犬が強い腹痛を起こしたときの仕草や考えられる病気について

犬が強い腹痛を起こしたときの仕草や考えられる病気について

犬は自覚症状を言葉で伝えることができません。身体のどこかが痛い時にも、その場所や程度を伝えることはできません。この記事では、すぐに動物病院にかかるべき強い腹痛について、見分けるポイントと共にお伝えします。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬が強い腹痛を起こしているときの仕草や症状

ベッドで寝ているチワワ

犬は基本的に、体調不良や痛みを隠す動物です。我慢できる程度の痛みの場合は、飼い主さんも気がつくことができず、獣医師による触診で判明することもあります。

動物病院では、特に急性痛に対して犬の痛みを0~4つの段階に分けて評価しますが、これを「ペインスケール」といいます。この評価方法の多くは術後に使用することが多いですが、強い痛みとは、このペインスケールの3段階目・4段階目に当たります。犬が強い腹痛を起こしているときには、どのような行動・症状が表れるのでしょうか。

  • 呼吸が荒い
  • 背中を丸めて震える
  • 横になれない
  • 鳴き声や唸り声を上げる
  • 身体に触れると怒る
  • 全身に力が入る
  • 攻撃的になる
  • 瞳孔が開いている

このように、犬が強い痛みを感じている場合、明らかな症状として表れます。

犬の強い腹痛の原因となる病気

体調が悪くて毛布にくるまる犬

犬が強い痛みを感じている場合、どのような病気が考えられるでしょうか。

急性膵炎

膵臓は胃の裏側にあり、消化酵素を消化管に分泌したり、血糖値に関わるホルモンを分泌したりする働きをしています。嘔吐・下痢・食欲不振といった症状に併せて、強い腹痛が起こります。重症化すると、発熱や黄疸、多臓器不全から死に至る場合もあります。高脂肪食は膵炎の引き金になることがあります。脂っこいものや、食べすぎには注意しましょう。

胃捻転

胃捻転は、何らかの原因で胃が捻じれ、ガスが充満してしまった状態になります。胃が捻じれることで、周りの血液の流れが滞ったり、膨らんだ胃に他の臓器が圧迫されることで、臓器が壊死してしまったりすることもあります。胃捻転を起こした場合、すぐに処置を行わなければ死に至ることもあります。

胃捻転は、大型犬やダックスフントなど、胸が深い犬で多く発生します。また、早食い・早飲みや、食後すぐの運動が原因となることがあります。食後、愛犬のお腹が張ってきて、愛犬が痛がる・苦しがるといった症状があれば、できるだけ早く動物病院で診察を受けてください。

腸閉塞(異物を含む)

腸が何らかの原因で詰まってしまった状態です。腸を通過できないような大きさの異物を食べてしまった場合や、腸重積によって起こります。腸の流れが止まってしまい、嘔吐や下痢・便秘、食欲不振といった症状が表れます。重症化すると腸の壊死が起こり、激しい腹痛が引き起こされます。腸閉塞は、死に至ることもある病気です。

椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間でクッションの役割をしているのが、椎間板です。椎間板ヘルニアは、この椎間板が変形し、神経を圧迫することで、麻痺や痛みを引き起こします。椎間板ヘルニアでは、重症化すると麻痺が進みます。このため、痛みが治まったと思ったら病気が進行・悪化していることがあります。好発犬種は、ダックスフント、w.コーギー、F.ブルドッグ等の犬種です。愛犬が足を引きずるなど、歩行に異変を感じた際には、早めに動物病院を受診しましょう。

まとめ

病院で治療を受ける犬

愛犬が、強い腹痛を起こしている様子に気がついたら、すぐ動物病院で診察を受けましょう。強い腹痛を起こしている場合、生命に関わるような病気の可能性があります。痛みの感じ方は犬によって異なりますが、この記事でご紹介したような病気は、どれも強い痛みを感じ、かつ重症化しやすい病気です。

強い痛みはもちろんですが、愛犬に明らかな異常が見受けられた際には、迷わず動物病院に向かいましょう。また、これらの病気はかかりつけの動物病院が開いている時間に起こるとは限りません。万一に備え、かかりつけの動物病院の休診日や、夜間に受診できる病院を探しておきましょう。

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