犬の心臓マッサージと心肺蘇生ガイドライン
これまでの心肺蘇生の問題点
ワンちゃんが心肺停止に!!その時あなたはどうしますか?
近年、獣医療において「犬猫の心肺蘇生ガイドライン」が策定されました。
これまで犬の心肺蘇生については、「まずきちんと動物の状況を把握して、明らかに心肺停止状態が確認されたのちに、心肺蘇生を開始する」というのが原則でした。しかし、実はそれでは手遅れなんです!!
実際に、ほとんどの飼い主様にとっては「心拍が停止していることを確認する」という作業が難しく、「はっきりわからないからどうすればいいの?」ということで、蘇生処置が遅れてしまうこともありました。
新しいワンちゃんの心肺蘇生ガイドラインでは
そこでガイドラインでは、なるべく早く心臓マッサージを始めることを推奨しています。
厳密にはガイドラインは獣医師など専門家向けですので、飼い主様向けのものではないのですが、個人的には、飼い主様が心臓マッサージをスタートしなければならない場面はあると考えます。
そこで、心肺蘇生ガイドラインの初動についてざっくり言うと、「意識がなく、胸の動きがなくて呼吸が止まっていることがわかれば、その時点で心臓マッサージをスタートすること」です。
つまり、呼びかけに反応がなく、呼吸も確認できなければ、心拍のあるなしを確認できなくても、その場で、飼い主様が、一分一秒を無駄にすることなく心臓マッサージを開始してもよいと考えます。もし、心臓マッサージの必要がなく、意識が戻れば、それはそれでオッケーなんです。心臓マッサージによる合併症は少ないため、「迷うんだったら心臓マッサージを始めよう」という考え方です。人工呼吸が最初ではありません。まずは心臓マッサージです。
もし、意識が戻らず、やはり心肺停止状態ということであれば、すぐに大きな声で人を集め、動物病院への連絡をお願いしながら、心肺蘇生処置を続けます。
心肺蘇生は大きく分けて、心臓マッサージと人工呼吸があります。
犬の心臓マッサージのやり方
小型犬は横臥位(横向き)で、心臓に位置に手を当てます(犬の前足を曲げたときに肘があたるところ)。中型犬や大型犬は、外部から心臓を直接ポンプするのは難しいので、胸全体を圧迫できるよう、横臥位で胸が一番膨らんでいるところに手を当てます。またグレイハウンドなど胸郭が平坦の犬やたる型の胸郭をもつ犬では、特殊な体位をとることもあります。
胸部の圧迫は1分間当たり100-120回実施します。また圧迫の強さは、胸郭の幅が1/3から1/2の深さになるくらいの強さで圧迫しますが、実際はかなりの力が必要ですので、圧迫を行うときは、両手を犬の胸部に当てたら、肘を伸ばしたまま固定し、人間の上半身全体で圧迫するようにします。
また圧迫と圧迫の間は、しっかりと胸を広げなければならないので、完全に胸から手を離すイメージで行います。心臓マッサージは2分間で交代します。2分以上は、人間が疲れてしまい、圧迫と圧迫の間の胸の拡張が不十分になるなどの問題が起きるためです。
心臓マッサージは、人工呼吸をさせるときやマッサージする人を交代するときなどでも、できるかぎり中断しないようにします。
犬の人工呼吸を行う方法は?
実は、飼い主様が実施する人工呼吸方法は、ほとんどガイドラインには明記されていません。本来、人工呼吸は、一回呼吸量や呼吸圧など厳密な管理が必要なのですが、それが難しいためと考えられます。
ですが、心臓マッサージ開始して、最初に2分間については、心臓マッサージ30回あたり、2回のペースで犬の鼻に息を吹き込む方法での人工呼吸を推奨しています。その際、犬の口をしっかりと閉じた状態で、鼻に息を吹き込むようにしてください。
まとめ
犬の意識がなく、呼吸もしていなければ、ただちに心臓マッサージを始めましょう。その上で人を集め、人工呼吸、動物病院への連絡を行いましょう。
これらをスムースに行うために、正しい心臓マッサージの方法を知っていただき、またその後も迅速に対処できるよう、緊急時に連絡のとれる動物病院を把握しておくことも重要です。
ユーザーのコメント
女性 雀3号
心臓が停止してしまってからではどの辺りに心臓があるのかわかりづらいと思います。普通に元気にしている時に、事前に心音のある場所を確認し心臓の位置を把握しておくと良いと思います。
言葉で方法を表現するのは難しいので動画があるとよかったです。
心臓部分は本当に横から押すんですね。力の加減が難しいですが、甘すぎては刺激が届かない可能性があります。これは犬種にもよるので素人には判断が難しいです。目安は小型犬なら押して3~4cm沈むくらい、大型犬なら5~6cm沈むくらいが良いようです。
人間でもそうですが、力の入れ具合で簡単に肋骨は折れてしまいます。よく注意してください。
犬の体の右側を下に、左を上にして横向きに寝かせ、マッサージをする人は犬の背中側につき、心臓の位置を確認します。
息の確認は取っておいた方が良いかと思います。鼻の前に耳を持っていくと弱くても感じ取ることができます。念のため心臓マッサージの前に確認しておきましょう。
心拍の確認ですが、心臓部の他に前足、後ろ足の動脈、太ももでも取ることができますが、肥満体の子は少々わかりづらいのでいざという時のためにダイエットも必要ですね。
あくまでも緊急時の応急処置なので、不安な状態で無理に行うと心肺蘇生どころか間に合わない事態になりかねません。とにかく急いで動物病院に向かうことも忘れずに。
女性 カカオ
20代 女性 コナ
人間なら救急車を呼べばいいですが、犬はそうはいきませんし。
愛犬に何かあったときに、1分1秒を争うような事態に右往左往しているわけにいきませんから。
犬の救急救命セミナーなるものを以前受講したかったのですが、受講料が10万円近くかかるため悩んでいました。資格などはいらないので、実技がきちんと学べる機会がないかなと探しています。
記事で人口呼吸についてのイメージはわかったのですが、やはり心臓マッサージのイメージがわかりません。愛犬に何かある前に身につけておきたいと思っています。
30代 女性 nico
30代 女性 セナ
女性 チキン
50代以上 女性 もものお母さん
女性 ささにしき