犬の血圧┃血圧の正常値や測り方、犬の高血圧の治療法とは?

犬の血圧┃血圧の正常値や測り方、犬の高血圧の治療法とは?

皆さんは犬の、普段の血圧の正常値はご存知ですか?人間もそうですが、若くて元気な時は血圧について、あまり考えたことがないかもしれません。血管を血液が流れる時に、血管を押す力が血圧で、通常健康な時は上手に調節されています。病気や怪我や、何らかの理由で血圧が高い状態や低い状態が続くのは、あまり良い状態とは言えません。犬の日頃の体温、脈拍、血圧、呼吸を知っておくと、体調不良に気付きやすくなり、犬の健康管理に役立ちます。今日はその中で、特に犬の血圧についてお話したいと思います。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の血圧の正常値

血圧を計る犬

犬の血圧の正常値は皆さん、どれくらいだと思いますか?犬の血圧など普段はあまり、気にしたことは、ないかもしれませんね。

正常値といわれる犬の血圧

  • 最高血圧100~160mmHg
  • 最低血圧60~100mmHg
  • 平均血圧80~120mmHg

犬の血圧の正常値は、上記の数値と言われています。この犬の血圧の数値は、実は人間の血圧の正常値と似ています。ですが犬の正常値は犬の体格によっても異なりますし、犬種によっても血圧の正常値に幅があります。この数値より犬の血圧が異常に高くないか、低くないかという点に気をつけてあげることが大切です。

病院で血圧を測ると、人間でも緊張して高くなってしまう人がいるように、犬も病院で興奮して血圧を測ると、血圧が高くなってしまうということがあるようです。

そのほか調べてみると、犬の年齢が高くなると血圧も高くなる、という傾向がある興味深いデータもあります。そのあたりは人間と同じなので、犬も高齢になってきたら、血圧にも気を配ってあげたいですね。

犬の血圧の測り方

血圧計

犬の血圧の測り方で大切なことは、犬を落ち着かせることです。できれば、犬と親しい人が計ってあげると良いかも知れません。落ちついていないと犬の正確な血圧が測れません。運動後や興奮している時は避けましょう。

犬の血圧計を使う方法では、人間と同じくカフ(腕輪)を巻き付けて測定します。犬の場合、上腕やしっぽ、後ろ足などに巻き付けて測ります。これをオシロメトリック法と言います。

血圧計での血圧測定法

まず犬を落ち着かせます。次に血圧計のカフを、太い血管がある犬の上腕やしっぽに巻きます。最後に血圧計で4~5回、犬の血圧を測って平均値を算出します。

CRT(毛細血管再充満時間)を調べる方法

犬の血圧を数字化することはできませんが、飼い主さんが家でできる測定方法があります。

まず犬の歯ぐきを指の腹で軽く押します。次に、ほ歯ぐきの圧迫した所が白くなったら、指を離して、元のピンク色に戻るまでの時間(秒数)を数えます。2秒以内に犬の歯ぐきが、元のピンク色に戻れば正常値です。2秒より長くかかる時は低血圧になっています。

犬の高血圧は怖い!

肥満ビーグル

犬の血圧が高い時に一番心配なことは、様々な臓器にかかる負担です。例えば、全身の血圧がうまく調整できなくなると、心臓は頑張って高い圧力で血液を送り出そうとします。また、高い血圧が続くと腎機能に負担がかかってきます。元々、心疾患を持っている犬や、腎機能が弱い犬は特に注意が必要です。

特に高齢犬の高血圧は、基礎疾患と呼ばれる、元々持っていた病気が原因で引き起こされる二次高血圧が大半を占めています。

犬の高血圧の裏に、心臓病、腎疾患、副腎皮質機能亢進症、糖尿病、甲状腺機能亢進症などの怖い病気があることがあります。特に高齢犬で肥満体型は、高血圧症を発症しやすく注意が必要です。

犬の高血圧の治療法

お部屋でご飯を食べるゴールデンレトリバー

  • 塩分控えめな食事
  • 良質なタンパク質、脂質をとる
  • 興奮させない穏やかな生活環境
  • 肥満を解消する
  • 獣医師に相談して適切な治療を

塩分控えめな食事

犬の食事に塩分が含まれていると、血液中の塩分を薄めようと体に水分を送り、血圧を上昇させます。犬にとって塩分は体にあまり良いものではなく、多く取り入れることで腎臓をいためてしまいます。

犬の血圧が上がると、心臓など他の臓器にも悪い影響があります。なので人間が食べておいしいと感じる塩分の食べ物は、絶対に与えないようにしましょう。

良質なタンパク質と脂質をとる

犬の丈夫な血管を保つために、人間もそうですが良質なタンパク質と脂質をとることは大切です。犬の体は、野菜より肉を消化するのに向いています。

最近、注目されている馬肉は高タンパク、低カロリーで犬の食べ物におすすめです。馬肉の良質な動物性脂肪は、低カロリーでありながら、消化吸収が良い脂肪ということで血管を丈夫にするのに有効です。丈夫な血管は、犬に安定した血圧を保ちます。

興奮させない穏やかな生活環境

犬は時々うれしくて大興奮する、それだけならよいのですが、犬にとってストレスが多い生活は、血圧によくありません。

犬にとってのストレスには、怖がることがあるかも知れません。知らない人や知らない犬に怯え、雷に怯えるなどストレスになり、心疾患のある犬や、高齢犬は血圧の上昇が心配です。

できるだけ幼犬の頃から、見知らぬ犬や人を怖がらない、社会性を身に付けさせることも大切です。また、犬は狭い所が一番落ち着きます。何があってもクレートなどに入って、落ち着きを取り戻せるよう、訓練しておきたいですね。

肥満を解消する

犬が肥満になると、血液を送る範囲が多くなったり、血流が悪くなるため血圧が上がります。肥満になると血管の距離が長くなり、心臓をより強く動かし、血液を身体中に巡らせようとするため、血圧が上がるのです。

ポッチャリな犬もかわいいですが、おやつはほどほどにして肥満を解消しましょう。良質なタンパク質、脂質、炭水化物が、バランスよく含まれたドッグフードを選んで犬にあげるのも、血圧のために大切です。

獣医師に相談して適切な治療を

犬の高血圧の原因が基礎疾患である場合、獣医師さんと相談しながらお薬を使う場合もあるようです。その場合でも、できるだけ生活環境や食事を整えてあげて、少しでも安定した血圧を保てるようにしてあげたいですね。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 ロミちゃん

    犬の血圧について、犬が健康な時は、普段あまり考える機会がありませんが、犬が高齢になってきたり、毎日愛犬の様子を観察する上で、とても大切なことだと思いました。

    歯ぐきを押すことで調べる血圧の測り方について、補足になりますが、普段からできる血圧チェックを紹介したいと思いました。

    犬の顔は毛で覆われているので、人間のように顔色を見ることは難しいですが、その代わりになるのが歯ぐきの色だそうです。歯ぐきが白っぽいときは、何かの病気により血圧が低下していたり、貧血気味になっていて、血液の量が不足しているようです。たまに、犬の上唇をめくってみて、歯ぐきの色を見て、健康チェックをするのも良いかも知れませんね。
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