。反省です。他のわんこのうんちから土に移るということは、公園とかでも簡単に感染するということですよね。パピーちゃんの公園デビュー時期はそういったことにも気をつけないといけないですね。
  • 投稿者

    30代 女性 zzz

    犬を迎えてから7年経ちますが、これまで回虫の心配をしたことがありませんでした。思いもよらない話題に驚きました。周りで犬を飼っている人からも聞いたことがなかったように思います。犬の嘔吐物や排せつ物にニョロニョロした回虫がと想像するとかなり恐いです。
    ただ、毎日散歩にいけば感染リスクはゼロではないはずですし予備知識として持っていて良かったです。うちの犬は男の子というおともあって、ところかまわずクンクン鼻を近づけて匂いを嗅いだり、時にはペロッと舐めてしまったりするので心配です。回虫に限らず、感染する細菌やウイルスはたくさんあるので、愛犬のちょっとした不調にいち早く気が付けるようにしないといけませんね。
  • 投稿者

    30代 女性 3姫2太郎@

    写真は閲覧注意です!
    書き込みを見て少し安心してますが、
    まだ診察前なので心配です。
    我が家にきて4日目。昨日健康診断に連れて行った時の検便では、ハッキリ虫いませんねとゆわれ、定期的に飲むことをすすめられフェラリアの薬を処方されました。
    そして今朝さっそく指示どうりエサと一緒に薬を食べてもらいました。
    うちにきて朝にしか便をださなかったのですが、夜に少なめの便のあと
    おしりから糸のようなものがでていて
    ひっぱってみると動いてるではないですか!!!
    友達に相談したり、ネットで検索したり
    怖い情報も載っていたりで
    こちらのサイトにたどりつきました。
    再投稿がなければ、心配いらないことだと
    おもって安心いただければとゆう思いで
    気が早いですが投稿させていただきました。
    3姫2太郎@の投稿画像
  • 投稿者

    30代 女性 サワダ

    犬を飼い始めた時、お腹が少し緩い時があってパピーだったのでこのような病気があると病院で聞いたことがあります。その時は回虫症ではなかったのですが、病院で瓶に入った回虫を見せてもらったのでそれから時々うんちをチェックするようになりました。知らずにあんなのがうんちにいたらかなりびっくりするだろうな~と思います。
  • 投稿者

    女性 シャンプー

    犬の回虫が人間に感染するケースがあるなんて知りませんでした。これは驚きと恐怖です。ペロッと口を舐めることがあるので、注意しなくてはいけません。回虫が腸内で絡まり合って腸を塞ぐとか、もう想像するだけでホラーです。感染させないように、気をつけます!
  • 投稿者

    30代 男性 匿名

    生後6カ月の子です。
    今朝の排泄物の中に何か糸のようなものが。まさかと思い排泄物を持ってすぐ病院に連れていくと回中でした。お薬を飲んでしばらく駆虫に専念すれば良くなると思いますがかなりショックです。
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