犬を飼い始めて分かった「理想」と「現実」

犬を飼い始めて分かった「理想」と「現実」

家族として犬を迎える時、「新しい家族との理想の暮らし」を思い浮かべる人は多いと思います。私も、犬と一緒にしたいこと、犬と一緒に行きたい場所など、たくさんの理想や夢がありました。けれども、実際の「犬との暮らし」ではたくさんの現実的な問題を突き付けられて、理想が叶わないこともあります。今回は、「犬を飼い始めて分かった理想と現実」について、お話したいと思います!

お気に入り登録

私が思い描いていた理想の犬との生活

犬2匹と飼い主

私が、最初に犬と暮らしたのは、高校2年の時です。アメリカン・コッカースパニエルという長毛の非常に手がかかる犬種にも関わらず、外で飼っていました。その当時、親は「犬は外で飼うもの。人間とははっきり区別するもの」という考え方だったのです。犬を飼うことは親が決めたこともあり、扶養家族であった私には、親の飼育方法に、何も言えませんでした。
一緒に旅行に連れて行くこともなく、数日家を留守にする時は、近所の人にごはんと水をお願いして、家に置きっぱなしで出かけることもありました。
それでも、寒い冬は風よけを立て、犬小屋に毛布を敷いたり、暑い夏は日よけを作ったりはしていましたし、病気になれば獣医さんに診せたりしていたので、愛情はあったと思います。
当時飼っていた二匹の犬達も、そんな生活でも満足していたと思います。
しかし、私は、その当時から、「もし、将来自分の犬を飼うのなら、絶対に家の中で一緒に暮らそう。旅行も連れて行こう。何よりも、犬を優先した生活をしよう」と言う理想を思い描いていました。

「理想を叶える時期」の到来

ガッツポーズをする女性

息子が大学生になり、やっと子育てから解放され、「犬を飼うため」だけに、フルタイムの仕事も辞めて、好きな時間に自由に働けるパート勤務の仕事に変わりました。
私が長年胸の中に温めていた「犬との理想的な暮らし」を叶えるための時期がいよいよやってきたのです。
そして、縁あって、わが家の長女として、生後3か月のめいぷるを迎えることになりました。
長い年月の間に、世の中の犬との暮らし方は変わっていて、私が若いころから思い描いていた「理想」の項目より、さらに「理想」が増えていました。

私が思い描いていた「犬との理想的な暮らし」とは?

ドックランで遊ぶ柴犬

ドックランに行って遊ぶ

まだ、全く犬を迎える予定もない頃から、ドックカフェとドックラン、ドックプール、トリミングサロンが併設されている大型のペットショップによく出かけていました。
そのドックランで、たくさんのわんちゃんたちが楽しそうにじゃれたり、追いかけっこをして遊んでいる姿を見て、「いつか迎える私のコも、他のわんちゃんたちと仲良く、好きなだけこのお店で遊ばせよう!」と思っていました。

ドックカフェに行く

ドックカフェにいる女性と犬

これもまた、全く「家族を迎える」という予定もない頃から、アメリカン・コッカースパニエルのオーナーさんたちのブログを毎日のように拝見していました。
可愛いスヌードをつけて、おしゃれなカフェで美味しいワンメニューを食べている姿のなんて幸せそうで、素敵な事でしょう!
「いつか私も、こんな風に自分のコと一緒に、おしゃれなドックカフェめぐりを楽しむんだ!」という「理想」は、そんな記事を読むたびに、どんどん膨らんでいくのでした。

ブログを立ち上げて、たくさんのワン友と交流する

やはり、不定期に更新されるブログよりも、毎日、少しでも楽しい記事を更新されたり、オフ会などを企画されたりするブロガーさんの記事は、自分がまだ犬を飼える状況ではない日々の中で、本当に楽しみでした。
おでかけしたり、おいしいものを食べたり、日々の生活の中の何気ない出来事が面白おかしく、心が癒される内容のたくさんのブログ。
そして、そのブログにコメントをすることで、ブログ主さんと交流している人たちの仲の良さや楽しさがうらやましくて仕方ありませんでした。
「いつか、私も自分のコを迎えたら、絶対、毎日、更新するブログを始める!」と、心に決めていたのですが…。

キレイに整備された公園で散歩をする

お花と犬

私の住んでいる地方には、自然の地形を生かした公園や、史跡を保存するために整備された公園がいくつもあります。
季節ごとに花が咲いていて、いわゆる地元の人の「憩いの場」になっている素敵な場所で、「きっと、このお花畑のような公園を、可愛いお洋服やスヌードを付けて散歩をすれば、
とても気持ちもよく、楽しいはず!」という理想を描いて、そんな素敵な公園をいくつもピックアップしていたのですが…。

いきつけのトリミングサロンでいつもおしゃれなカットを楽しむ

トリミングとシュナイザー

親と一緒に暮らしていた頃は、母が散髪屋さんの知り合いから譲り受けたバリカンで二匹のコッカースパニエルのカットをしていました。
私の記憶では、トリミングに出したのは、母犬のゴールディが8歳で亡くなるまでに1回、娘のチュパが13歳で亡くなるまでに2~3回ぐらいだったと思います。
アメリカン・コッカースパニエルと言えば、ディズニーのわんわん物語の「レディ」を思い浮かべていた私は、「自分のコは、フルコートは無理でも、いつもキレイにトリミングをして、可愛らしい姿にする!最低でも、二か月に一回はトリミングをお願いする!いきつけのトリマーさんとも仲良くなって、普段の手入れの仕方とかも教えてもらいたい!」という理想を持っていました。

私の「犬との暮らし」の現実

床に伏せる犬

他の犬と遊べないめいぷる

めいぷるは、5匹兄弟で生後3か月を迎える直前まで兄弟の中で元気に育ちました。
兄弟仲良く遊んだり、ご飯を食べたりして過ごしていたので、他の犬とも仲良くできると思っていました。
そして、めいぷるの予防接種が済み、秋口くらいの心地よい季節に、初めてドックランに連れて行きました。
ところが、生まれて初めて出かけたドックランで、めいぷるは大人の犬に背中を咬まれて、怪我をしてしまったのです。
おそらく、その経験から、「たくさんの犬がいる場所は怖い」と思ったのか、それ以後、何度かドックランに連れて行ったのですが、全くほかの犬に近づこうとしません。
上手に挨拶して、「遊ぼうよ」と誘ってくれる犬がいても、まるで「犬語」がわからないかのように、めいぷるは、他の犬と全く交流できないのです。
ドックランの中のめいぷるの顔は、緊張で強張り、目は泳いでいて、私から2メートル以上離れず、全く楽しそうではありません。
私が理想として思い描いていた姿とは、あまりにも現実はかけ離れていました。

ドックカフェはストレス以外の何物でもないめいぷる

ドックランと並行して、「ドックカフェに行く」という理想を叶えようと、何度かドックカフェにも行きました。
コッカースパニエルは、とても食い意地の張った犬種ですので、「人間の食べ物を欲しがってはいけない」とトレーニングされていたとしても、「食べたい!」という欲求を自分で抑え込んで静かにしていることなど、めいぷるにとっては、苦痛以外の何物でもなかったでしょう。
また、私にしても、床に滴り落ちるほどのヨダレを垂らして、身じろぎも瞬きもせず、私が食べている食べ物をじっと見つめているめいぷるの視線を受けながら食べるスイーツの味など、わかるはずもありません。
めいぷるにとっても、私にとっても、「ドックカフェでお茶をする」というのは、ストレスにしかならない…という現実に、思い描いていた理想は砕け散ったのでした。

ブログをする時間があるなら、散歩に行こう!

めいぷるを迎えた当初、すぐにブログを始めました。
しかし、ブログネタなどそうそう毎日あるワケもなく、更新するのも30~1時間は掛かります。
仕事し、家事をし、めいぷるとの時間を楽しく過ごしたいと思うと、あまりにも一日の時間は短くて、ブログを更新したり、写真を加工したり、頂いたコメントに返信したり、と言った時間を捻出することがだんだん難しくなってきました。
めいぷるのための時間を割いてまで、ブログをする意味はあるのだろうか?と思い至り、私は「ブログを立ち上げて、たくさんのワン友と交流する」という理想を早々に諦めて、「パソコンに向かう時間があるなら、めいぷると散歩に行く」という現実を選択したのでした。

「ペット立ち入り禁止」の公園が多い

私の住んでいる街や、その周辺にはお花がキレイに植えられていて、道も整備されている公園がたくさんあります。
しかし、なぜかペットの立ち入りを禁止している公園が殆どです。
行きたい、と夢見ていた公園も、ペット立ち入り禁止で、カートに入れても入れません。
犬を飼っていなかった頃は、これほど犬の散歩を菌敷いている公園が多いなど、想像もしていませんでした。

トリミングサロンジプシーになり、さまよう

めいぷるのトリミングを最初にお願いしたトリミングサロンは、送迎付きで、友達の紹介ということもあり、何度か利用しました。
しかし、腕が良く、トリマーさんの人柄も良いことからとても人気で、なかなか都合の良い日に予約が取れなくなり、足が遠のいていきました。

次に、かかりつけの動物病院でトリミングをお願いしてみると、とても満足のいく仕上がりにしてくれました。また、めいぷるも慣れた場所なので怖がることもなく、こちらでも数回お願いしたのですが、残念なことに、トリマーさんが動物病院を辞めてしまって、病院でトリミングをお願いすることが出来なくなりました。
次にお願いしたサロンは、散歩の途中で偶然見つけた新しいお店で、ご自宅を改装したトリミングサロンでした。このトリミングサロンで、めいぷるは足の裏や脇の下などを数か所、傷付けられてしまい、二度とこのサロンを利用することはありませんでした。
そんな経験から、なかなか行きつけのサロンが決まらず、元トリマーのお友達にカットを教えて貰って、自分でめいぷるのカットとシャンプーをしていました。
プロのトリマーさんと比べると、手際は悪いし、技術もないので、めいぷるも私もヘトヘトになります。
「いきつけのトリミングサロンでいつもおしゃれなカットを楽しむ」どころか、カットをすれば、ザンギリの虎狩りで、可愛そうなほどみっともない姿にしか出来ないという現実に、「早くいいサロンを見つけたい!」と焦るばかりでした。

理想と現実が違っても、楽しくて幸せな毎日

走っている犬

犬の十戒に励まされる「私には、あなたしかいません」

他の犬と遊ぶことも出来ず、いわゆる「ワン友」が全くできないめいぷる。
外国に住んで、言葉が話せないまま暮らしているのと同じように寂しいのではないか…?と思っていました。
プロのトレーナーさんにお願いして、飼い主の私も一緒にトレーニングをしたら少しは、他の犬とも仲良くなれるのでは?と思いましたが、ふと「そこまでして、他の犬と仲良くなる必要があるのだろうか?」と考えるようになりました。
それは、犬を飼う人なら一度は聞いたことがある有名な「犬の十戒」を、ふと、声に出して読み上げたことがキッカケでした。
第4戒に、こんな言葉があります。

「私を長い間、叱ったり、罰として閉じ込めたりしないでください。あなたには、他にやることがあって、楽しみがあって、友達もいるでしょう。でも、私にはあなたしかいないのです。」

この言葉を口にして読み上げた時、いくらたくさんのワン友がいたとしても、犬にとっては飼い主だけが全てなんだ、と気が付きました。
めいぷるにとっては、わん友がいなくても、私という飼い主が全てで、私さえ生涯、ずっと変わらずに愛していれば、他の誰の愛情も必要としていないのでないか?と思い至りました。

おうちで美味しいものを食べれれば良いじゃない!

ケーキの写真

わんカフェに行くことが出来ないのなら、自分で美味しいスイーツを作って、おうちで食べれば、わんカフェ気分が味わえます。
自分で作れば、めいぷるの分も一緒に作ることも出来るし、他の人に気兼ねすることもありません。

散歩で、飼い主の私たちも健康に

ドックランに行かなくても、お花のキレイな公園に行けなくても、毎日の散歩や、週末に遠くの街へお出かけした先で散歩をするだけで、めいぷるはとても楽しそうです。
私たち夫婦も、毎日1時間近く歩いているので、長く歩いても疲れなくなって、体力もつきました。

お気に入りのトリマーさんとの運命的な出会い

いつも散歩をしているコースに、ある日新しいトリミングサロンが開店しているのを見かけました。しかし、そういった「自宅でトリミングサロン」を開店しているトリマーさんにめいぷるの体を傷つけられた経験から、そのサロンを利用するのは少し気が引けていました。
ところが、それから数日して、偶然、知り合いが可愛いヨーキーと散歩されているのを見かけ、そのカットが可愛かったので、どこのサロンでカットしているのか尋ねてみました。
そして、教えて貰ったのが、今お世話になっているサロンです。
とても丁寧で、私のリクエストにもよく応えて下さり、二か月に一度のトリミングで毎回、非常に満足のいく姿に仕上げてくれます。
まだ、開店したばかりなので、いずれはなかなか予約が取れなくなってくるかも知れないと少し心配ではありますが、これから長いお付き合いになるトリマーさんと出会えて本当に良かったと思います。
ネットの口コミよりも、実際に利用している人の口コミほど、確かなものはない…とつくづく感じました。

まとめ

犬と遊ぶ女性

「犬を飼う」「結婚をする」「家を出て一人暮らしをする」など、今、自分が生活している環境が大きく変わる時に、私たちは「理想」を思い描きます。けれど、思い描いていた「理想」が、実際に生活していくにつれ、なかなか思うようにならないという「現実」と向き合わなければならなくなった時に、落胆したり、「こんなはずではなかった」と後悔することもあります。私は、めいぷるを飼い始めたことで、思い描いていた理想とは少し違っていたこともたくさんありますが、思い描いていたよりもずっと満足して、幸せな生活を送れています。
たくさんの理想を抱いていても、そのうちのいくつがか叶わなかったからと言って、不幸せということはありません。愛犬と飼い主さんが毎日「幸せだな」と感じることが出来ていれば、
理想が叶っていなくても、とても素敵な事なのではないでしょうか。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい

あなたが知っている情報をぜひ教えてください!

※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。

年齢を選択
性別を選択
写真を付ける
書き込みに関する注意点
この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。

・過度と捉えられる批判的な書き込み
・誹謗中傷にあたる過度な書き込み
・ライター個人を誹謗中傷するような書き込み
・荒らし行為
・宣伝行為
・その他悪質と捉えられる全ての行為

※android版アプリは画像の投稿に対応しておりません。