犬の胃潰瘍の症状
犬の胃潰瘍の初期症状は、胃の壁が何らかの原因で、胃の粘膜が機能せずに傷ついたため、そこから痛みを感じて背中を丸め、食欲低下や元気がなくなる、嘔吐などの症状が見られます。
胃潰瘍の症状が重度になってしまうと、さらに犬の胃に穴が開き、腹膜炎を起こしたり、鮮血やコーヒーのような赤茶色、黒っぽい色の嘔吐物を頻繁に吐いたり、黒っぽい血便、腹痛、発熱などの症状があります。
犬の黒い色の嘔吐物は、古い出血で胃酸によって酸化して吐きだされているものですが、鮮血を吐いた場合は、肺から出血している場合がほとんどです。嘔吐を繰り返し、食欲不振が続くので犬の体重が減少するという症状も見られます。
犬が胃潰瘍になる原因
本来胃は、胃酸が分泌されても胃が傷つくことはありませんが、様々な要因で胃酸が傷をつけて、胃潰瘍となります。
薬でも胃潰瘍となる原因のものがあり、犬の治療薬のステロイド剤や、抗炎症剤などの薬には胃の粘膜を保護する力を抑制する作用が存在し、長期間服用することによって、犬の胃の粘膜を傷つけて胃潰瘍を引き起こすことがあります。
犬の胃潰瘍治療には、こういった薬の副作用を起こさないよう、通常は胃を守る胃薬と一緒に処方されます。
そのほか肥満細胞腫や、腎不全などの基礎疾患、寄生虫、病気、熱中症、火傷などの身体的ストレスが犬の胃潰瘍を引き起こす原因となります。
犬の胃潰瘍の検査・治療法
犬の胃潰瘍の検査(診断)
- 内視鏡検査
- 全身麻酔を行い、内視鏡を使って胃の粘膜を観察し、採取した組織を顕微鏡で拡大して調べます。隠れているがんなどを見つけられる場合があります。
- 超音波検査
- エコーで胃の形態、内部構造、あるいは動きなどを正確に診断することが可能です。麻酔の必要はなく、検査時間は平均15~30分程度。必要な場合は腹部の毛を少しだけ刈る場合があります。
- 試験開腹
- 症状や病状によっては、試験的に診断や治療を目的に開腹手術をおこなうこともあります。
- 基礎疾患の治療
- 別の病気によって胃潰瘍が引き起こされている場合は、基礎疾患への治療をおこないます。例えば、「肥満細胞腫」が原因の場合は腫瘍の切除、腎不全の場合は「投薬治療」を行うなどです。
- 対処療法
- 症状の軽減を目的とした治療。胃の粘膜を守る胃粘膜保護剤、胃酸の分泌を抑える制酸剤を投与するのが一般的な治療です。
- 入院治療
- 出血、穿孔(消化管,尿管,心,血管,気管,気管支などの管腔臓器の壁に全層性の穴が開く,あるいは開いた状態)過剰嘔吐、腹膜炎が見られる場合は入院し、輸液や輸血を行いながらしばらく経過観察されます。
- 手術療法
- 切除可能な病変部位が確認された場合、開腹して患部を切除する場合があります。
犬の胃潰瘍の治療法
犬の胃潰瘍の予防法
犬の肉体的なストレスを軽減するため、飼育環境づくりや、消化の良い栄養バランスを考えた食べ物を犬に与え、休養、睡眠、適度な運動を行い、規則正しい健康的な生活をすることによって、犬の胃潰瘍を発症予防ができます。
そして定期的な犬の健康診断と、犬が基礎疾患となるような病気を患っている場合は、早めに治しましょう。一度胃潰瘍を発症してしまうと、再発する可能性は高いです。
犬の胃潰瘍完治後も、胃粘膜を保護してくれる胃薬を継続して投与するか、犬の食事管理、食事内容と健康診断の時期などをかかりつけ医と相談し、予防していくのが最も重要となります。
胃潰瘍だけでなく、様々な病気を引き起こしやすい老犬の予防法は、日頃から食事量や食事内容を一定にして、規則正しい生活をすることを心がけましょう。
胃潰瘍になりやすい犬種
胃潰瘍は、基本的にはどの犬種もかかる病気だといえますが、グレート・デーン、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリバー、コリーなどの一部の犬種は、特定の消化器疾患にかかりやすい性質があります。
年齢は2~5歳くらいと、9歳以上になると胃潰瘍になりやすくなるといわれていますので、とくにシニア犬には胃に負担がかからないような消化に良い食事を与えるなど気をつけてあげましょう。
また、性別による胃潰瘍のなりやすさは特にみられないようです。
まとめ
犬の胃潰瘍の原因は、人間とは違うので異変にも気付きにくく、気付けば犬の胃潰瘍の症状が悪化していたということもあるので、日頃、犬の様子を知っておくことがとても重要となります。
飼育環境や、規則正しい生活を送ることによって、犬をこの苦しい胃潰瘍の病気から予防することができます。犬に異変を感じたときは、すぐに獣医さんに診察してもらいましょう。
ユーザーのコメント
女性 A
介な病気ですね。これに犬がなってしまうなんて、驚きです。胃などをやられる
と食欲も無くなって、免疫力も低下してしまうので怖いと思いました。