問題行動の裏にある健康上の問題
ペットが攻撃的になったり、トイレの失敗をしてしまったりするなど、「問題行動」と呼ばれるものが現れるようになってしまうことがあります。
そんなとき、ドッグトレーナーに頼んだり、トレーニングを見直したりという対策が頭に浮かびますが、その行動の理由が医学的なものであることも少なくありません。
そのような場合には早急に検査や治療などの対策を立てることが必要です。一般的によくある健康上の問題と関連する行動をご紹介していきます。
問題行動の原因になる健康上の問題
ペットの問題行動が、実は体からの警告シグナルであることは少なくありません。どのような健康上の問題が、どんなタイプの問題行動を引き起こすのか挙げてみますので、参考になさってください。
痛み
体のどこかが痛い場合、犬や猫は攻撃的な行動を見せることがよくあります。触ったり撫でたりしようとすると、低く唸って鼻にシワを寄せたり、実際に噛みついてきたりする場合もあります。
動物にとって痛みを感じていると攻撃されやすくなるなど命を脅かす原因にもなるので、本能的に痛みを隠そうとします。一般的に犬よりも猫の方がこの傾向が強いのですが、犬でも痛みを隠そうとする場合も少なくありません。
痛みの原因は怪我をしている場合もあれば、関節炎など炎症が起こっている場合、内臓に疾患が起きている場合と様々です。身体のどの部分を触ろうとすると反応するのか、何かに飛び乗ったり階段の上り下りを避けたりするか、などをチェックして、速やかに病院で検査を受けましょう。
かゆみ
痛みだけでなく身体のどこかが痒い場合にも、問題行動が現れることがあります。過度に体を舐めたり引っ掻いたりする場合が多いので、痛みよりは発見しやすいですが、意外な行動がかゆみに対するイライラから来る場合もあります。
過度のマウンティング、多動や食べ物をねだる行動として現れることもあるようです。これらの行動から「もしかしたら?」と思ったら、皮膚の状態をよく観察して、早急に診察を受けましょう。
胃腸の問題
胃腸に不調がある場合、嘔吐や下痢など症状として現れると分かりやすいのですが、時には変な行動だけが最初に現れることがあります。
例えば胃がムカムカするときに、壁や床、ソファーなどをしつこく舐める、おもちゃや毛布などを過度に噛み続けるなどです。これらの行動の度が過ぎて普通ではないと感じたら、病院での診察を受けましょう。
泌尿器系の問題
トイレトレーニングがきちんとできているはずの犬が、普段と違う場所でオシッコをしてしまうことが増えたという場合は、健康上の問題が隠れている可能性があります。
尿路感染症の場合は、排尿が困難な様子を見せたり、排尿時に緊張する様子や声を上げたりする場合があります。
また泌尿器系だけでなく、糖尿病、甲状腺の疾患、腎不全などでは尿の量が増えるため、トイレの失敗も多くなりがちです。オシッコの粗相は、問題行動と捉えるよりも先にまず健康上の問題を疑って、早急に病院で検査を受けることが必要です。
神経系の疾患
脳のどこかが、腫瘍、血管障害などの原因で正常に機能していない場合、普通ではない行動が起こることがあります。
例えば、何もいないのに空中の虫に噛みつこうとする仕草を繰り返す、尻尾を追う行動、通常のパターンではない攻撃行動などが挙げられます。他にはてんかん様発作、歩き方がおかしいなど、身体症状にも注意して観察します。
重篤な疾患ですので、兆候があればすぐに病院で検査を受けてください。
問題行動には理由がある
一口に「問題行動」と言っても、それは一緒に暮らしている人間にとって問題となる行動ということであって、犬や猫にとっては意味のある行動です。
その原因が健康上の問題であれ、生活上の不満を訴えているのであれ、言葉を話せない動物からの「改善してほしいことがある」というメッセージであると受け止め、決してその場で叱っておしまいというような対処はしないでください。
普段と違う行動があったときには、落ち着いて健康上の問題ではないか観察・確認することが大切です。それが大切な犬や猫との信頼関係にもつながります。
まとめ
ペットが一般的に問題行動と呼ばれるものを見せたとき、健康上の問題が隠れている場合があることと、どのような健康上の問題がどんな行動になって現れるのかの一例をご紹介しました、
ここに挙げたことは様々な事例のほんの一部ですが、ペットの行動はしつけの問題だけではないということを頭に置いておくだけでも、いざという時の対処に違いが生まれます。ペットからのメッセージを注意深く受け止められるようにしておきたいですね。