犬にとって散歩の意味とは?
あなたもよく日常で犬の散歩を見かけると思います。
僕は仕事柄、その光景を見るたびに犬と飼い主の信頼関係、主従関係が出来ているや否かすぐに解ってしまいます。そして「もったいないなぁ」とつくづく感じます。トレーニングも先ずカウンセリング後、一番最初に飼い主さんと愛犬の散歩の様子を見させて頂く事にしています。それほど散歩で双方の信頼関係が、特に犬が飼い主さんをどう認識しているか解るのです。
犬にガンガン引っ張られ、右往左往の散歩。スマホや携帯打ちながらの散歩。ただただ無気力に犬に着いて歩くだけ。とにかく犬を前に歩かせる人が殆どです。主従関係が出来ている上で、前を歩かせているなら逆に「ほう♪上級者だな!」と感心します。
実際に、僕も犬に「引っ張らせるトレーニング」を行い、より体力の発散を促したりします。要は飼い主が犬を「散歩させている」のか犬に「散歩させられている」のかという事です。
この違いの重要性をご説明したいと思います。
犬の散歩は運動のため?
多くの飼い主さんは「気分転換と運動のために犬を散歩させる」と思っています。確かに、間違いではありません。その通りです。
しかし、もっと重要な意味があるという事を理解しなければなりません。
それは第一に飼い主さん主導!、そして散歩とはリーダーとの旅!ウォーキングトレーニング!狩猟本能を満たす為のシュミレーション等、様々な意味が含まれ、信頼関係、主従関係を築くために最も重要で、最短最良のトレーニングだという事です。
それと、散歩中の犬には「探索モードと移動モード」があることも忘れてはいけません。探索モードとは臭いを嗅ぐ行動で、移動モードとは普通にてくてく歩くことです。
目標として散歩中は探索モード20%移動モードが80%を心掛けましょうね。
散歩嫌い?
よく「うちの子は散歩が嫌いなんです」という言葉をカウンセリングで耳にします。
それは飼い主さんの認識不足以外の何物でもありません。犬族で歩くのが嫌いな子は存在しないからです。私はこう言います。
「犬はリーダーの行くところはどこだってい着いていきます。例え火の中水の中ですよ。犬の群れのルールとして信頼し尊敬するリーダーには着いていきます。」と。そしてこう続けます。
「お解りですか?ハッキリ言って犬が自分の縄張りから出た時、あなたが犬から信頼も尊敬もされていないという事なのですよ。あなたと居ても不安なのです。だから警戒心と緊張からフリーズして歩かないのです。だから、先ず散歩が出来るようにならなければいけません。
犬族にとって最も大切な運動、つまり体力の発散、狩猟本能の疑似体験、ストレスの発散がないと活動欲求不満になり、しつけも何も始まりません」と。厳しい言い方かもしれません。しかしそれ以上に犬が不安や不満を感じている訳です。この問題を解決してあげられるのは、いつも一緒に居てあげられる飼い主さんしか居ないんですよ。
正しい犬の散歩の仕方
僕は散歩のスタート時が大切だといつも言っています。穏やかにスタートすることです。散歩に出る前に「さぁ♪お散歩行くよ~ 〇〇ちゃん♪」と飼い主さん本人のテンションも上がり、犬の興奮を煽る飼い主さんがおられますが、興奮したまま外出するとそれが持続する可能性が高くなりそれが引っ張りや吠えのスイッチを入れてしまうからです。
散歩に行くタイミングは飼い主さんそれぞれのご事情がおありなので何とも言えませんが、時間は30分から1時間は費やして頂きたいですね。コツはリズムよく歩くことです。
あっ!そうそう!分かっておられると思いますが犬の排泄処理は飼い主さんのマナーです!絶対に放置してはいけませんよぉ。では本題です!
あなたが不安や心配をせず、毅然とした態度で穏やかに
では、どのようにして散歩がスムーズで、尊敬を得られるような有意義に出来るのか?
先ず外に出て犬を地面に降ろした時などに犬がフリーズしませんか?これは「どうすればいいの?」という不安と緊張です。そこで飼い主が「何してるの!?早く来なさい!ほら!早く!」等と犬を焦らせたり、飼い主がイライラしたり焦ったりするエネルギーが伝わってしまい、犬は益々、「良くないことがあるのかな?危ないぞ!」と思って余計にフリーズします。犬がどうこうではなく、先ずあなたが意識を変えなければなりません。あなたが変わるから犬も変わるのです。逆は絶対にありません。
「あー僕が(私が)悪かったんだ!飼い主さんごめんね」なんてことは犬は決して思いません。
感情的にならず穏やかに!凛とし毅然とした態度で
これは日常でも言える一番大切なことです。犬は飼い主のエネルギーに必ず反応します。負のエネルギーによって不安や興奮、苛立ち、正のエネルギーによって安堵、喜びを表します。つまり、あなたの精神状態が犬に反映されてしまうんです。不安定な状態、神経質でイライラしながら接するとそのまま返ってきます。群れの感覚で言うとそういう状態の仲間は嫌われたり、攻撃されます。下位者に見ます。
逆に、凛とし穏やかで安定した状態の仲間は大きく見られ、尊敬を集めます。だから、あなたもそうしなければいけません。外に出ても「君には私が付いてるから何も心配いらないよ♪」という態度でいなければなりません。犬に言葉で言っても通じません。あくまであなたの態度とエネルギーで伝えてあげて下さいね。
そして、リードを短く持ちアイコンタクトを取りながら自分の横、もしくは後ろを歩かせる様「ツケ」「ヒール」などのコマンドも入れながら促します。前をガンガン歩いて引っ張るという事は「こっちこっち!早く来いよ!ほらほら!」と言われているんです。
しっかり正して「私が主導権を握っている。君に主導権はない!」という意味をちゃんと教えて上げましょう。
リードはあなたと犬の絆で!糸電話のようなもの
リードは只の安全具ではありません。リードの意味を理解してください。感じてください!意識してください!リードから犬の意思が必ず伝わってきます。
逆にあなたの意思も犬に必ず伝わります。糸電話の様なものなのです。
そして、犬がウォーキングを認識するまではリードとカラーを使用し、ハーネスやビローンと伸びるリードの使用はお奨めしません。何故なら、ハーネスは元々「引っ張る犬の為の道具」だからです。
カラーは「犬の首が閉まって可哀想」と仰る方が多いのですが、そういう方に限って「この子が引っ張り癖があり困っているんです!」とよく仰います。しかし犬も本当に苦しいなら引っ張るのを止めますからね。だからハーネスを後ろにグイグイ引くという事は、犬に「それ行け!やれ行け!どんどん行け!」と言っているのと同じなのですね。ソリ犬や、使役で荷車を引く犬種は皆そうですよね。 僕はこうアドバイスします。
「それは、あなたが引っ張ることを許可しているのと、引っ張る為のハーネスをお使いだからです。先ず、脚側歩行が出来るようにカラーで練習しましょう」
お使いいただくと解ると思いますが、カラーの方が犬の気持ちが伝わってきます。興奮して歩いているか、落ち着いて歩いているか。細かい動きが手に伝わります。
つまり、犬が行動を起こす時の些細な動きが手に伝わるので制御しやすくし、犬にも伝えやすくなるんです。うちのGODYやCOCOはトレーニングを積んでいますので、リードを指一本でツンツンとやるだけです。このカラーとリードの重要性をしっかりご理解下さい。
もし犬が歩かない時、大声を出したり無理やり引っ張るのではなく軽くテンションを掛けながら「大丈夫だよ。大丈夫」と心の中で励ますように呟いてください。根競べかもしれませんが、必ず1歩を踏み出します。そのタイミングでスッと歩き出しましょう。歩くのが嫌いな犬は絶対にいません。
犬は元来、臭いを嗅ぎまわり草原を数時間歩き、走りまわって狩りをする生物ですから。
犬の散歩の注意点
注意点として一番重要なのは外気温です。穏やかな気候の時は気にすることはありませんがやはり夏と冬は気を付けてあげてください。
夏場の注意点
犬は暑さに弱いことはご存じだと思います。出来れば気温が下がっている早朝や陽が沈んでから散歩に行きましょう。後はアスファルトより砂利道の方が肉球にダメージが少ないです。外気温が30℃の場合、路面温度はそれ以上です。特に気を付けたいのは路面から40㎝ぐらいの高さ、丁度小型犬の体高部分はプラス5℃から10℃上昇していますので覚えておきましょうね。それとマンホールやグレーチングの様は金属の上は肉球が火傷する恐れがありますので絶対に避けてください。
冬の注意点
逆に犬は寒さに強い犬種が多いですが、冬の場合は肉球の保護に重点を置いてください。濡れた道路や雪道を歩いた後、放置すると霜焼けになって赤く腫れあがる事があります。夏と同様にマンホールやグレーチングなどの金属の上は避けてください。ちなみにうちの13歳のシーズーのてんは去年から靴を履かせるようにしました。効果絶大です!
まとめ
犬の散歩にこれ程の意味がある事を解って頂けましたか?たかが散歩、されど散歩です。あなたと犬だけの大切な時間です。どうかみなさん!信頼関係や絆を深め犬と楽しみながら散歩してください。犬とエンジョイ出来ればいつもの散歩コースで何か新しい発見があるかもしれませんよぉ♪
ユーザーのコメント
40代 女性 oomiya
私の愛犬は探索モード(マーキングモード)90といった散歩の仕方でした。むしろマーキング活動に勤しむために散歩に行っている感じで、飼い主ですが少々呆れてしまうほど楽しそうに夢中で電柱や壁のニオイを嗅ぎまくってます。
それを制御しようとしながら歩いていますので、どうしても引っ張りながら、引っ張られながら歩くことがほとんどで、正しい散歩とは甚だ言えない状態です。
たまに預けるしつけ教室ではおりこうに散歩すると言われるので、相手によって使い分けているようで、私なら無理すればマーキング活動に勤しめると思われているのでしょう。
記事にあった「毅然と」を心がけて矯正していくようにしたいと思います。
女性 メロン
30代 女性 まろんママ
20代 女性 ゆき
女性 メロンパン
ハーネスをつけてリードを付けたら玄関ドアをガリガリするほど興奮状態で。歩き出しはダッシュです。
しばらくすれば落ち着いてきちんと私の横を歩いてくれるのですが。
根気よく、落ち着くまで待つトレーニングをしないといけませんね。
女性 Poi