犬の口の周りがただれる理由と予防法
「犬の口の周り」とは、以下の体の部位4つを指すこととします。
- 唇
- 口の中
- 歯茎
- 舌
「ただれる」とは、どんな状態のこと?
さて、「ただれている」とは漢字で「爛れる」と書きます。
みなさんは、「ただれている皮膚」のイメージとは、どんな状態を思い浮かべますか?
私は、「赤く腫れて、皮膚が破けている」とか、「皮膚の表面にたくさん水疱ができて、それがところどころ潰れてジュクジュクしている」とか、「赤い斑点がたくさん出来ていて、毛も抜けて肌に艶がない」状態をイメージしていました。
けれども、それは見た目だけの状態で、実際は皮膚の損傷の深さで区別され、医学的な呼び方がそれぞれ違う事がわかりました。
そもそも、「ただれ」と言う言葉自体は、医学用語ではなく、医学用語では「びらん(糜爛)」あるいは、「潰瘍」を指す意味で使われています。
「びらん」がさらに悪化すると、「潰瘍」と呼ばれる状態になります。
では、どのように悪化したら、「びらん」は、「潰瘍」と呼ばれるようになるのでしょうか?
実はとっても薄く、デリケートな犬の皮膚
犬の皮膚は、人間と比較すると、なんとわずか1/5~1/6程度の厚さしかありません。
これは、人間の体は被毛で覆われていないので、その分、皮膚が厚く丈夫になっているからです。それに対して、犬は被毛で皮膚が覆われているため、その分、皮膚が薄くなっています。
ですから、犬の皮膚は、人間よりもずっと刺激や乾燥に弱いのです。
「ただれている状態」が軽度の場合
皮膚には、体の表面を覆っている「表皮」、その下にある「真皮」があります。
真皮の中には、汗を出す皮脂腺、ニオイを出すアポクリン腺、毛根などがあります。
医学的に「びらん」とされるのは、皮膚のダメージが「表皮」のみに留まっている状態を言います。
この状態で治療を完了できれば、痕はほとんど残らないと言われています。
「だたれている状態」が重度の場合
表皮だけではなく、真皮にまでダメージが及んでくると「潰瘍」と言う状態になります。
患部を一見しただけでは、「びらん」なのか、「潰瘍」なのかの判断が難しい場合もあります。
唇がただれている時に考えられる理由と予防法
1.口唇炎
細菌の感染や、アレルギー、怪我などが原因で、唇に炎症が起きている状態です。
痒みや痛みがあり、赤く腫れて、悪化すると化膿して、悪臭を放つこともあります。
2.濃皮症
膿皮症の中でも、「表面性膿皮症」と呼ばれる症状があります。
これは、体力が落ちたり、皮膚の上に住んでいる常在菌同士のバランスが崩れたりといったことが原因で、体の表面にニキビのようなデキモノが出来、放っておくとニキビは増えて、潰れ、化膿してしまうこともあります。
予防法
まず、口の周りを常に清潔に保つことです。
特に、唇が肉厚な犬種、よだれが多い犬種などは特に注意が必要です。
また、口内炎、膿皮症いずれも、獣医さんにしっかりと検査して貰わないと、原因を特定できません。
素人判断で投薬したり、患部に売薬を塗ったりせず、必ず動物病院を受診しましょう。
口の中がただれている場合に考えられる理由と予防法
口内炎
犬の口内炎は、口の中の粘膜や、歯茎周辺など、口の中の皮膚に炎症が起こっている状態です。
食事のスピードが遅い、口の周りを異常に気にする、ふだんは出ないのにヨダレが大量に出る、と言った兆候があれば、愛犬の口の中をチェックしてみましょう。
健康であれば、ピンク色をしている場所の中に、赤く腫れていたり、白く変色しているような箇所があれば、それが口内炎です。
予防法
口の中を清潔に保つように、日ごろから口の中を観察し、歯垢を取り除くなど、歯の手入れをしましょう。
それでも、口内炎を何度も繰り返す場合は、他の疾病が原因の可能性もあるので、動物病院を受診して、原因を特定したうえで治療になります。
まとめ
口の中が痛いと、どんなに食いしん坊のコでも、食欲が減退してしまいます。たかが口の周りにニキビが出来ただけ、口の中に口内炎が出来ただけ、と放置していると、ずっと食事が摂れない状態では、いずれは体力が消耗しきってしまうでしょう。また、特に口内炎の場合は、内臓の疾患が原因になっていることもあるので、口の周りがただれているのを目にしたら、なるべく早く、動物病院を受診し、原因を突き止めて、早く痛みから解放してあげて下さいね。
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40代 女性 ぽち