犬の肉球が傷つく原因
犬の肉球は、外の道を歩くことで鍛えられて、少しづつ分厚く、丈夫になります。
しかし、私たち人間が素足で外の道を歩き回ると足の裏が傷だらけになるのと同じで、どんなに犬の肉球が分厚く固くなっても、外に出る以上、怪我をするリスクは避けられません。ましてや、肉球は他の部位と違い、脂肪と繊維質でパンパンに張っていて、治癒するために必要な栄養素などを送るための血管も少ないのです。そのため、一度傷がつくと、弾けるように傷が大きくなり、完治しにくい場所でもあります。
では、どんなことに気を付ければ、肉球の怪我を防ぐことが出来るのでしょうか?
街の散歩道には危険がいっぱい!
ふだん何気なく歩いている散歩道にも、肉球を傷つける要因があります。
コンビニ、ゴミ集積所の付近、道路工事の後、観光地などには、ゴミとして捨てられて割れたガラス片が落ちている場合があります。
昼間であれば、肉眼でそれらのゴミを見つけて避けることが出来ますが、夜の散歩だと気づかずに愛犬が踏んでしまうかもしれません。
未舗装の道にも、肉球を傷つける原因が…
アスファルトで舗装されていない、土がむき出しの未舗装の道や、ハイキングなどで歩く山道、浜辺、川べりなど、細かい石が地面に敷き詰められている場所も要注意です。
鋭利で小さい石が肉球の間に挟まって、肉球を傷つけてしまうことがあります。
また、特に海岸、防波堤など、釣りをする人がよくいる場所を歩く時は、魚釣り用の針が落ちていて、その針が肉球に刺さることも考えられます。
アスファルトの温度に注意!
アスファルトは、夏場、非常に高温になります。特に気温が40度以上の暑さになる日中、アスファルトの表面温度は60度を超える高温になり、犬の肉球が火傷してしまうほどの暑さになります。
乾燥によるひび割れ
乾燥や加齢などが原因で、肉球の表面がひび割れてしまうことがあります。
犬の肉球の役割
私たち人間の身体で例えると、犬の肉球に当たるのは「足の裏」あるいは、「手のひら」だと思います。
「足の裏」は「第二の心臓」と言われていますし、手のひらも、東洋医学では「人体の縮小版」と言われるほど、たくさんのツボがあるのだとか。健康にとっても、とても大切な場所である「肉球」ですが、私たち人間は、その肉球を地面を踏みしめて歩いたり、モノを掴んだり、持ったりするために使っています。
では、犬にとって肉球とはどんな役割を果たしているのでしょうか?
1.歩行の際の吸収を和らげるクッションの役割
コラーゲンや繊維質が多く、子犬から成犬になる期間に定期的に外の道を歩かせることで足の裏が分厚くなり、体へ伝わる衝撃を緩和する役割があります。
2.体温調整の役割
犬の肉球には、犬の体で唯一、汗を出す汗腺があります。
この汗腺から、肉球に潤いを与えてたり、滑りにくくするための汗が出ていると考えられています。
家庭でできる肉球のケア
散歩ルートの安全を確保する
昼間の散歩であれば、地面に何か異物や危険なモノが落ちていても、目視で避けることが出来ます。しかし、夜に散歩に行く場合は出来るだけ地面を照らすライトなどを携帯するか、街灯が明るい安全を確保できる場所を散歩のコースに選びましょう。
「ながら散歩」はしない
最近、スマートフォンを見ながら犬の散歩をしているのをよく目にします。
愛犬を一切見ず、スマートフォンだけを見て散歩をするのは、真っ暗な夜道を手探りで歩いているのと同じです。肉球を傷つける心配だけでなく、飼い主の見ていない間に拾い食いをする危険もあります。
スマートフォンを見ながらではなく、愛犬が危険な目に遭うことがないように気を配りましょう。
清潔を保つ
散歩から帰った後、肉球の間に石やゴミが挟まっていないか、肉球にひび割れがないかをチェックし、濡れタオルで汚れをふき取るなど、肉球を清潔に保ちましょう。
保湿する
肉球がカサカサして、乾燥しているな…と思ったら、保湿クリームを塗りましょう。
特にシニア期の犬の肉球は乾燥しやすくなっています。
犬用のクリームは馬油などさまざまな種類がありますが、どれを選べば良いか迷ったら、かかりつけの獣医さんか、行きつけのトリマーさんに相談してみましょう。
肉球付近の毛を短く保つ
肉球の周りの毛が伸びていると、滑りやすくなります。
また、保湿クリームを塗る際に毛につくと、ベタついて余計に滑りやすくなり怪我のもとになります。
トリミングサロンによっては、肉球付近の毛だけを刈ってくれるサービスもありますので、こまめにチェックし肉球付近の毛が延びすぎないように気を付けましょう。
まとめ
犬にとっての肉球は、急所なのであまり触られたくない場所です。しかし、飼い主さんが愛犬の肉球のニオイを嗅いだり、愛犬の肉球をケアするために肉球に触れるのを嫌がらないのであれば、とても深い信頼関係が出来ている証拠です。毛並み、歯、目、耳、排泄物の様子など、愛犬の健康を維持するために気を配らなければいけない要素はたくさんありますが、さらに、肉球の状態を見て、肉球のケアもする…という要素も、ぜひ、加えて欲しいと思います。