犬が急に倒れる原因と考えられる病気、対処法について

犬が急に倒れる原因と考えられる病気、対処法について

犬が急に倒れてしまう原因と病気にはどのようなものがあるのでしょうか。そして、犬が急に倒れてしまったとき、どのように対処すると良いのでしょうか。原因と病気と対処法についてご紹介しています。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬が急に倒れてしまったら?

砂の地面に伏せる柴犬

犬が目の前で急に倒れてしまったら、みなさんはどのように対処するでしょうか。
原因は何か、特定しようとするでしょうか。
パニックになって、何もすることができずに立ち尽くしてしまうでしょうか。

意識があるのであれば、しばらく様子を見てみようと考える方もいらっしゃるかもしれません。
すぐに病院に連れて行こうと考える方も多くいらっしゃると思いますが、その前に何か応急処置をしなければならない場合があるかもしれません。

犬が急に倒れてしまったときに考えられる原因と病気、対処法についてご紹介します。
万が一のことがあれば、焦らず冷静に対応しなければなりません。
どのような原因や病気が考えられるのか、どのように対処すれば良いのかを知っておくと、万が一のとき、お役立ていただけると思います。

犬が急に倒れる原因

地面に寝転ぶドーベルマン

1.「脳の異常な興奮による発作」

脳の異常による発作が原因となり、犬が急に倒れてしまうことがあります。
「てんかん」と呼ばれているのですが、脳内にある神経に異常な興奮が起きることが発作の原因です。この場合、意識があります。
鳴き声をあげたり、ひきつけを起こしたりするなどの症状がみられます。てんかんをおこす原因は、原因が特定できない特発性から腫瘍などの病気まであります。

2.「心臓の異常による失神」

心臓の機能が正常に働かなくなると、酸欠や血圧の異常を引き起こします。
酸欠や血圧の異常が失神を引き起こし、犬が急に倒れてしまうことがあります。
激しい運動をしたあと、興奮してしまったときなどに起こることも多いです。
かるい症状であれば、数分で元気を取り戻すことがあります。
そのため、「あれ?何だったんだろう?」と不思議に感じてしまう方もいらっしゃるようです。

3.「貧血と腫瘤」

犬も貧血を起こすことがあります。
貧血によって倒れてしまった場合、しばらくの間、意識が朦朧としている状態です。
意識はあるので必死で立ち上がろうとするのですが、朦朧としているため上手く立ち上がることができません。
お腹の中に腫瘤があり、その腫瘤が突然に出血してしまうことで貧血を起こし、倒れてしまう犬もいるようです。

4.「肝臓や腎臓の疾患」

肝臓や腎臓になんらかの疾患があり、犬が急に倒れてしまうことがあります。これは、からだの中の毒素がうまく解毒できないことが原因でおこることがあります。
倒れた状態のままで嘔吐してしまうことがあるため、嘔吐物を誤嚥してしまわないように注意する必要があります。
誤嚥を防ぐためには、お尻の下にクッションなどを置くことで高くし、頭を下げるようにすると良いです。

ほかには、低血糖で倒れたりすることなどもあります。特に糖尿病治療中の子は注意が必要です。

犬が急に倒れる病気

病院の診察台に横たわる犬

1.「僧帽弁閉鎖不全症」

僧帽弁閉鎖不全症は心臓病のひとつです。原因は明らかになっていません。
僧帽弁に粘液腫様変性という変化が起きることが、原因なのではないかという話もあります。
しかし、なぜ変化が起きるのかということの原因も明らかになっていません。
いまだに謎だらけの病気なんです。

心臓の機能が低下するため、カラダに十分な血液を送ることができません。
そのため、全身が酸素不足になったり、心臓が大きくなり気管を圧迫して咳がでたり、症状が進行してくると肺にお水がたまって呼吸困難になることもありますし、脳が低酸素の状態になることで失神することもあります。

2.「拡張型心筋症」

心臓を構成している心筋と呼ばれる筋肉が、正常に働かなくなってしまうことを拡張型心筋症と言います。心筋がペラペラに薄くなりポンプの機能が果たせず、カラダに十分な血液を送ることができなくなってしまう病気です。

初期段階では特に目立った症状は起こりませんが、急に失神してしまう可能性があります。
進行すると肺水腫が生じます。
肺水腫によりひどい咳が出たり、呼吸困難になったりすることがあります。
また、他の失神をおこす心臓病の一つとして不整脈を引き起こすと急に倒れて意識を失ってしまったり、突然死してしまったりすることもあります。

犬が急に倒れたときの対処法

青いマットの上に横になる犬

意識がある場合の対処法

意識がある場合、飼い主さんだけではなく、犬自身も突然のことに驚いてパニックになってしまっているかもしれません。
暴れてしまったり、噛みついてしまったりすることがあるかもしれません。
パニックになり、飼い主さんの腕を噛んでしまったという話を聞いたことがあります。

犬も人も、ケガや事故に繋がってしまう可能性があるので、犬がパニックになってしまっている場合には、犬が落ち着いてから対処してあげるようにしましょう。

意識がない場合の対処法

まずは、犬を安全な場所へ運んであげます。床や地面に寝かせてあげるのが良いです。
ソファーやベッドなどには寝かせてはいけません。転落など、二次災害の恐れがあります。

呼吸しているか、心臓が動いているかを確認します。
呼吸をしているかどうかは、胸の動きでわかります。
胸が上下に動いていなければ、呼吸をしていないかもしれません。
心臓の動きは胸に手を当てたり耳をあてたりするなどして、鼓動を確認します。
呼吸や鼓動がなければ、心臓マッサージや人工呼吸が必要になるかもしれません。

まとめ

芝生に寝転ぶ柴犬

犬が急に倒れてしまったら、誰だって驚いてしまいますよね。
犬も人もパニックになり、冷静に判断することができないかもしれません。
どのように対処したら良いのか迷ってしまったら、すぐに病院へ連絡しましょう。

犬が急に倒れてしまったことを獣医さんに伝えます。
そうすると、獣医さんが問診をされると思います。
どんな状況で倒れたのか、意識はあるのか、嘔吐していないかなど。
そして、適切な対処法を指導してくれます。

そして、診察や処置の準備をして待っていてくれますので、病院に到着してからすぐに対応してもらうことができます。とにかく、焦らず冷静に行動することが大切だと思います。

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