犬が吐血する原因
ストレス
犬が突然、口から血を吐くいわゆる吐血をすると、多くの人は驚いてしまいますよね。何か悪いものでも食べたのでは?何かの病気なのか?もしかしてこのまま急死してしまうのでは?
なんて、悪い考えばかりが頭をよぎりますが、吐血はストレスなどが原因となって現れることもあります。
ストレスがかかると神経系やホルモン分泌、内臓などにも大きな負担がかかり病気を引き起こす原因になることがあります。ストレスは万病の元。ストレスが元となる病気はたくさんありますし、ストレスを溜め込んだ生活を送るだけでなんらかの悪影響を及ぼすことがあります。普段からストレスを発散させるためにも、散歩や適度な運動は最低限行うようにしておきましょう。
誤飲
誤飲によって気管に傷ができたり、臓器を傷つけるようなものを食べてしまったことで出血をして吐血する場合もあります。この場合は、直前まで元気であったとしても誤飲が原因で急に容態が悪化する場合もあります。
また誤飲で一番怖いのが中毒です。空腹のためか、普段は口にすることもない人間の食べ物を口にしたところ、中毒を起こしてしまい、吐血をして突然死に陥ったなんてこともありえます。尖ったものを間違って食べてしまった場合にも消化管に穴が開いたり、血管を傷つけてしまったりすることで大変なことになる場合があります。
誤飲は注意をしていても起こるものですが、できる限り事故がないように日頃から対策を行い犬の健康を守るようにしましょう。
病気
吐血で最も多いのが病気が原因となっている場合です。吐血を伴う病気はたくさんありますが、高齢になるとちょっとした病気でも免疫力が低下しているため命にかかわることがあります。
老犬でもまだ若い犬でも同じですが、高齢の犬は特に病気の症状が出ていないか日頃から注意をし、吐血が見られたら迷わずに獣医師に相談をするようにしましょう。
老衰
何らかの病気が原因となっているかはわかりませんが、高齢になると体の各臓器に異常が発生し、老衰するということがあります。徐々に体が弱っていく過程で吐血を起こしてしまう可能性もあります。
また、夜中に吐血してしまうと動物病院が閉院しているためパニックになってしまいますが、万が一のためにかかりつけの獣医師に相談しておくことも大切です。また、24時間診療してくれる動物病院を見つけておくことも重要です。
犬が吐血する病気と症状
肺水腫
肺水腫とは肺に大量の液体がたまってしまい、酸素交換ができなくなる病気のことです。肺炎や、心臓疾患の影響でおきやすい病気で、最悪の場合は死に至る可能性もある病気です。心疾患の末期に起こりやす症状ですので、心疾患の早期発見が重要です。
症状
肺水腫の症状は吐血の他に激しい咳・水っぽい鼻水・血の混じったあぶく状の鼻水と鼻血・呼吸困難などが見られます。呼吸が苦しそうにしていたり、発作のような症状を起こしたり、震えが起きたりする場合もありますので、いつもと様子が違うと感じたならば獣医師に相談を急ぐようにしましょう。
フィラリア
吐血を伴う病気はフィラリア症もあげられます。フィラリア症とは犬糸状虫症とも呼ばれ、フィラリアという寄生虫が蚊を媒介して感染するという病気で、心臓(肺動脈)に寄生します。
フィラリアにかかっている症を蚊が吸い、その蚊がフィラリアに感染していない犬の血を吸うことによって感染します。体内に入ったフィラリアの幼虫は成長し、最終寄生場所の心臓で子供を産みます。
症状
呼吸が荒くなる・咳をする・動くのを嫌がる・腹水・ひどくなると失神などの症状が見られることもあります。フィラリアにかかると心臓機能が低下し、最悪の場合は死に至る可能性も。フィラリアは予防薬により予防をすることが重要です。予防をするように心がけるようにしましょう。
胃潰瘍
胃粘膜の機能バランスが崩れてしまい、胃酸などで胃粘膜や粘膜下層、筋層が破壊されてしまいます。最後には、胃壁が潰瘍を起こし出血したり、穴が開いてしまうと胃酸が腹腔内に漏れ出し腹膜炎を起こしてしまうこともあります。
犬の胃潰瘍は、肥満や、腎不全、心不全、強いストレスなどが原因だといわれています。吐血の色がピンクっぽい薄い色であればまだ軽症ですが、真っ赤な鮮血を吐く場合や、ゼリー状の血を吐く場合は緊急を要する可能性がありますので注意をしてください。
茶色の見たこともないようなものを吐き出す場合も胃潰瘍の可能性が高いので合わせて注意をしておきましょう。
症状
食欲不振・嘔吐・元気がなくなる・発熱・腹痛など、胃に異常が発生しているため、基本的には消化管の異常が発生しやすくなります。
また、胃液を吐く、喀血や鮮血が出るなどによっては、胃潰瘍の他にも何らかの異常が発生している可能性がありますので十分に気をつけるようにしてしっかりと対応をしてあげるようにしましょう。
中毒
吐血の原因として考えられるのが、中毒を起こしている場合です。犬にとって中毒を起こしやすい食べ物を誤飲したことで起こる中毒症状は、普段の何気無い食事にも潜んでいるため十分に注意をする必要があります。
中毒を起こす食べ物としてよく言われるのが玉ねぎやチョコレートですが、その他にもたくさんの食材に危険は潜んでいます。また、食べ物によっては腸閉塞を起こす場合もありますので十分に気をつけるようにしましょう。普段は平気な食べ物でも、大量に食べることで症状が出る場合もありますので気をつけてくださいね。
症状
中毒の症状としてよくあるのが、嘔吐や下痢、血便や血尿、下血に痙攣、大量のよだれなどです。場合によっては意識障害を引き起こし数時間で死亡するケースもあります。中毒は犬にとって身近な危険因子でもありますので、食欲あるワンちゃんは特に誤飲に気をつけるようにしましょう。
血小板減少症
血を固めてくれる血小板が減少してしまう病気。
血を吐いたり、鼻血が出たときなどに、血が止まりにくくなってしまいます。歯周病のような歯茎に異常が見られる場合もあります。
出血の量が多いと、貧血症状も見られる場合があります。吐血が見られたならばこの病気である確率は極めて高くなります。その場合が長期間治療が必要となりますのである程度の時間と金銭的な負担を覚悟する必要があります。
症状
口や鼻などの粘膜にあざのような出血斑やメラノーマのようなあとが見られれるようになります。また出血が多くなると貧血のような症状が見られる他、血尿や血の塊が鼻から出ることもあります。さらに歯周病のように歯茎から出血をする様子が見られることも。
肺がんや胃がん
犬の胃癌は早期発見が難しいと言われています。吐血のような症状が表に出る頃には、かなり進行しているケースが大半です。また肺がんも気がついたときには治療の施しようがないほどに発展している可能性もあります。
症状
ガンでよく言われるのが食欲がなくなること、体重が減少すること、嘔吐や下痢を繰り返すこと、黒い便が出ることです。さらに元気がなくなったり、水をよく飲むようになる場合もあるのだとか。発見が難しい病気ではありますが、何らかの異常が見られたならばすぐに獣医師に相談をすることが早期発見につながりますよ。
尿毒症
腎臓機能の低下によって起こる尿毒症も吐血を伴う病気としてよく言われています。尿毒症の原因としてよく言われるのが腎臓機能に関わる病気です。その場合は嘔吐や下痢という症状が見られる他にも、食欲不振などが発生する可能性もあります。
症状
尿毒症は尿として排出されるはずの老廃物が、上手に排出されないために起こります。そのため、水を多量に飲んでいるのに尿が出ないという症状や、吐血を伴う症状、さらにはくしゃみや鼻水といった一見すると風邪のような症状を伴うこともあるようです。
歯周病
歯茎から出血をする歯周病など、口腔内のトラブルが原因で吐血をする場合も。その場合は少量の血液を吐き出すだけではなく、鮮血に近いものを吐き出します。歯茎や口腔内から出血をすると飲み込むことができずに吐き出しているので、口の中をみれば異常に気がつけるはずです。
症状
歯が痛むため食事をしたがらない、歯茎からの出血、何も食べていないのに口を動かしているなど口腔内に違和感があるため、口をずっと動かすような症状が見られます。歯周病は早めに治療を行わないと、歯を全て失う危険もあります。ぜひ歯に違和感があれば早めに対処をするだけではなく、日頃から歯磨きなどを行い予防をしましょう。
てんかん
犬の病気でよく耳にするてんかんも吐血を伴う病気として有名です。てんかんは原因が不明であることもおく、感染症、頭部外傷、肝臓機能や腎臓機能の低下、低血糖症などが主なものとして考えられます。また遺伝要因や環境要因が関係している可能性もあると言われています。
症状
てんかんの症状としては吐血の他にもけいれんや意識障害、失禁などがあげられます。体を反り返して激しくけいれんをしたと思ったら、数分後にはケロッとしているなんてこともよくあります。てんかんを疑う症状が見られたら、まずは獣医師に相談をするようにしましょう。
熱中症
吐血とはあまり関係がなさそうな熱中症も原因となる場合もあります。熱中症は放っておくと死に至る危険もある恐ろしい症状です。室温管理を普段から十分に行うだけではなく、散歩なども日差しが強い時間帯は避けるなどの対処をするように心がけてくださいね。
症状
熱中症の症状は痙攣や嘔吐、下痢や吐血、さらには意識障害や呼吸困難があります。熱中症になったら、とにかく体を冷やして体温を下げてあげるだけではなく獣医師の正しい治療を受けさせてあげるようにしましょう。また普段から熱中症対策を行ってあげるのが大切です。
犬の吐血の検査法
犬が吐血をした場合は、その吐血が何の影響であるかを突き止める必要があります。元気はあるか、食欲はないのか、大量に吐血をしたのか、少量の吐血だったのか、いつから元気ないのか、他に気になる症状はないのかという、飼い主に対しての問診と同時に、血液検査や心電図検査などが行われ原因を究明する検査が行われます。
吐血を伴っているということは、それだけ重病である可能性が高く、一刻も早く原因を究明することが大切です。
犬が吐血をしたならば、まずは慌てず状況を確認し獣医師に正しい症状と今までの経緯を説明できるようにしておきましょう。そうすることで、病名や原因が素早く判断でき早期治療を開始できますのでぜひ注意をしておきましょう。
犬が吐血した時の対処法
出血量が多い、激しい咳き込み、チアノーゼが見られる、呼吸がおかしい、短時間に何度も血を吐くなどの症状が見られたら、それは愛犬の命の危機かもしれません。大至急動物病院へいきましょう。時間が経てば経つほど、取り返しのつかない状態になってしまいます。
対処法としては寝ている状態で、犬が血を吐いたとき、気管支に入ってしまったりしないように、吐いたときは口を横に向けてあげましょう。起きている状態で、犬が血を吐いてしまった時は、吐いたものを誤食しないように、顔を下に向けてあげましょう。
また、吐いたものを取り除こうとして、犬の口を無理やり開けたりすると、興奮したり、暴れたりして、呼吸がおかしくなってしまうといけないので、ゆっくりとあわてずに対処することが大切です。
犬に首輪や服を着せているときは、取ってあげたり、服の紐などを緩めて、ゆったりとなるようにして応急処置を行ってください。
そうすることによって、少しは呼吸が楽になるでしょう。また、嘔吐している状態が続いている時は、絶対に犬を仰向けにしたりしないでください。
嘔吐物が気管支に詰まってしまう恐れがあります。病院での対処法は吐血の原因となっている病気や症状によって異なりますが、止血剤などの投薬治療が行われる他、入院により経過を観察することになる場合も。吐血を伴う病気や症状はたくさんありますので、早くに治療を行うためにも普段から健康チェックはしっかりと行いましょう。
まとめ
犬が吐血してしまうと、飼い主はパニックになってしまうことと思います。少しでも、犬が吐血してしまう原因となる病気や症状を頭に入れておくと、そういう時でも多少は冷静な判断がとれると思います。
また、飼い主がいない所で犬が吐血することもあり、発見がおくれてしまうことも少なくありません。普段から舌の色を確認しておきましょう。わからないところで吐血している場合だんだん貧血が進み舌の色が悪くなります。
どんな時でも、愛犬の状態が分かるように、愛犬の健康状態を毎日管理しておくと、早期発見につながると思います。毎日、楽しくスキンシップしながら、大切な愛犬の健康管理をしましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 かえで
胃潰瘍の治りが悪くて、血を吐いたらしく強い薬を使っての治療が始まりました。
すると、1週間もしないうちに体調がよくなってきたのか、食欲が出てきて散歩もよく歩くようになりました!
潰瘍が小さくなってからなかなか完璧に治らなかったので食生活を見直しました。野菜も食べさせました。温かいカボチャをゆがいたのをフードにのせて食べさせてみました。すると、みるみる完治しました。
ビタミンなども摂取して、バランスのよい食事も必要だとわかりました。
吐血をすると、びっくりしますが、わんちゃんが一番びっくりしているので、私たちは落ち着いて対処しましょう。
20代 女性 ゆず
記事にあった対処方法はとても参考になりました。実際にうちの子がそうなったらたぶん慌てると思いますが、できる限り落ち着いて対処したいと思いました。
40代 女性 はなまる
血を吐いてしまいました…ニンニクを
誤食してしまいました…私の責任です。
嘔吐から血を吐いてしまいました。
今日1日絶食させてみます。