犬の栄養失調とは?
栄養失調とは栄養不良、または栄養不足とも呼ばれます。
偏食や食事の不足で不健康な状態にあることを言います。
栄養失調では多くの場合、食事で十分なカロリーや栄養素をとれていないことが原因です。
犬の場合、タンパク質を多く必要としますがダイエットやタンパク質が少ないフードなどで栄養失調になってしまうことがあります。
犬の栄養失調の症状5つ
栄養失調というと、鎖骨が浮き出て、目がうつろなイメージがあるかと思います。それも栄養失調なのですが、そういった症状がなくても栄養失調である場合があります。
以下の5つが栄養失調になっている時の5つの症状です。
- 不眠
- 歯がかける、抜ける
- 皮膚病
- 毛がぬける
- 口臭や体臭がくさい
必要栄養素のカルシウム、リン、マグネシウムは歯や骨を作るもので、不足すると骨折しやすくなったり歯が抜けたり、かけたりします。また、タンパク質や脂質が不足すると皮膚のトラブルやも起こりやすくなります。健康な内蔵を維持できず、内臓疾患になりやすくもなります。体全体に不調が出てくるのです。
犬の栄養失調の原因と対策
タンパク質不足
犬にとってタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラル、炭水化物、水分などの栄養素はなくてはならないものです。
とくに体を作るタンパク質は重要で、人間の約4倍は必要だと言われています。
穀物メインのフードをあげている場合にこのタンパク質が不足することがあります。
タンパク質が不足すると、まず筋肉量が減り始め体温を維持することができなくなります。
体温が下がると色々な病気になりやすくなります。ガンの発症にも関係する可能性があります。
また、骨格系にも影響が出ます。筋肉量が減少すると関節を支えることができなくなり、関節痛や関節炎のせいで動きにくくなったり、寝たきりになることもあります。
寝たきりになってしまうと血行不良などから褥瘡ができたり、誤嚥の恐れがあります。
穀物メイン(小麦など)ののフードにもタンパク質は入っていますが、それは植物性タンパク質と呼ばれるものです。
肉がメインのフードであれば必要な動物性タンパク質が豊富に含まれています。
犬によって体に合うものは違うので、犬の様子を見ながら決めてください。
タンパク質は大きく分けると「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に分けることができます。さらに細かく分けると「ホエイ・カゼイン・卵白・大豆タンパク・小麦タンパク」の5種類に分けることができます。動物性タンパク質には「必須アミノ酸」が含まれています。
他のアミノ酸は体内で合成することができますが、必須アミノ酸は体内で合成できないので食事からとる必要があります。植物性タンパク質は必須アミノ酸を含まないので、植物性タンパク質だけでは栄養的に補うことができません。
ダイエットの影響
肥満気味の犬のためにダイエットをすることもあると思います。
しかしフードの量を減らしすぎることで栄養失調を起こすこともあります。
肥満とは体重が重いことではなく脂肪が多いことで、フードの量を減らして体重を落とすのは危険です。
ダイエットで大切なのは必要な栄養をとって、運動などによって体重を落とすことがです。
絶対に無理なダイエットはやめましょう。
腸炎などの病気
腸の粘膜に炎症が起きる病気を腸炎と呼びます。
腸炎になると嘔吐や下痢を繰り返すため、栄養をとることができず衰弱してしまいます。
腸炎には急性腸炎と慢性腸炎があり、急性腸炎は嘔吐や下痢などの症状が出ますが適切な治療をすれば1〜2週間ほどで完治します。
慢性腸炎は急性に比べて症状は軽いのですが、慢性的に嘔吐や下痢を繰り返すので栄養失調になることがあります。
腸炎の原因としては腐ったものを食べたり、アレルギー、ストレス、寄生虫、感染症、遺伝、腫瘍、など様々です。
最初は急性腸炎で、きちんと完治せず長引かせることで慢性腸炎になることもあります。
考えられる原因を調べて、その原因に合わせた処置が必要です。
寄生虫であれば駆除、ストレスなら環境の改善などを行ってください。
治療としては投薬治療や腸炎用の処方食が主で、脱水症状などがあれば輸液治療などを行うこともあります。
犬の栄養失調を防ぐために
基本的にフードの見直しが必要です。
ドッグフードの成分表示は、多く使われているものから書かれています。
そのため穀物よりも肉が先に書かれているものを選ぶことで、肉メインのフードを選ぶことができます。
使われている肉はビーフやチキンが多く、その他にもラムやカンガルーなどがあります。ビーフやチキンにアレルギーがある犬もいるので、食物アレルギーと診断されている場合は、どのようなフードがよいのか獣医師と相談したうえで選んであげてください。
飼い主さんが手作りするというのもひとつの方法ですが、手作り食の場合栄養バランスが難しいので、食事全てを手作りにする場合は注意してください。肉のトッピングなども良いでしょう。
まとめ
栄養失調は体全体を不調にさせてしまうため、気づいたらすぐに対処しなくてはいけません。
飼い主さんが良かれと思ってやっていても、犬にとっては負担になっていることもあるので定期的に受診するか、不調が見えたら早めに獣医さんに相談しましょう。
そのときあげている餌をメモしておくと獣医さんも助かるでしょう。パッケージの成分表や一日に与えている量などをメモしておくと良いですね。
犬は自分では辛い、苦しい、など言えません。飼い主さんが日頃から体調をチェックして、気づいてあげられるようにしましょう。