犬の「平均寿命」と「健康寿命」について

犬の「平均寿命」と「健康寿命」について【獣医師監修】

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近年、ペットも高齢化になってきました。食生活、住環境、獣医療の進歩や飼育意識などの向上により、ペットの平均寿命が延びました。できるだけ長く共に生きたいと願う飼い主さんにとってとても嬉しい傾向です。ですが、平均寿命の半分を何らかの闘病や介護で過ごす犬もとても多いのが現実です。今回は犬の平均寿命と健康寿命について考えてみましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の平均寿命とは

ラブラドールレトリバーの成長過程

最新の調査では、国内の犬の平均寿命は全体で14歳~15歳です。犬種ごとの平均寿命も、保険会社などでデータがとられています。ペットブームが始まってから30年が経とうとしていますが、10年といわれていた犬の平均寿命は日々長くなっています。

犬種国内平均寿命
小型犬(約)12歳~15歳
中型犬(約)10歳~13歳
大型犬(約)9歳~14歳

14年~15年の犬の生涯を詳しくみていきましょう。

生後1歳までが子犬期

犬は約8か月~12か月で骨や筋肉、内臓や神経などが成犬にまで成長します。経験値や学習量からみると、まだまだ子犬のようなしぐさや行動が見られますが、性成熟をむかえ繁殖が可能な体となっています。

1歳~7歳までが成犬期(維持期)

1歳から平均寿命の半分までが成犬期といわれ、肉体の成長は維持期に入り、精神面の成長を重ねていく時期です。更に細かく分けると1歳~3歳まではヤング期、3歳~7歳まではアダルト期に分かれます。

1歳~3歳までは、まだまだヤンチャで多くの経験を通して学びの途中です。おうちのルールを覚えながら、飼い主さんとの経験が精神面を鍛えていきます。3歳までは落ち着きがなかったのに急に落ち着きが出てきたり、様々な環境の変化に対応できたりする経験が、精神的な自信と安定を育てます。

7歳~10歳までがシニア期

平均寿命の半分からがシニア期と呼ばれ、人間でいうと初老です。アダルト期と比べても、特に変化を感じることはないかもしれませんが、少しずつ肉体的な衰えが始まっています。

10歳~寿命までがハイシニア期(超高齢期)

この頃になると白髪が目立つようになるなど、明らかな衰えがみられます。健康であれば毎日元気にしていますが、人間でいうと超高齢者です。

疲れやすく、寝ている時間も増え、歩行スピードもゆっくりになります。味の好みが変わったり、食欲が落ちてきたり、オモチャや遊びにもあまり興味を示さなくなることもあります。

超大型犬では平均寿命は7歳~9歳

芝生で休むセントバーナード

犬の平均寿命が長くなってきていても、それぞれの犬種では平均寿命が短い犬種もいます。特に大型犬や超大型犬は成長のスピードも速く、遺伝的に短命犬種もいます。短命犬種の生涯を詳しくみていきましょう。

生後1歳~1歳半までが子犬期

大型犬の子犬の成長は超速です。朝、目が覚めたら前日の夜よりも大きくなっている!と感じるくらい、毎日どんどん大きくなっていきます。小型犬と比べると子犬期が長いのは、性成熟をむかえるのが1歳を過ぎてからだからです。体の大きさによっては、10か月ほどで性成熟をむかえることもあります。

1歳半~4歳までが成犬期(維持期)

2歳半~4歳になると、精神的な安定が整い落ち着きます。子犬のころと比べると違う犬?と思ってしまうほど、行動も考えも落ち着きます。ヤング期とアダルト期の境は個体差があります。4歳までずっとヤング期で活発に運動したり、おもちゃや遊びに興味津々だったりする子もいます。

5歳~シニア期、ハイシニア期

大型犬、超大型犬は5歳を過ぎるとシニア期になります。慢性疾患の好発年齢も5歳~6歳以降です。大型犬、超大型犬は、平均寿命を越えるとハイシニア期に入ります。体調不良や腫瘍が発生しやすくなりますので、定期的な健康診断が必要です。

犬の健康寿命とは

笑顔のような表情の柴犬

健康寿命とは人間の方で先に定義されました。継続的に何らかの治療をしなければ死亡の原因となる病気がなく、投薬しなければ健康状態が維持できない病気を患っていない状態のことを言います。また24時間介護状態になっていない状態を維持している期間のことを言います。

人の定義をそのまま犬に当てはめることは難しいと思います。犬の場合でも何らかの薬を飲んでいることは多いと思います。アレルギーの薬、てんかんの薬、心臓の薬などがその代表になると思います。しかし、心臓の薬を飲んでいなければ健康を維持できなければ健康寿命の期間から外れるとするのは疑問が残ります。
病気があっても、薬を飲んでいても生活する上で介助の必要がなければ健康寿命の範囲内だとする方が自然でしょう。

平均寿命は伸びても健康寿命は伸びない

寝たきりになった老犬

先にご紹介した通り、犬も高齢化になってきました。平均寿命の半分からがシニア期に入る犬の健康寿命は、何年くらいなのでしょうか?

6年~8年が犬の健康寿命

先天性の疾患がなく、適正飼育をされている犬が病気を発症し、継続的な治療をしなければ死んでしまう状態になるのが6歳~8歳といわれ、飼育されている犬全体の約30%が、生後6年~8年で、闘病又は介護生活が始まっています。

つまり犬の平均寿命14歳~15歳のうち半分の期間は、健康な状態ではない犬が3割もいるということです。獣医療の進歩や飼い主さんの飼育意識の向上で、病気の診断をうける犬が増えました。これは、大切に育ててきて長生きしてくれて、適切に医療をうけられている犬が増えたため、病気を発見できるようになったということです。

現在では【老衰】という死の迎え方は少なくなり、何らかの病気で亡くなる犬がほとんどです。

なぜ医療の進歩・飼育環境が整っても健康寿命が伸びないのか?

ストレスを抱えて元気がない犬

はっきりとした原因は分かっていませんし、どんなに大切に育てていても病気になってしまうことはあります。いつまでも健康で長生きしてほしいと願わない飼い主さんはいません。犬の健康維持を考えたとき、大切なこととは何でしょうか?

  • ストレスをかけないこと
  • 運動、食事が適量でバランスが取れていること
  • 予防医療、が重要であること
  • 出生環境、遺伝による影響

現代を生きる犬たちは、たくさんのストレスがかかっていると言われています。温度や食事内容や環境、犬との関係、ヒトとの関係などから様々なストレスを受けています。

犬を健全に育てるという観点から、現代の犬たちの生活環境をみると、私たち人間と同じく【ストレス社会】で生きているのかもしれません。全くストレスがない生活を送ることが難しいのは私たち人と同じですが、できるだけストレスがかからないようにしていくことは可能です。

健康寿命も長く長寿な犬たち

飼い主と散歩を楽しむ老犬

犬の健康寿命が、平均寿命の半分程度であるとご紹介しましたが、もちろん健康で長寿の犬もたくさんいます。長寿犬を育てる飼い主さんからお話を伺うと、1つの共通点があります。それは「犬と過ごす時間が長く、よく見ている」という点です。

ストレスをかけない生活や食事内容や運動、予防医療など愛犬のために様々な工夫をして、勉強を惜しみません。ただ長く一緒にいるのではなく、愛犬の様子をしっかり把握していることが分かります。季節や気温で水分量や食事の内容を変えたり、運動量も愛犬の体に合わせた適量をしっかりと把握したりしています。

そして躾やルールは犬にストレスを与えない方法で、愛情をもって共生しています。多くの犬が、人間社会で生きていますが、私たち飼い主は犬との暮らしに対して、飼育から共生へと変化させる時代になってきているのではないでしょうか?

まとめ

人の手の上に置かれた犬の手

どれほど犬のために素晴らしい環境やケアがあっても、重大な病気にかかってしまうことはあります。

平均寿命がどんどん伸びていく中で、健康寿命がその半分という犬たちが増えているのは、犬たちが生きる環境や産み出される環境に問題があるのかもしれません。健康で長生きできるよう、私たち飼い主はもっと健康寿命を伸ばすことに注目して、考えるように変化が求められているのではないでしょうか?

愛犬の健康は飼い主にしか管理できません。ストレスをためていないかな?叱ってばかりいないかな?と、できることから改善して、愛犬の健康寿命を伸ばしていきましょう!

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