犬が吠える行為は、人間では赤ちゃんが泣くのと同じです。吠え癖は直せば済む問題かもしれませんが、「犬がなぜ吠えるのか?」犬の気持ちをまずは理解することが大切になります。
なぜ犬は吠えるのか?
犬は日本でも、古くから猟犬や番犬としての役割を担う「家畜」として人と共に暮らしていました。その生活の中で吠えることを習性としていたため、犬が吠えるのは普通の事なのです。
夜中だから静かにしなければならないなど、人間社会のルールなど知るわけもありません。なので、現代の私たちの生活に合わせるためには、その部分はしつけで直していけばいいのです。
夜中に突然吠えることの理由としては、犬が群れで生活していた習性が残っていて、群れからはぐれてしまったときや孤独になった時に、群れの仲間の存在を確認する為に吠えてしまうということもあります。
犬は、集団行動をしてきたため、孤独に弱い性質をもっています。それは本能であり仲間を探し求めるという習性でもあります。特に、夜中はいろいろな音や人通りなどが少なくなることで静かになってしまうと、孤独を感じて吠えてしまうことが考えられます。
また、夜中に吠えると、同居している犬やご近所の犬なども同じように吠えたりすることがあるので、お互いの存在を確認をしているのかもしれません。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬が吠えるのは、気持ちを表現する方法の一つです。他には、尻尾を振ったり目線を合わせたり、お腹を見せるなどして気持ちを表現しています。
言葉が話せない犬の気持ちを知るためには、日頃からコミュニケーションを取って仕草や行動を見逃さないようにしましょう。
吠える理由を考える
警戒心から吠える(威嚇する時)
犬は、人間社会のルールは全く知りません。なので、さまざまな物に対して警戒心を抱いてしまい吠えるのです。
もともと野生で生活してきた犬は、自分達の縄張を持っています。縄張りに侵入してきたものに対して、警戒してこれ以上入ってくるなと吠えているのです。この警戒心を利用して、番犬として飼われている犬もいます。
人間社会のルールは、子犬の頃からしつけ(社会化トレーニング)をして身に付けさせることで、無駄吠えはなくなります。
監修ドッグトレーナーによる補足
警戒心から吠えてしまうのは、子犬の時によく起こります。
初めての物や人を見た時などに恐怖を感じて吠えてしまいます。また、近づこうとせずに吠えているなら警戒心が強く出ていると考えられます。
ストレスから吠える
犬のストレスは、生活環境などによるものが原因となることが多いので、飼い主が犬のストレス元となっているものを排除することが大切です。
犬が落ち着いて生活できるような生活環境を提供してあげましょう。
要求する為に吠える
犬が飼い主に対して、「何かをしてほしい」と要求するために吠える場合があります。犬は話すことができないので、飼い主に吠えて伝えるしかありません。
だからと言って、犬が吠えたから散歩やおやつ、ごはんなどを要求通り与えてしまうと、無駄吠えが治らなくなってしまうほか、飼い主と犬との主従関係などもなってしまいます。常に「飼い主がリーダー」という事を、犬に覚えさせることが必要なのです。
恐怖心で吠える
犬にとって、怖いものや人間にいじめられたなどの嫌な経験をすることで、恐怖のあまり自分を守るために吠えることがあります。
恐怖心から吠えるのは、警戒心と似た感情でもあるといえるでしょう。
孤独で吠える
留守番をしている時など、いつも誰かと一緒にいるのに一人ぼっちになってさみしくて吠えてしまいます。
もともと群れで生活していた犬は、孤独に弱い傾向を持つ子も少なくありません。
興奮して吠える
もともと猟犬や番犬として暮らしてきた犬は、興奮しやすい傾向があります。
留守番中に飼い主が帰宅してきた時などは、うれしくて興奮のあまり吠えてしまうのです。
どうしたら、吠えなくなるのか?
犬が吠える人(物)に慣らす訓練
警戒心から人や物に吠える場合、対象物がどのくらい近づいたら吠えるのかを確認し、少しずつ犬とその対象物の距離を縮めていきましょう。吠えなくなったら褒めてご褒美を与えるを繰り返し、焦らずしつけをしていきましょう。
また、救急車などサイレンに対して吠える犬もたくさんいます。これは、聞き慣れない大きな音に対する恐怖心から吠えているため、対象の音を最初は小さい音から始め、徐々に音を大きくして慣らしていきましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
ご褒美があると、余計に吠えてしまうのではと心配になる方もいるでしょう。
しつけをしても吠える頻度や吠える声が大きくなるようなら、しつけ方法が間違っているのかもしれません。その場合はすぐに見直す必要があります。
自分の気分で怒ったり叱ったりしていないか、ご褒美をあげるタイミングなど、改善点を見つけて一からやり直すのも大切です。少しずつ吠えなくなってくればしつけが成功している証拠です。
犬はこんな物や音に吠えてしまいます。
- インターポンやサイレン
- 来客や宅配便など
- 散歩中に出会う人や犬
- 車やバイク、自転車などの乗り物
犬が吠える前に指示をすること
犬が吠える対象物(人)がある場合は、その対象物が近づく前に「お座り」「待て」などの指示を出して待つことを覚えてもらいましょう。吠えずに上手に待つことができたら、しっかりと褒めてご褒美を与えましょう。
犬が吠える対象物を犬の視界にいれないようにする
知らない人や犬がいると恐怖心や警戒心が強くなり、対象物(人)が遠くにあっても吠えてしまうことがあります。
最初から回避するために、散歩コースを変えるなど対象物を犬の視界に入れないことも一つの方法です。
無駄吠え防止の道具を使用する
犬の無駄吠えを防止するグッズが市販されています。我が家では、人の耳には聞こえない「超音波」の防止グッズです。吠えたらボタンを押すと、吠えるのをやめます。
そのほかにも、吠えたら首輪が振動して吠えるのをやめるという首輪タイプのグッズもあります。また、犬が金属音を嫌う習性を利用して、缶の中に鈴や硬いものを入れた物を吠えたら振って音を鳴らすと、犬がびっくりして吠えるのをやめてくれますよ。
環境管理をする
家の中で、吠える対象物(人)が見える場所は、犬にとって警戒心や恐怖心が常にまとわりついてしまいます。
窓際など外が常に見えたり、音が聞こえてしまう場所からは離したところにケージ等は設置してあげましょう。
要求吠えとしての無駄吠え
犬は、「おやつ(ごはん)がほしい」、「相手してほしい」など、吠えて要求をしてきます。飼い主に精一杯のアピールをするために吠えます。
ですが、吠えたからと言って犬の要求にいちいち答えてしまうと、要求が通るまで吠え続けてしまいます。なので、絶対にその要求吠えに答えてはいけません。
最初が肝心ですので、要求吠えに対しては無視しましょう。飼い主がリーダーと犬に認識させることは、今後の生活の上で大切です。
最後に
犬が吠えるのは当然のこと。野生で生活したいたころの習性や行動を受け継いでいるからです。
犬にとって吠えることは、自分の気持ちを飼い主さんにアピールすることでもありまが、人間と生活していくためには、この野生の習性を直していくことが大切になるのです。
人間とより良く生活するには、人間社会のルールを犬に身に付けてもらう必要があります。ただし、犬は感情豊か生き物です。一方的に押し付けるのではなく、なぜ吠えているのか、理由や犬の気持ちを理解した上でしつけを行うのが大切です。
しっかりと信頼関係が築けていれば、犬は飼い主の指示に従ってくれるようになります。また、一緒にいれば安心だと認めてくれれば、警戒心や恐怖心は少なくなっていくでしょう。
犬のしつけの際に注意することは、「叱るときに犬の名前を呼ばない」ことです。名前を呼ぶときは、良いことをしたときや、飼い主の元に呼ぶときです。
叱るときに名前を呼んでしまうと、犬は叱られているのか、ほめられているのか分からなくなってしまいます。また、短い言葉でわかりやすく叱るのもポイントです。
犬が吠えるのには理由があります。そのことをしっかりと理解し、愛犬と飼い主さんのより深い信頼関係が築けるようコミュニケーションをとりながら、しつけは焦らずにじっくりと行いましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
吠えることが習慣になってしまった子は、止めさせるまでに年月が必要となります。1年、数年かかるかもしれません。
しかし、飼い主さんが諦めなければ、愛犬はきっと期待に応えてくれますよ。しつけは焦らず、根気と諦めない気持ちが大切です。
ユーザーのコメント
40代 女性 こちゃ
我が家の場合は、ここで提示してくれている原因がたくさん入り乱れています。
警戒心、恐怖、要求、孤独、ストレス全部が当てはまっているような気もしますし、やっぱり別々なのかとも思ってしまったりです。
犬と一言で言っても性格が十人十色(十犬十色?)、対処方法はそれぞれ千差万別、でも、根っこは同じところからきているので、対処方法を考えるためにも、性格と原因をしっかりと追究してみたいと思います。
元々吠えやすい犬種でもあるのですが、一番原因がはっきりしているテリトリー侵害での過剰反応を少しでも抑えられるように、理由を付けて遊びに来てもらったりしてクリアできるよう根気強く頑張ってみたいと思います。
40代 女性 かえで
うちのわんちゃんは、仔犬のころはまったく吠えなかったのに、2歳3ヶ月ころから、吠えるようになりましたが、意味があります。
怖いとき怯えたとき、心配なとき嬉しいとき、なにかを伝えたいときなどです。
吠えすぎたら吠えないように、躾ます。たとえば大きな音がでるものを用意して躾ますが、あまり無駄吠えでない場合は個性としてそっとしています。
一度、祖母が倒れた時に吠えて知らせてくれた時はとても褒めました。
わんちゃんは、いつも私たちのなにか役にたちたくてそばにいてくれるような気がします。もちろん癒してくれるためでもあります。
わんちゃんの元気な吠え声に日常の中の平和を感じれますね。
20代 女性 ゆず
何事も最初が肝心だとよく言いますが、無駄吠えの件も最初のしつけが大きく関わっていると思います。幼い頃にちゃんと社交性を身につけさせておくと良いのではないでしょうか。