実は犬のサイズ規定は存在しない?
今回は犬の大きさが小型犬、中型犬、大型犬と一般的に区別される中で、どのような定義に基づいて区別されているのかをご紹介してきますが、そもそも公式には犬の大きさはサイズ毎に分類されていないという事実をご存知でしょうか。
JKCでは用途別に分類されている
日本国内の犬種標準を指定している一般社団法人『ジャパンケネルクラブ(JKC)』では、大きさによって区別されるのではなく、元々その犬種がどのような用途で活躍していたか、また形態によってグループ毎に分類されています。
そのグループ(G)は10の数に分かれており、下記のように区別されています。
- 1G 牧羊犬・牧畜犬
- 2G 使役犬
- 3G テリア(小獣猟犬)
- 4G ダックスフンド(獣猟犬)
- 5G 原始的な犬・スピッツ
- 6G 嗅覚ハウンド(嗅覚獣猟犬)
- 7G ポインタ・セター(鳥猟犬)
- 8G 7G以外の鳥猟犬
- 9G 愛玩犬&家庭犬
- 10G 視覚ハウンド(視覚獣猟犬)
意外な犬種が意外なグループに属されていることもあり、JKCの分類表を見るだけでも犬種毎にどのような役割があるのか、また何が得意なのかを知ることができるため、非常に興味深い表になっています。
鈴木桂子
ジャパンケンネルクラブの分類は、その犬が担っていた仕事によっての分類が主体です。これは『国際畜犬連盟(FCI)』の則ったもので、主にドッグ・ショウでのグループ分けとして知られています。
特に狩猟犬の分類は獲物(キツネ・ウサギなど)が何であったか、何を得意として狩猟したか(嗅覚・視覚など)ごとに分類されおり、その狩猟目的のために改良されてきた犬種だということが分かります。
自分の愛犬の特徴を知るうえで役立ちますし、また犬種ごとに「スタンダード」という標準が表示されているので、基本のサイズを知ることもできます。
日本犬保存協会にて柴犬は小型犬に分類
また、JKCとは別の日本犬保存協会では、また違った分類が行われています。この日本犬保存協会は名前の通り、日本犬に関する研究や保護を目的とした団体のため、日本犬のみ取り扱っています。
この協会では、ふるまいや俊敏性、体高によってサイズの定義が定められています。この定義において、小型の部には柴犬、中型の部には紀州犬や四国犬、甲斐犬、北海道犬が、大型の部には秋田犬が属しています。
一般的に柴犬は中型犬として表記されることが多いですが、日本犬保存協会において柴犬は日本犬の中では小型犬に分類されていることがわかります。
鈴木桂子
近年、海外でも人気の日本犬ですが、先ほどの『国際畜犬連盟(FCI)』では「原始的な犬・スピッツ」という古来からの犬種に属します。海外ではやや小型化されたものが主で、洋犬にはない巻尾や差尾が人気です。
「日本犬保存協会」は天然記念物である日本犬6種の純血種の保存に力を入れており、犬籍簿(けんせきぼ)が整備され、各犬種の「スタンダード」が規定されているので、日本犬を飼っておられる方は参考にされるとよいでしょう。
一般的な犬の大きさを分類する定義とは
前述したとおり、公式に大きさが区別されていることはありませんが、一般的に犬は「小型犬、中型犬、大型犬」と大きく3つに区別することができます。
チワワやトイプードルなどは「小型犬」、柴犬やコーギーなどは「中型犬」、レトリバー犬種やハスキー犬は「大型犬」に分類されます。この区別をするためには、いったいどのような定義があるのでしょうか。
1.体重
まず、体重が定義の1つとして挙げられます。前述したとおり、公式に決められている定義はありませんが、一般的には10kgまでを「小型犬」、10~25kgまでを「中型犬」、そして25kg以上は「大型犬」として区別されることが多いです。
しかし、中にはこの3つに分類するのではなく、より細かく分類し「超小型犬」と「超大型犬」が含まれることがあります。
この「超小型犬」と「超大型犬」が含まれる場合には、チワワやヨークシャー・テリアなどの5kg未満の犬種を「超小型犬」とし、グレート・デーンやバーニーズ・マウンテン・ドッグなどの40kgを超える犬種を「超大型犬」として見なします。
鈴木桂子
通常「小型犬・10kg未満」「中型犬・25㎏未満」「大型犬・25㎏以上」というように、体重で3つに分類される事が多く、一番わかりやすい分け方です。
純血種であれば、それぞれの「スタンダード」標準値が、体重や体高は無論のこと、尾の長さや歩き方などまで細かく規定されています。ぜひ参考にしてみてください。
2.体高
続いて体高がサイズ定義の基準として挙げられます。体高とは、犬が立った状態で測った体の高さを示します。しかしこの時、頭は含まれず、地面(足)から背中までの高さを「体高」とすることがほとんどです。
体高でサイズを定義する場合、一般的には体高が40cm未満の犬種が「小型犬」、40~60cm程度の体高を持つ犬種が「中型犬」、そしてそれ以上の体高を持つ犬種が「大型犬」に区別されます。
鈴木桂子
愛犬の体重は知っていても、「体高」を知っている方は少ないのではないでしょうか。犬の「体高」は、地面から首と肩の付け根の「きっ甲」と呼ばれる骨のところまでの高さを言います。
獣医さんでも測ってもらえるので、愛犬の体高もぜひチェックしておきましょう。
3.犬種の平均値を基準
ここまでご紹介してきたように、一般的に「この犬種は小型犬です」というように区別されるサイズは公式ではありませんが、区別される場合には体重と体高を基準として分けられます。
しかし、それぞれ同じ犬種であってもやせ形の子から少々肥満気味と診断される子まで様々ですので、1頭ずつ体重にも違いが見られるでしょう。そのため、犬種毎に区別する場合には、その犬種の一般的な平均値を見てサイズ分類されます。
もしも、自分の家の愛犬が許容範囲内の体重を超えてしまっている、あるいは達していない場合には、運動量や食事量を管理し、適切な体重をキープできるよう心がけましょう。
鈴木桂子
愛犬の健康維持のためには、体重管理が非常に大切です。まず「標準値」を知り、そして自分の愛犬のベスト体重を割り出しましょう。
同じ犬種でも体形は様々です、短毛種の場合は肋骨が目で分かるくらいがベスト、骨がはっきり見えるのは痩せ過ぎで、逆に全く肋骨が見えないのは太り過ぎです。
長毛種の場合は、触ってみてすぐに骨がごつっと当たれば痩せすぎ、探って分らないようなら太り過ぎです。小まめに体重測定を行い、体重を把握することは病気の予防になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したように、公式には犬をサイズで区別することがありません。しかし、ペットショップやメディアで区別される場合には、最後にご紹介した体重と体高が目安になっていることが多いです。
ぜひこの機会に愛犬はどのサイズに分類されるのか、一度計測してみてはいかがでしょう。
鈴木桂子
一般的には理想体重より15%以上増えると肥満の状態です。逆に体重が減少するのは何かしらの病気の兆候の可能性があります。
成長期は小型犬で10か月齢、中型犬で12か月齢、大型犬で18か月齢辺りまでで、サイズはほぼ確定します。それ以降、最も重要なのは体重管理です。
また、飼い主が愛犬の健康を把握するうえで、最もわかりやすいのが体重の変移と言えます。「スタンダード」の体重・体高を参考として知っておくことは、愛犬の健康管理に役立ちますよ。
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