犬のしこり|考えられる病気と対処法、悪性と良性の違いなどについて解説

犬のしこり|考えられる病気と対処法、悪性と良性の違いなどについて解説

愛犬を触っている時、しこりを発見すると「悪性かも知れない」と、とても不安になりますね。人間と同じく犬のしこりにも「悪性」と「良性」がありますが、しこりから考えられる病気と、見つけた時の対処法について説明したいと思います。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬のしこりから考えられる病気

105819965 獣医さんと犬

犬はイボなどができやすい動物で、身体中どこにでもしこりはできます。普段、愛犬と遊んでいる時やシャンプーをしてあげている時、何か指にコリッと違和感を感じることがあるかも知れません。

放っておいても良い良性のしこりもありますが、大丈夫そうだからと放っておいては絶対にいけないしこりもあります。犬のしこりから考えられる病気には次のようなものがあります。

皮膚腫瘍

犬の皮膚腫瘍はさまざまなタイプの腫瘍があります。皮膚が盛り上がったようにしこりができているので、見てすぐにしこりがあることがわかります。逆に小さくて気づきにくいものもあります。

腫瘍が硬くて根が生えているように動かないものや触ってプニプニと動くものがあります。中~高齢犬ができやすい傾向ですが、若い子でも腫瘍の種類によってはできる可能性があります。皮膚腫瘍の種類には以下のようなものがあります。

脂肪腫

見た目はプニプニしていて、触った感じが柔らかく皮膚の中を動くような感じがします。大きさは小さいものから、大きいものまであります。大きいものは10㎝を越えるものもあります。

危険度としては、ほとんどは良性ですが、急激に大きくなるものには注意が必要ですので、大きくなるかならないかを、よく観察するのは大切です。どちらにしても見た目で良性かどうかを判断するのは難しいので、動物病院で針による細胞診をしてもらっておくと安心です。

しこりが大きくなる場合、場所によってはわんちゃん自身が気にしてしまったり、歩きにくくなる場合もあることから手術が必要になってくる場合もあります。

肥満細胞腫

肥満細胞腫は、高分化型のもの(比較的、悪性になりにくいがん)と未分化型のもの(進行が早く悪性のがん)があります。弾力性があるしこりです。 

一見すると脂肪腫のようにも見えますし、赤くポツポツとした広がりもみせるので皮膚病と間違えてしまうこともあります。未分化型のものは、急激にそのしこりが大きくなったり、しこりが潰瘍になったり、自壊したりして出血することもあります。手術もできますが、進行が早いため予後はよくありません。

扁平上皮がん

足や背中、皮膚ならどこにでもできるのが、扁平上皮がんです。口の中や、鼻の中といった粘膜にできることもあります。しこりができている部分の毛が抜けたり、コリコリとした触感をしています。

そして短期間のうちに大きくなる場合があります。しこりが小さい場合、外科的切除する処置を積極的にとる場合が多いですが、しこりができた場所により、取りきれない場合は放射線治療や抗がん剤療法が用いられることもあります。

ですが、人間と同じく副作用もあることから高齢犬など体の弱い犬には逆にQOL(生活の質)を低めてしまうこともあるので治療を病院の先生と慎重に進めていく必要もあります。

悪性黒色腫(メラノーマ) 

メラノーマという言葉からホクロを連想するように黒色をしている場合が多く、しこりができる場所も様々です。大きさは0.5㎝~2㎝と、目立たない黒点のようなものから、急速に成長するものもあります。犬のメラニン色素の量により、茶色であったり淡い灰色であったりもします。なかにはメラニン色素を持っていないものもあります。

毛の生えている部分にできたしこりの85%は高分化型(比較的、悪性になりにくいがん)です。爪の周囲や、粘膜にできたものは悪性のことが多いことも知られていますが、いずれにしても動物病院で細胞診をしてもらうことで診断できます。手術で摘出する選択が取られることの多いしこりです。

乳腺腫瘍

中高齢のメスの犬がかかりやすい腫瘍です。犬は乳房が約10個ありますが、その乳腺に沿って乳房や乳頭と乳頭の間に、アーモンドのようなしこりができます。

良性と悪性があります。わんちゃんの場合は、良性であることが多いといわれていますが、悪性にもありえますので注意が必要です。また「炎症性乳がん」というものもあり、腫瘤の周りが赤くなったり、しこりがただれていたり、乳頭をつまむと出血があることもあります。これは、もう治療方法がない、非常にやっかいなものであり、予後もよくありません。しこりが急激に大きくなる場合は危険です。素人判断するのは危険なので、早急に病院で受診してください。

リンパ腫

中高齢の犬がかかりやすいです。背中やあご、わきの下、後ろ足のつけ根、おなかなどに硬いしこりができやすいです。熱を持っていることもあります。短期間のうちに腫瘍が大きくなってきたり、他のリンパ節も腫れてくるようなら悪性の可能性が高いです。血液のがんの一種なのですが早期に発見できれば、抗がん剤で治療できることもあります。

犬のしこりの悪性と良性の違い

72459457 痒がる犬

一般に柔らかくて形は楕円形、プニプニした感触で、皮膚の表面で動くようなしこりは良性といわれます。ですが、犬の体のしこりが悪性なのか良性なのか、見た目では悪性か良性かを判断するのは本当に難しいですし、危険だと思います。

急激に大きくなるしこりや、熱を持っていたり、ただれて出血しているしこりは悪性の可能性が高いです。しこりに針をさして組織を少し取り出す細胞診が必要になります。良性のしこりか悪性のしこりか病院で判断できます。

犬にしこりを見つけた時の対処法

166713484 犬とイボ

これは大丈夫かも知れないと、素人判断するのは危険だと思います。人間のしこりも同様に早期発見して処置すれば、しこりが小さいうちに取り出せたり、万が一、悪性のものでも対処法があります。

そして、しこりが良性でもあまり触らないほうが良いです。気になってつい触りたくなってしまいますが、刺激を与えることによって、しこりが大きくなる可能性がありますし、悪性ですとさらに危険です。

早目に動物病院を受診して、先生の所見を伺えば安心できますし、今後の治療法も教えてもらえるので、犬にしこりがあるのを発見したら、すぐに病院で診てもらいましょう。

まとめ

166394390 子犬

大切な愛犬にしこりを発見したら、誰もが慌ててしまいます。ですが、早目にしこりを発見して動物病院の先生と相談しながら対処していくこともできるので、日頃から愛犬とたくさんスキンシップをとって、わずかな異変に気付いてあげられる飼い主でいたいものですね!

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 もふころ

    今までなかった場所にしこりを見つけるとドキっとしますね。
    良性と悪性の見極め方は、熱があるかどうか、黒くなってきたかどうか、大きくなるスピード等で判断すると聞きましたが、素人目では難しいです。
    しこりによっては、触ってしまうことで他の部位に転移し、分散して数が増えてしまうものもあるので、気になるようならあまりいじらない方がいいそうです。
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