愛犬が1日にどのくらい水を飲むか把握しておこう!
普段よりもたくさんの水を飲むと言っても、普段の飲水量がどのくらいかがわかっていないと比べることができません。
通常、犬は体重1kgあたり50〜70ccの水を飲みます。愛犬の「普通」を知っておくために、一度飲水量の計測をしておくことをお勧めします。
水をボウルに入れる時に、計量カップで量って何cc入れたかを記録しておきます。ボウルが完全に空っぽになってしまわないように多めに入れておき、24時間後に何ccの水が残っているかを量って、飲んだ量を計算します。
24時間の途中で新鮮な水に替えたい時は、その時点での残りを計測して記録しておき、ボウルを空にしてまた同じ行程を繰り返します。
ちょっと面倒ですが、時間に余裕のある時に何度かこうして計測しておくと、愛犬の普段の飲水量が把握でき、異常があった時に発見しやすくなります。
いつもよりも水を飲む理由、様子見で大丈夫な場合
明らかに普段よりもたくさん水を飲んでいるけれど、理由がはっきりしていて様子見で大丈夫な場合もあります。ただし理由は分かっていても、本当に異常がないか経過をしっかりと観察することは必要です。
気温が高い時
外気温だけでなく、暖房を入れた時も空気が乾燥して喉が乾きやすくなります。暑い季節に屋外で過ごした後には、人間と同様にたくさん水を飲みます。
フードを変えた時
ウェットフードや手作りごはんを食べている犬が、ドライフードを食べた時には普段よりも大量の水を飲みます。食物に含まれる水分量が少ない場合は、水を飲む量が増えます。
ハアハアするパンティングが多かった時
たくさん運動した時、何か興奮するようなことがあった時、ハアハアすることで喉が乾くので飲水量が増えます。
薬の副作用
投薬中の場合、薬の副作用で喉が渇きやすくなることがあります。薬を服用している犬が水を多く飲む場合は、かかりつけの獣医さんに副作用かどうかを確認しましょう。
子犬と母犬
子犬は体重あたりにして成犬よりもたくさんの水を飲みます。また授乳中の母犬も、多くの水分を必要とします。
病院で受診が必要な「多飲」
普段よりもたくさんの水を飲めば、当然おしっこの量や回数も増えます。
飲水量が増えて、色やニオイの薄いおしっこが大量に出たり、お漏らしが増えるような「多飲多尿」の状態が数日続いたら、病院での受診が必要です。
何日か連続して1日の飲水量を計測して、病院に記録を持参すると診察の助けになります。
上に挙げたような様子見で大丈夫な場合と判断が難しいと感じたら、診察を受けましょう。
「他に気になる症状がないから様子見」「食欲もあって元気だから大丈夫」とは言えません。
多飲多尿だけが病気の早期発見の手がかりになる場合もあるし、食欲が増加する病気の症状もあるからです。
病気のサインとして多飲多尿が現れる時は、重要なものである場合も多いので早め早めの対応がベターです。
どんな病気が考えられる?
犬が多飲多尿を示す時に考えられる病気の例をいくつかご紹介します。他にも可能性がありますし、いくつかの病気を併発している場合もあるので、病院での診察は必須です。
腎臓の病気
腎臓の病気の原因は様々です。不凍液や保冷剤の誤飲などで起こる急性腎不全は症状が急速に進み、一刻も早い処置が必要です。腎臓の機能が長期間にわたって少しずつ低下していく慢性の腎疾患では、最初は多飲多尿以外の症状が見られない場合が多いので、この時点での受診はとても重要です。
糖尿病
糖尿病も喉の渇きが起こる病気のひとつです。多飲多尿の他に、食欲があり普通に食べているのに体重が落ちたり、元気がなくなったり、息のニオイが甘ったるい感じになったりという症状が出ることもあります。早めに治療を開始することで重篤な症状を防ぎコントロールすることができるので、診察を受けることが重要です。
クッシング症候群
副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって起きる様々な症状のことです。多飲多尿の他に、食欲が増進してたくさん食べたがる、お腹がぷっくり膨れる、毛ヅヤが悪くなる、左右対称の痒みのない脱毛などが見られます。過剰分泌が起こる原因によって手術や投薬など治療法も変わるので、早い段階での受診や検査が大切です。
アジソン病
クッシング症候群と反対に副腎皮質ホルモンが不足することで起こります。元気がなくなり、食欲不振や下痢嘔吐、筋力の低下が見られます。他の疾患と同様に早期発見、早期治療が重要です。
発熱を伴う感染症
人間が発熱している時にしっかりと水分補給をすることが重要なのと同じで、発熱を伴う感染症に罹った犬は自主的に普段よりも多くの水を飲みます。初期は自主的に水を飲んだりしますが、嘔吐する場合は水を飲まないほうがよいこともありますので、一刻も早く病院で診察を受けましょう。
これらはほんの一例です。「獣医師の診察を受ける」という一番大切なこと以外は自分で判断せずに、速やかに病院へ行きましょう。
まとめ
犬が普段よりもたくさんの水を飲む場合の理由をいくつかご紹介しました。
水は生き物の命を維持するために必要不可欠なものですが、不足していないかだけでなく、どんな風に摂取しているかも観察することが愛犬の健康のために大切です。
一時的ではない多飲多尿の状態が見られる場合には重篤な病気のサインである場合が多いものです。
「心配になって病院に行ったら何ともなかった」と笑い話になることと「軽く考えて様子見をしているうちに取り返しのつかないことになった」と嘆くことは比較することすらできません。
愛犬が普段はどのくらいの水を飲んでいるのかを把握しておき、何か異変があった時にはすぐに気がつけるようにしておきたいですね。
《参考》
https://www.petmd.com/dog/conditions/why-my-dog-drinking-so-much-water