1.「逆くしゃみ」の症状
普通のくしゃみとは違う?
犬も人間と同じような「くしゃみ」をします。鼻に異物が入ったときや、風邪の症状として「クシュッ!」というようにくしゃみをすることがあるのですが、今回の「逆くしゃみ」という症状は通常のくしゃみとは少し違った様子が見られます。
「逆くしゃみ」の様子
くしゃみは体の外に排出しようとする発作ですが、逆くしゃみはその逆で鼻から吸い込むような様子の発作が見られます。
- 首を前後に動かしながら行う
- 鼻をブーブーと鳴らす
- 連続で鼻から息を吸い込む
逆くしゃみはこのような症状が見られます。通常の排出しようとするくしゃみに対して「逆くしゃみ」は連続的に息を吸い込むので、くしゃみとは対照的に吸い込む様子から「逆くしゃみ」と呼ばれています。
苦しそうに見えるけれど
「逆くしゃみ」は通常のくしゃみと同様に突然起こり、数秒から1分程度の短い時間で治まることがほとんどです。突然ブーブー、グーグーと発作的に息を吸い込むので、「逆くしゃみ」が起こっている間は、とても苦しそうに見えて心配してしまいます。しかし、「逆くしゃみ」が治まるとケロッとして落ち着きますし、どうやら見た目ほど苦しいものではないようです。
2.「逆くしゃみ」をする原因
「逆くしゃみ」をしやすい犬種
「逆くしゃみ」はすべての犬に起こりうるものですが、特に小型犬やマズルの短い短頭種に多く見られます。そして、犬の年齢に関係なく若い頃から見られることが特徴で、成犬になってから突然発症することは少ないと言われています。また、高齢犬になると自然としなくなることもあります。
特別な治療の必要はない
「逆くしゃみ」は「吸気性の発作性呼吸」という正式な呼び方もあります。「逆くしゃみ」は呼吸困難のような重篤な症状ではなく、横隔膜のけいれんで起こるしゃっくりのような発作であるとされています。そのため、「逆くしゃみ」に対して積極的な治療の必要はありません。
他の病気の症状との見極めが必要
「逆くしゃみ」は鼻をブーブー、グーグーと鳴らしながら発作が起こります。その発作が本当に「逆くしゃみ」ならば特に治療は必要ありませんが、それが「逆くしゃみ」なのか、違う病気によって起こっている発作なのかを見極める必要があります。
例を挙げると「気管虚脱」や「僧帽弁閉鎖不全症」などの病気の症状は「逆くしゃみ」と似たようにガーガー、ケッケッというような呼吸をすることがあります。また、中年期以降に「逆くしゃみ」を突然発症することはまれなので、他の病気の可能性の疑いがあります。
3.「逆くしゃみ」の改善方法
動画を撮って獣医師に相談しよう
「逆くしゃみ」は突然に起こってすぐに治まってしまうものなので、「逆くしゃみ」と思わしき発作が起こったときには動画を撮っておくと良いでしょう。その動画を獣医師に見せながら相談することで、その発作に重篤な病気の可能性がないかどうかを見極めることができて安心です。
「逆くしゃみ」を早く鎮めるには?
それが「逆くしゃみ」の発作である場合には、発作が治まるまで見守ってあげるだけで大丈夫です。「しゃっくり」と同じように、しばらくすれば治まる現象であるためです。「逆くしゃみ」は唾を飲み込むと治まりやすいと言われていますので、もし早く鎮めてあげたい場合には鼻に息を吹きかけると良いでしょう。
犬は鼻に刺激があると舌でペロッと鼻を舐める習性があるため、鼻に息を吹きかけてペロッとしたついでに、唾をゴクッと飲みやすくなります。
まとめ
最初に「逆くしゃみ」を見たときは、呼吸困難になってしまったのではないかと思うほど異様な症状なので心配してしまいますよね。これが「逆くしゃみ」なのか!と知ると、通常のくしゃみとの違いに驚きます。
小型犬や短頭種によく見られる「逆くしゃみ」の発作自体は数秒~1分程度で治まり、特に積極的な治療は必要ありません。しかし、ほかの重篤な病気との見極めが重要なので、発作の動画を獣医師に見せながら受診しておくと安心です。