犬の膀胱結石の概要
犬の体には人間と同じ様に、余分な水分を尿に変え、体の外に排出する「泌尿器系」と呼ばれる器官があります。
この泌尿器系は、尿を作り出す「腎臓」、腎臓から尿を膀胱へ運搬する「尿管」、尿を一時的に貯めておくことができる「膀胱」、膀胱から体の外まで尿を運搬する「尿道」の4つで構成されています。
そして、この腎臓、尿管、膀胱、尿道の、どの部位においても無機質な石状の塊「結石」が形成されることがあり、その中でも特に膀胱で形成されるものを膀胱結石と呼びます。
犬に出来る結石の多くは膀胱内に形成されますが、尿路の全体(腎臓、尿管、尿道も含め)で見つかります。
一般的に犬でよく見られる結石の種類はストルバイト結石で、次いでシュウ酸カルシウム結石と言われています。
この結石は、尿に含まれる化学物質(シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)が結晶化することで生成されます。
膀胱結石は、持続的な膀胱出血の原因となり、膀胱内にある小さな結石が尿道を塞いでしまう尿道閉塞を引き起こす危険性があります。
尿道閉塞になると、排尿をすることができなくなるので毒素や老廃物を体内から尿中に排泄できなくなったり、膀胱が破裂したり急性腎不全を起こすなどの深刻な事態に陥ることが心配されます。
主な症状
- 元気消失
- 発熱
- 食欲不振
- 頻尿(1回の尿量は少ない)
- 血尿
- 痛みを伴っての排尿姿勢(背中を丸める)
- 尿が出にくい
- 膀胱に尿が溜まることによるお腹の膨らみ
- 尿の色の異常(濃い・濁っている)
- 尿の臭いの異常、不適切な場所での排尿
原因
結石にはいくつか種類があり種類によって原因も異なってきます。
では結石の種類別に原因をみていきましょう。
ストルバイト結石
尿路系に感染した菌が作り出す物質によって尿がアルカリ性に傾いてしまうことにより結石が形成されるケースが多くあります。
尿路感染していない犬でもストルバイト結石がでることがあります。
シュウ酸カルシウム結石
遺伝、性別、食事、ストルバイト結石が関連して発症します。
雄に多いことから性ホルモンに関連している見方もでてきています。
また、カルシウムを多く含んだ食事をたくさん摂取すると高カルシウム血症となり、尿中のカルシウム濃度が上がることでシュウ酸カルシウム結石を形成する要因となっています。
尿酸塩結石
肝臓で尿酸の代謝が他の犬種とは異なるダルメシアンなどに多く発症する結石で、多量の尿酸が尿に排出されてしまうことにより結石が形成されやすくなってしまいます。
他の犬種では、肝臓で尿酸の代謝ができなかったり、腎臓で尿への尿酸の排出が多くなるために起こると言われています。
シスチン結石
とても稀ですが腎機能の異常からシスチンを尿に排出してしまうことが原因です。
シリカ結石
シリカは土に含まれるケイ酸が成分となっており、土を食べたり、ケイ酸を多く含む植物を摂取することが原因とされています。
結石の種類別にかかりやすい犬種
結石の種類別にかかりやすい犬種と時期についてまとめてみました。
ストルバイト結石
ミニチュアシュナウザー、ビションフリーゼ、コッカースパニエル、ミニチュアプードル
シュウ酸カルシウム結石
ミニチュアシュナウザー、ミニチュアプードル、ヨークシャテリア、ラサアプソ、ビションフリーゼ、シーズー
尿酸塩結石
ダルメシアン、ブルドック
シスチン結石
ダックスフンド、ブルドック、バセットハウンド、ヨークシャテリア、アイリッシュテリア、ロットワイラー、チャウチャウ、マスティフ
シリカ結石
ジャーマンシェパードドック、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー
膀胱結石は飲水量の減る冬や水分の蒸散が多い夏に起こりやすい病気と言えます。また季節に関係なく普段から飲水量が少ない犬は要注意です。飲水量が少ないと膀胱内に細菌が入った尿が長時間とどまり続けるため、病気を起こしやすくなります。
また雌犬は外から入る細菌の影響を受けやすいことから細菌性膀胱炎が起きやすくなり結石ができやすい傾向にあります。
予防と対策
結石の発症要因として体質と食事が大きく関係していると言われています。そのことから次のような対策を心がけることが予防につながると思われます。
ドライフードだけでなく缶詰タイプのフードを混ぜる、ドライフードに水を入れて与えたりふやかして与えるなど、普段から飲水量を増やす工夫をすることが大切です。
加えてワンちゃんがいつでも新鮮な水が飲めるように用意しておくことも大切です。
肥満など食事の取り過ぎによる過剰なミネラル摂取が結石を作ってしまう原因です。体重が増えすぎないよう適切な量の食事を心がけましょう。
膀胱に尿がたまっている時間が長くなると、結石ができやすくなります。おしっこを我慢させるのはできるだけ避けるようにしましょう。
治療方法
結石の種類別による治療方法となります。
ストルバイト結石(細菌感染)
持続的な抗生物質の投与、動物病院で処方される尿を酸性にしカルシウムやリンの量を制限してある結石溶解のための特別療法食を食事として与えます。
大きな結石の場合は外科的な摘出手術となります。
シュウ酸カルシウム結石
結石の摘出あるいはタンパク質とナトリウムを制限する療法食を与える他、ビタミンB6の補充、利尿剤による尿の希釈を行います。
尿酸塩結石
尿を酸性にしないよう低タンパクの療法食を与えます。
シスチン結石
タンパク質の少ない食事と水素ナトリウムかクエン酸カリウムを添加します。
シリカ結石
療法食や投薬での溶解は難しため外科手術による摘出手術を行います。
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ユーザーのコメント
30代 女性 匿名
以下はあくまで一例です。軽症で、結石の種類がストラバイトであれば、抗生剤の投薬と処方食で治るでしょう。重症化すると尿素(毒素)が全身に周り、高窒素血症を起こしてしまうと危険な状態になってしまったり、外科手術で結石を摘出する必要がある場合もあります。
このように、一口に膀胱結石といっても状態は様々であり、必要な検査や治療も様々なので、上記の尿路結石症の症状が見られたら、早めに動物病院へ来院する事をお勧めします。
50代以上 女性 リュウ
50代以上 女性 匿名
2年ほど前に膀胱炎になったこともあります。
家のなかではトイレをずーっとガマンしている子です。
他の子はシートに出来るのですが、最初外飼育だったせいか、外に出るまではひたすらガマンしている様です。
診断される10日程前からおしっこの仕方や量がちょっと変わっていたような気がします。暑い日に呼吸が荒かった日もあったのですが、そのあと呼吸は普通になって、ごはんもきちんと食べていたし、散歩も張り切って出かけていたので歳かな・・・と思ってました。でも、背中を少し丸めておしっこをするのが気になったのでワクチン接種で病院に行った時にお話ししました。
エコーで膀胱結石が見つかって、今20日ほど薬を飲み続けています。これからフードも変えて取り組む予定です。
50代以上 女性 サム
ある日突然、オシッコが出せなくなり獣医さんへ 治療をしましたが 原因を見つけるため、検査をしたところ 結石が出来る原因として食品のAの種類であったりBの種類のどちらかで起こすようなので体に合わない物を見つけなければなりませんがそれで何とかなればと思います。
まれにどちらの食品も合わない子あるようです・・・家は残念ながら5歳という短い時間で旅立ちました。
50代以上 女性 テル
血尿が気づくきっかけでした。
少しの血尿の後、何事もなく3ヶ月程が過ぎた頃再びの血尿。明らかに赤い⁈今思えば尿の回数も多い。いつもお世話になる先生の診察を受けました。
結石があるようだとの診断。詳しく検査を受けることができる動物病院を紹介してもらい、やはり結石がある との診断でした。結石が膀胱内で動くため膜を傷つけ出血したであろうこと、痛みもともなっているだろうこと‥
ゴメンね と 愛犬に対して申し訳ない気持ちになりました。
検査の結果、手術を受けることになりました。
出てきた石はシュウ酸カルシウムの結晶でした。これは、薬でも溶けないので、以後、予防のためにも療養食となりました。オヤツも一切ダメ。
でも、今は元気でヤンチャもしながら過ごしています。ご褒美も療養食のフードを一日の量の中から何粒かでまかなって居るところです。
20代 女性 匿名
1年ほど前に発症。
始めは尿に血が混じるため病院へ連れて行き、膀胱内に石を発見。
その一ヶ月後に、しゃがんでも尿が出ない状態に。
膀胱結石からの尿道閉塞で、手術となりました。
シュウ酸カルシウム結石の為、療法食と水のみを口にしています。
元々食べる事も飲む事も嫌いな子なので、いかに水分を摂らせ、膀胱内の濃度を下げるかの攻防が日課です。
女性 るなまま
その日は抗生剤の注射、それから二週間、
飲み薬で膀胱炎は治りましたが、ストルバイトの結晶がまだ出てたので、先生の勧めで尿路結石用のPHコントロールのフードで1ヶ月間経過観察から、再検査でストルバイト結晶が消えていましたがこれまで食べていたフードが原因のようでしたがこれといった限定が出来ず、結局病院で購入したPHコントロールのフードに切り替えました。
先生はこのドライフード以外にあげないようにと言われましたが、本当に食いつきが悪く最初は三日間食べなかったので、同じ種類のPHコントロールのウェットフードを混ぜてあげています。
おやつは様子を見ながら少しずつあげていますが、一度病院を変えてもう一度検査をしてもらうつもりです。
50代以上 女性 匿名
50代以上 女性 サイチュン
膀胱結石と診察されてびっくり
グッタリして尿量減少、痛みのせいか辛そうな声。食事は病状にあったものがあるのでそれを与えています。食事は再発防止対策に大切だと思います
40代 女性 パフェ
結石はシュウ酸カルシウム結石です。
発症したのが4歳で血尿が出て検査へ…
膀胱炎の治療を半年続けていましたが、石が大きくなるわけでもなく、長期の投薬治療と血尿が続くのが不安になりセカンドオピニオンで大学病院へ行き、CTやレントゲンetc検査をひと通りした結果、まだまだ年齢的にも若いので手術!!
そのひと月後の検査で再発。
術後はPHコントロールのドライフードをパピーのようにふやかし水分補給するようにしてサプリ(ウロアクト)朝晩1錠を服用してる現在、膀胱炎は一切起きずですが石はずっとある状態でなんとか過ごせてます。
月に1度の尿検査とエコー検査を必ずしてうまく付き合っている日々です。
30代 女性 ココロ
ポメラニアンの女の子です。
ほぼ血の尿を少しだけ出しながらを数時間たった後、「ピシャ!!!」っと音とともに白い石が!!
レントゲン撮ると他にも小さな石が沢山(ノω`)
幸い、飲み薬で溶けるとのことで。
その間もたまにオシッコの出が悪いと感じる時は数日間オシッコの格好をした時に指でそっと下腹部から尿道の手前まで触ってたら心なしか尿がちゃんと出た気がしました(*^^*)
その後は病院に相談してフードなど変えて、最後は15年半の犬生を送ってくれました(*^^*)
40代 女性 匿名
うちの子は、1歳になった頃に血尿が出て受診したところ、ストラバイトがあるとのことでした。
先生いわく、一度結石が出ると結石が出来やすい体質なので完治は難しく、これから先もずっと療養食にするのが望ましい、とのことでした。
病院で進められたフードは食いつきが悪く、ネットで見つけた国産のphサポートのフードに変えると食いつきも良く、定期的にする検査の結果も徐々に良くなって来ました。
今では半年に一度の検査で良いほど、安定してます。
20代 女性 匿名
石の種類や症状など、それぞれ違いがあるかと思いますので
一例として、我が家の時のことも紹介します。
ある日、おしっこに小〜さな黒い粒が混じって出て来たのを確認し、これはなんだろうと思った翌日、おしっこが出なくなり、苦しみだしたので救急病院へ。
原因は結石が尿道に下りて来て詰まった事によるものでした。
おしっこが出ない事により毒素が溜まり始め重篤状態になっていた為(たった数時間、本当に体調が悪くなっていくのが早かったです)、その日は緊急処置のみ。
うちの子の石は、お薬などで溶かせないタイプのシュウ酸カルシウム結石で、それがたくさん膀胱に溜まっていたので、後日すぐに手術で石たちを取りました。
ただ、腎臓にも石を持っている為、身体のなかにある石はゼロには出来ていません。
それからは、フードは結石用の療養食に切り替え、食事のケアを徹底しています。
現在は11歳、歳も歳なので定期検査をして様子を見ています。
40代 女性 しゃちょう
50代以上 女性 匿名
40代 女性 匿名
レントゲンやエコーその他の検査をしました。
膀胱に3.2ミリの石がありました。
抗生剤を処方され、あまり水を飲まない子で、療法食に切り替えてから
水を飲むようになり、その後の検査で、
石は綺麗になくなっていましたが、
定期的に採尿して検査をしています。
40代 女性 匿名
結石ができやすく、三回手術をして取り除きました。
尿路結石フードを与えていたのですが、大好きなキャベツを与えなくなったら、大きな結石はできなくなりました。
早く気付いてあげればと、後悔するばかりです。
本当に本当に申し訳なく、情けないです。
キャベツをあげている方、疑ってみてください。
40代 女性 かえで
10歳になるまで、なったことがなかったのに、おしっこが出にくく痛がったので、獣医さんに診ていただきましたら、ストルバイト結石だとわかり、治療が始まりました。
まずは手術でできるかぎり結石を取り除いていただきました。幸いですが、綺麗に取り除けたと聞き、安心しました。痛がって興奮したので鎮静剤を投与されまして、やっと落ち着きました。
原因は、おしっこのがまんのしすぎが関係していると言われ、外でしかおしっこをしない子だったのでこまめに連れていっていたつもりでも、がまんしていたんだなと反省しまして、シートを置くようにしました。
それからは、おしっこをシートにもするようになり、結石にならなくなりました。
食事にも気を使い、野菜も食べさせるようにしました。
結石は痛くてかわいそうなので、年に一回の健康診断を受けて早期発見が大切だと思いました。
40代 女性 ラッキー
私自身、子宮がなく、流産しているので、可愛い息子です。何かあると直ぐに病院。なのに左目を白内障にさせしまい、予防薬中。今回はロイヤルカナンHhバランススペシャルをずっと食べてますが、膀胱結石9㎜オペが失敗したら、心臓の悪い私は生きていけませ。何かアドレス下さい。
40代 女性 匿名
そのうち、血尿が出て、気がつきました。
今まで、手作りジャーキー等オヤツを沢山あげてた物を一切もらえなくなった我が子は、いつもお腹を空かせた子になってしまいました。
しかし、空腹になる事によって、石は出来にくくなるとの事・・・。当時最新のお腹のゆるい子用のフードで今は体調良く、元気です。
決まった食事だけしか食べられ無くても大切な我が子。長生きして欲しいです。
20代 女性 ゆず
やっぱり、おトイレを我慢させないことが大事だと思います。犬は我慢強い生き物なのでけっこう長い時間でもおトイレを我慢できてしまうようです。家の中でもできるようにトイレトレーニングをしっかり教え込みたいですね。
女性 あんず
愛犬は10才です。
頻尿や水を沢山飲むなどの初期症状も無く、たまたま受けた尿検査で、三層になった膀胱の外側にある細胞が膀胱内に普通の2倍くらい入っていると言われ、膀胱炎になる手前と診断されました。
抗生剤を1週間飲ませて様子見しています。
再検査まではしなくてもいい軽いものとのことでしたが、気になるので1カ月後に再検査をしてもらう予定です。
外でしか排尿出来ないので、朝晩の散歩に加えて、夜ちょい出ししています。
以前室内で出来る様にと思い外に出さずにいたら、24時間くらい我慢してからやっと出たのでかえって良くなかったです。
結石が出来ない様に低タンパク低脂肪の食事、肥満に気をつけて健康長寿を目指します。
とても参考になりました☺︎
女性 匿名
ある日血尿が出たので慌てて病院にいくと、ストルバイト結晶が出来ていました。
直ぐに療法食へ切り替えましたが、缶詰めは不味くて食べられず…。仕方なく普段食べているウエットフードをまぜてあげ、3日後にようやく食べてくれ一安心しましたが、不安は残ります。
水分補給にヤギミルクパウダーを買い飲ませています。好き嫌いの多いうちの子ですがよく飲むので、お勧めします。
再検査で結晶が無くなっているように願っています。