あなたは食欲不振に陥ったことがありますか?
誰しも、(一時的に)食べれなくなった、食べたいものがわからない等、食欲不振に陥ったことがあると思います。
では、人はどんな時に食欲不振に陥るのでしょうか?
[食欲不振の代表的な例]
1.身体的な要因
- 胃腸の状態が悪い
- 風邪気味等、全身状態が弱っている
- 虫歯や喉の痛みなど、咀嚼・嚥下機能の障害
- 大病の後
- 加齢によるもの
2.精神的な要因
- 試験や大事な契約前などのプレッシャー
- 失恋や人間関係の悩み等の心の疲弊
- 家と職場の往復の日々、家庭で会話がない等、心に張りがない
- 食べ物への不信感(まずそう、古そう、臭いetc)
このように、精神的なもの、身体的なもの、大抵は両方の要因が複雑に絡み合って食欲不振の原因につながっていたのではないでしょうか?(現在進行形の方も恐らくそうだと思います)犬の食欲不振も人間と共通する点が多くありますので、最近、愛犬に食欲がなくてお困りの飼い主さんは、まず、心身に何か問題が起こっていないのかを冷静に見極めましょう。
犬の食欲不振ーよくある身体的な要因と対策法
1番多いのは、胃腸の具合がよくない
誤飲・誤食したものが危険な食物や植物の場合は、嘔吐や下痢、発熱など、全身状態が悪化し、食欲不振どころか「食べない」という状況に至ります。
この状況の場合は、一刻も早く獣医に相談するべきでしょう。
そこまで悪いものじゃなかったにせよ、拾い食いしたものが愛犬に合わない食べ物の場合、外飼いの犬で多いのは、通りすがりの人に貰うオヤツが原因で、胃腸を壊す子は多いようです。
無理に食べさせるよりは、胃腸を休める(絶食)する方向で様子を見た方が無難ですが、2〜3日経っても改善が見られない場合、他の疾患が影響している場合があるので、獣医に相談しましょう。
パピーやシニア犬の場合は、絶食による体力低下が命に関わる場合がありますので、自己判断の絶食の前に、愛犬の全身状態の様子と共に、獣医に相談しましょう。
虫歯、咀嚼・嚥下機能の低下や障害
シニア犬を中心に多く見られる症状ですが、先天的な嚥下機能障害がある場合は、1歳ぐらいまでに症状があらわれます。
これらも、根本的な疾患を治療したり、食べやすい環境を作ってあげなければ解決しません。
虫歯の場合は歯の治療を、咀嚼・嚥下機能が要因の場合は、食べ物の硬さや食器の工夫をしてあげましょう。
大病の後や加齢による場合
食べなければいけない回復期の場合は、食欲をそそる工夫が必要になるかもしれません。
シニア犬によく見られるのが、嗅覚が衰えることが、食欲不振につながっているケースです。
犬にも味覚はありますが、犬は食べ物を「匂い」で判断します。
いつものご飯を少し温める、疾患や体調上問題ないのなら、チーズを粉にしたものをトッピングする、薄めた鰹出汁(人間用の粉末出汁は用いないで下さい)をかけるなど、匂いを強調するだけで口にする気分になってくれる事があります。
避妊・去勢手術をしていない犬の場合
雌犬の場合は、発情後期に入ると食欲不振に陥るケースが多いものです。
また、雄犬の場合はヒート中の雌犬と出会うことで発情(興奮)し、食事どころではないという意味での食欲不振に陥る子もいるようです。
どちらも時間薬なので、見守る(放置)するしかありません。
但し、あまりにも症状がひどく、愛犬のQOLを下げているのならば、獣医と相談の下、避妊・去勢手術を行うのも1つの解決方法かもしれません。
犬の食欲不振ーよくある精神的な要因と対策法
慣れない環境での不安
お迎え間もないパピーの場合、また、人間に捨てられた・虐待された経験がある犬の場合、食欲不振というよりは、食べたと思ったら食べないといった、ムラっ気のように見えるかもしれません。
このようなケースでは、すぐに食事を手を加えるよりも、飼い主やそのファミリーから「自分は愛されている」ということを感じてもらうこと、安心できる場所なんだと知ってもらうのが第一です。
食べなくても、怒ったりしないで下さい。
食べないからといって、簡単にオヤツを与えないで下さい。
元々食が細い子、精神的にタフではないタイプ(性格)の犬もいますので、飼い主は、愛犬の性質や性格を見極めることが大切です。
尚、飼い主が不在だったり、ホテルに預けれられている際など、不安からくる一時的な環境変化からくるストレスなら心配はありませんが、普段からお留守番に慣らす等、分離不安を軽減する対策を考えてみましょう。
生活に張りがない
毎日決まった時間にご飯を食べて、後は寝るだけ。
そんな生活で満足する犬もいるようですが、パピーを中心に大抵の犬は、外でお友達と遊んだり、飼い主と遊んだりお話ししたりする「楽しい時間」が大好きで、「退屈」が大嫌いで、無視されると悲しくなります。
お散歩の時間は足りていますか?飼い主と過ごす時間が最近、不足していませんか?愛犬との過ごし方をもう1度見つめ直してみましょう。
旅行をしたり、遠出をしたりと張り切ったりしなくても大丈夫。
1日10分、しっかり集中して愛犬とコミュニケーションを取るだけで、心が満たされるようです。
飼い主の不適切な躾が招く、犬の食欲不振
人間の食事と犬の食事は「きちんと」分ける
人間の食卓に出た犬や魚の匂いに、犬が興味津々になるのは仕方がない事です。
傍らで瞳をキラキラさせているのを見ると、ついつい、レタスやキャベツを取り分けてやったり、犬用に調味料を使っていない焼き肉を用意しておきたくなる・・その気持ちは飼い主の一人としてよく分かりますが、食事の躾、飼い主の主従関係が十分に完成しているという自信がない限り、避けたい行動です。
犬は非常に賢い動物です。
犬と暮らしているにはよくわかると思いますが、自分に都合のいい事の記憶力は素晴らしいものがあり、1度、美味しいものを人間の食卓から取り分けて貰うと、すぐに覚えます。
愛犬が喜んで食べないといけないのは「自分の食事」なのに、人間の食卓にあるものの味を知ってしまうと、不満を抱かせることになります。
食が細いタイプの子の場合、こんな事が食欲不振につながりますし、毎晩のように人間の食卓にあるものを食べ続けると、長い目で見ると、犬の食事バランスを乱し、健康を害する事を考えましょう。
愛犬とカフェに行ったりされる場合は、飼い主の食事をきちんと待ち、そのご褒美として何かを貰えるという躾が有効になる場合があります。
その場合も、できれば飼い主の食べ物を与えるのではなく、ドッグフードなり、普段与えているオヤツなり、「特別に美味しいもの」ではない方が無難です。
当たり前ですが、人間用に調味されたものは、絶対に与えないで下さい。
オヤツに気をつける
散歩の合間に、ちょっとオヤツを。
そんな習慣を持っている飼い主さんや犬は多く、食事と食事の時間が長い犬のためにも有効なケースもありますが、与えるオヤツの質と量には十分に気をつけましょう。
ドッグフードも嗜好性(犬が喜んで食べる)を高めるために多くの実験や研究を重ねて作られていますが、犬用のオヤツの場合、更に嗜好性が高いものが多く、犬の好きな匂いや脂肪分、甘さなどが強い物が多いようです。
こんな美味しいオヤツの味を知ってしまったら、自分の食事が美味しくかんじないために、食欲不振になるのも仕方がないことです。
オヤツを与えるのなら、「一日に○個だけ」と鉄の掟を作り守る、美味し過ぎるオヤツ(ジャーキーやチーズ等)は避けるようにしましょう。
パピーならば、オヤツもドッグフードで問題ないくらいです。
また、複数の犬が集まる公園では、飼い主同士が愛犬達に振る舞う「オヤツパーティー」の開催など、飼い主が予期せぬ味・量のオヤツに出会う機会があります。
躾や食育が進んでいない場合は、飼い主がしっかり辞退の意思表示をしましょう。
安易なフードの変更、トッピングは避ける
「ドッグフードを食べなくなる度に変えている」ドッグフード・ジプシー、ドッグフードを食べないから肉をトッピングしたら食べた・・と思ったら、肉しか食べなくなったという「なんちゃってトッピング」も、飼い主が避けたい行動です。
●ドッグフード選び
飼い主さんがしっかり情報収集をし、吟味に吟味を重ねて選んだドッグフード。
稀に「味の好み」も場合もありますが、大抵は、他に美味しいものを知っているからだったりします。
コロコロ商品を変えるよりも、食べなければ食べないで結構、あなたのご飯はこれなの!と毅然と振る舞いましょう。
気をつけてあげたいのは、ドッグフードの保存状況(封を開けた時点から匂いや味の質は落ちます)とアレルギーの問題です。
特にアレルギーがある場合、食欲不振だけではなく、目やに過多や涙焼け、湿疹など、他の器官に症状が見られる場合があります。
同じドッグフードを食べ続ける事で、アレルギー反応を起こしているケースも中にはあり、不思議に犬の食いつきも悪くなるようです。
小麦、米、大豆、鶏、牛、豚など、アレルゲンはその犬によって異なりますが、同じ犬種、親戚の犬にアレルギーが多い場合は参考になるかもしれません。
アレルギー検査を受ける事も含め、獣医と相談してみましょう。
●トッピング
一時期からドッグフードへのトッピングがブームになっています。
簡単に取り組めばいい、気楽にやればいいが合い言葉になっており、忙しい飼い主向けのトッピンググッズが多く販売されていますが、利用の前には、それなりの覚悟がいると考えて下さい。
毎日パクパク何でも食べるタイプの犬ならばともかく、偏食しがちの犬の場合、トッピング以外のものを食べなくなるのは簡単に想像できる話です。
愛犬の健康を考えて、毎食手作りご飯を与えることで解決できればいいのですが、それだってえり好みされることでしょう。
最後に
本来の食欲不振のケース、そして飼い主が招いているだけの食欲不振のケースをまとめてみました。
あなたの愛犬の食欲不振がどのケースでも、飼い主の愛情と努力で、きっと今より改善できると思います。
食べることは生きること。美味しく食べて元気に過ごすのが何より幸せです、お互いに頑張ってまいりましょう。