犬の脳炎について 症状や原因、治療と予防法

【獣医師監修】犬の脳炎について 症状や原因、治療と予防法

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犬の脳炎は、人気犬種のチワワやヨークシャテリア、マルチーズなど、小型犬に発生しやすいと言われています。今回は脳炎について、どんな症状なのか、何が原因で、その治療法は何なのか、犬の脳炎に予防法はあるのか、を簡単にまとめてみました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の脳炎の症状

ぐったりトイプードル

犬の脳が壊死や炎症を起こすことで、てんかん発作や視力障害、前庭障害(首が傾く、うまく歩けなくなるなど)が起き、重篤化すると意識障害を起こします。

脳炎は比較的若い犬で発症します。気づかないまま放置すると、症状が進行し命を落としてしまうこともあります。

犬の脳炎の原因

たおれたままのチワワ

犬の脳炎の原因には大きく2つに分けられます。ウイルスや細菌に感染して発生する感染性のものか、非感染性のものです。犬の脳炎の発生が多いのは非感染性のものです。

小型犬に発生する脳炎も非感染性のものがほとんどです。非感染性のものは、自己免疫疾患だと考えられており、正確な原因がわかっていません。

犬の脳炎の非感染性脳炎は、病態によって以下の3つに分類されます。

  • 肉芽腫性髄膜脳炎(GME)
  • 壊死性髄膜脳炎(NME)
  • 壊死性白質脳炎(NLE)

肉芽腫性髄膜脳炎(GME)

肉芽腫性髄膜脳炎(GME)とは、犬の脳の中に肉芽腫ができて、肉芽腫ができる場所によって症状が異なります。好発犬種はなく、広い範囲の犬種で発生します。その中で、大型犬での発生は少なく、小型犬~中型犬の発生は多いです。

壊死性髄膜脳炎(NME)

壊死性髄膜脳炎(NME)とはパグで多く発生していたため、別名パグ脳炎とも言われています。もちろんパグだけではなく、シーズー、マルチーズ、ポメラニアン、チワワといった犬種でも発症します。犬の大脳皮質が炎症を起こして、脳が壊死していきます。

壊死性白質脳炎(NLE)

壊死性白質脳炎(NLE)は、犬の脳の白質に壊死病巣を形成します。好発犬種は、ヨークシャテリアやチワワが当てはまります。

これら犬の脳炎を鑑別するためには、MRI検査と脳脊髄液検査(CSF検査)が必要です。いずれの検査も犬には全身麻酔が必要となります。

犬の脳炎の診断方法

獣医師にだっこされるマルチーズ

まず獣医師は、犬の臨床症状から脳炎か診断を推測していきます。

突然の犬のてんかん発作、運動障害、眼振、斜けいなど、神経症状が現れた場合はもちろん、脳炎以外の原因も考えられるため診察のとき、症状が犬に現れたときのことを獣医さんに、具体的に説明できるようにしておきましょう。

余裕があれば動画で、犬の様子を撮影しておくことをお勧めします。このとき、犬種や年齢、既往歴、予防歴も獣医師が診断するに当たり大切な情報となります。

犬の検査方法

犬の脳疾患以外の原因が除外されたら、MRI検査(画像検査)、脳脊髄液検査(CSF検査)を受けます。これらの検査結果で犬の脳炎は診断されます。しかしこれら検査は、大学病院や、2次診療病院などでしか受けられません。

かかりつけの病院でこれら検査が難しい場合は、紹介状を書いてもらうか、MRIの施設がある動物病院を受診しましょう。ただしいずれの検査も、犬には全身麻酔が必要なため、高齢犬や麻酔を受けるのが難しい犬の状態であれば、検査を受けずに試験的に治療を開始することもあります。

犬の脳炎の治療方法

お薬とジャックラッセルテリア

  • 免疫抑制療法
  • 抗てんかん薬
  • 放射線療法

免疫抑制療法

犬の脳脊髄液検査(CSF検査)により感染性脳炎が否定できれば、免疫抑制療法を行います。犬の脳炎の症状が緩和すれば、初期治療よりもお薬を減らしていくことが出来るかもしれませんが、基本的には長期的な投薬が必要となります。

抗てんかん薬

犬の脳炎にて、てんかん発作がある場合は抗てんかん薬を用います。抗てんかん薬は長期間の服用が必要となります。犬のてんかん発作が増える場合は、お薬の種類や投薬量を増やして治療しないといけない場合もあります。

放射線療法

犬の肉芽腫性髄膜脳炎の場合、免疫抑制療法と合わせて放射線療法を用いることもあります。

犬の脳炎治療の費用

犬の脳炎診断において、MRI検査を受ける場合はMRI検査代で大体5万~10万円かかります。

犬の治療薬としてステロイドのお薬は比較的安価ですが、シクロスポリンなどの免疫抑制剤は少し高めです。お薬の内容や種類は、犬の体格によって金額は前後しますが、いずれにしても、お薬は長期間飲ませないといけないので、1か月のお薬代だけでも最低5000円はかかると思います。

もちろん治療に合わせて診察や検査も必要になりますので、その費用も加わることを考えると、初期治療費は1か月に2万~3万円はかかるかもしれません。

犬の脳炎治療は治るのか

犬の壊死性髄膜脳炎および壊死性白質脳炎の場合は、有効な治療法はなく、現状では犬に免疫抑制療法と抗てんかん薬での、症状をコントロールする治療維持が一般的です。パグの場合は治療への反応は乏しく、予後もよくありません。

犬の肉芽腫性髄膜脳炎は、他の腫瘍や炎症性疾患との鑑別が難しいため、犬に他の病気がなければ治療に対しての経過は良好だといえます。最終的には休薬が、犬の脳炎の治療目標です。

犬の脳炎の予防方法

撫でられる犬

犬の脳炎は現在のところ原因が、はっきりとわかっていないために予防法はありません。ただし早期発見をすることで、脳炎の症状が進行するまえに治療を開始することができます。早期診断するためにも、以下、犬に症状がみられた場合は診察を受けましょう。

  • 発作を起こしたことがある
  • うまく立てない、歩けないことがある
  • 物にぶつかりやすい
  • 突然、攻撃的になることがある(自傷行為など)
  • 首が傾いている

これらの症状は、もちろん脳炎以外の犬の病気でみられることがあるため、該当する場合は診察を受けて原因を調べることをお勧めします。

犬の脳炎は若い犬でも発症します。犬の年齢に安心せずに、普段から犬の行動の変化に気づけるよう、よく観察してあげることが大切です。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 もふころ

    脳炎の検査だけでもだいぶ高額なんですね。すでに心臓病のお薬で月1万かかっているので大きいです。
    心構えが欲しかったので、検査前にどのくらいかかるものなのか知ることができてよかったです。
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