犬の飼い主の運動量の研究と、その社会的な役割

犬の飼い主の運動量の研究と、その社会的な役割

犬の飼い主は犬を飼っていない人よりも運動量が多いという研究結果が発表されました。特に驚くことではないのですが、このような研究の社会的な役割とは何でしょうか?

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犬を飼っている人と飼っていない人の運動量

男性と散歩するエアデールテリア

犬を飼うことのメリットが挙げられるときに「身体を動かす機会が増えるので健康増進につながる」というものが常にあります。犬と暮らしていれば、毎日散歩に連れて行くことは基本中の基本ですから、当たり前だとも言えます。

過去にも犬を飼うことと、飼い主の身体活動量の関係についての研究は数多く行われ、統計が取られています。しかし、過去の研究の多くは世帯の中の1人だけに焦点を絞って行われていました。先ごろイギリスのリバプール大学の研究者によって、その点も考慮に入れた上で、犬を飼うことが飼い主の運動量にどのような違いをもたらすのか、分析が行われ発表されました。

犬の飼い主の身体活動ガイドラインの達成率

犬と一緒に草原を走る家族

研究者はイギリスの385世帯、うち犬を飼っている成人191人、犬を飼っていない成人455人、子供46人を対象にして、それぞれの身体活動を査定しました。査定方法は自己申告によるアンケート形式です。さらに研究者らは、成人28人について3日間加速度計を装着してもらい、その数値から正確な身体活動量を割り出して、自己申告データの調整も行いました。

分析の結果は予想通り、犬を飼っている人は飼っていない人に比べて頻繁かつ長い時間歩くことが分かりました。また犬との散歩を行う人が、代わりに他の身体活動を削っているということもなく、犬の散歩は純粋にプラスの活動になっていることも分かりました。

健康的な身体活動のガイドラインとしては、一般的に「1週間に少なくとも150分の中程度以上の運動」が推奨されています。アメリカではこの数値を達成しているのは成人の50%にも達していません。この研究が行われたイギリスでは、ガイドラインを達成しているのは成人男性の66%、成人女性の58%です。このたびの調査の結果から犬を飼っている人は飼っていない人に比べて、この達成率が約4倍であること、そしてその恩恵は犬を飼っている世帯のほぼ全員に及んでいることも分かりました。

このような研究の社会的な役割とは

ドッグパークのあるコミュニティ

このように犬を飼うことは歩く機会を増やし、世帯構成メンバー全員の身体活動ガイドラインの達成に関連していると研究者は述べています。それはつまり、犬との散歩が肥満や心血管疾患のリスク低下など健康の増進に役立つことを示唆しています。

人々の健康増進や疾病リスクの低下は、医療費の減少や生産活動の増加など社会全体の利益につながる問題です。このことから研究者は、公園や遊歩道などの公共スペースや住宅計画に関する政策は、犬を飼いやすい環境を作るサポートをするべきだと報告しています。

研究の結果だけを聞くと、「当たり前じゃないか。どうしてわざわざそんなことを?」と思うことも、数値を出すことで社会全体に関わる行政などにも影響が及ぶのだと知っておきたいと思います。

まとめ

犬とジョギングするカップル

イギリスの研究者によって、犬の飼い主の身体活動は飼っていない人よりも多く、健康へのポジティブな影響が示唆されることが発表されました。研究者はこの結果から行政が犬を飼うことのサポートをすることが、社会の利益につながるとも言及しています。犬を飼うということについて様々な研究が行われているのは、社会的な意味もあるのだという内容をご紹介しました。
犬と人間社会との密接なつながりが改めて感じられる研究ですね。

《参考》 https://www.nature.com/articles/s41598-019-41254-6

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