室内犬のための部屋の作り方
ケージやサークルはリビングに設置する
犬を室内で飼う場合、ケージやサークルをはじめ、トイレやおもちゃなどの犬用グッズを部屋の中に用意する必要があります。
犬は人間と一緒にいることで落ち着くことができるため、人の出入りが多く家族の姿が見える場所にケージやサークルを配置してあげましょう。
特に子犬の場合、孤立することを嫌がる傾向があります。そういった場合には「犬専用の部屋」を用意するのではなく、ケージやサークルを活用しながらリビングで育てるのも1つの方法です。
放し飼いを避ける
犬は自分の居場所があると落ち着くことが分かっており、放し飼いにしておくことでわがままな犬になったり、外へ飛び出してしまったりすることがあります。
そのため、犬を室内で飼う場合でもケージを設置し、放し飼いは避けた方がよいでしょう。ただし入れっぱなしにしないよう気を付けます。
放し飼いは、犬が部屋を自由に動き回れるため一見よいことのように感じますが、犬にとっては自分の居場所がないことがストレスになっている可能性もあります。
特に多頭飼いの場合、それぞれの犬に1つずつケージやサークルを用意し、安心して休める空間を作ることが大切です。多頭飼いの場合、自然と順位付けが付くので自分のお気に入りの場所を確保するようになります。
滑りにくい床材を使用する
室内犬のための部屋作りで気をつけたいポイントは、「犬が過ごすスペースの床材の選び方」です。
滑りやすい床材(フローリング)は、犬が滑って転んだり足腰に負担をかけたりする可能性があります。安全のために、犬の足腰に負担が少ないカーペットやコルクマットの設置、滑り止めのワックスを塗るといった対策を考えましょう。
カーペットは毛足の短いもので、体調の悪い時に吐いたりしてもすぐに洗えるものや、一部だけが取り換えられるタイル状タイプが便利です。
また畳が敷かれた和室は、犬がかじったり爪で引っ掻いたりすることで畳がボロボロになってしまうため、犬を飼う部屋としては適していません。
快適な温度設定にする
部屋作りの最後のポイントは、快適な室温に設定することです。
特に留守番をさせるなど、長い時間に渡って家を空ける場合には、犬にとって快適な温度や環境を保てるような対策が必要です。犬が快適に過ごせる室温の目安は次の通りです。
- シングルコートの犬種は、夏季22~25℃、冬季20~25℃
- ダブルコートの犬種は、夏季23~26℃、冬季19~23℃
犬が快適に過ごせる適温は、被毛の種類や犬種によって異なります。シングルコートの犬種に比べ、換毛期のあるダブルコートの犬種の方が被毛が厚く、寒さにも強い傾向があります。
鈴木桂子
室内で犬を飼う場合、基本となるのは犬が落ち着ける場所を確保することです。ケージやサークルの方が落ち着ける犬であればそこ、人の出入りのない静かな場所を好むならそういった場所、それぞれの個性によって対応した方がより快適です。
室内飼いの場合、あくまでも人との共生が主であり、犬が優先されるべきではありません。人も犬も少し我慢、少し譲る、どちらかが一方的に優先されたり、我慢を強いられたりしない、そんな感じで暮らした方が10数年を共に暮らすには心地よいです。
飼い主が不安に感じることは、犬に伝播し落ち着きのない子になります。飼い主がゆったり暮らしていることが、一番大事なことです。
犬の部屋の作り方の注意点
犬の臭い対策
室内で犬を飼うと、犬の臭いや落ちている抜け毛が気になることがあります。
部屋の臭いの原因は、犬自身から発生する体臭や排泄物、口臭など様々なことが考えられます。また、高齢になるほど臭いが強くなる傾向があり、肛門腺や皮膚炎などが原因とされています。
犬によって臭いの原因は異なりますが、歩き回ったり寝転がったりする場所は臭いが染みつきやすくなります。そのため、定期的なブラッシングやシャンプー、歯磨きといった体を清潔に保つケアに加え、換気やトイレシートをこまめに替えるなどの消臭対策を行いましょう。
犬が安全に過ごせる環境を整える
室内犬がいる場合、日頃から誤飲誤食や事故には十分気をつけなければなりません。人間にとっては何でもないものが、犬にとっては命に関わる事故に繋がる可能性があることを覚えておきましょう。
犬が食べると中毒症状を起こす危険がある食べ物を置かないことや、電気コード類などの危険なものを部屋から片付けることが対策として考えられます。また、家具の配置を工夫したり、階段やストーブといった危険なところには犬用の柵やスロープをつけるなどの対策も考えましょう。
滑りやすい階段を勢いよく下ると、椎間板ヘルニアなどを引き起こす原因になります。そのままの勢いで飛び出さないように、柵のところでいったん待たせるなどした方が安全です。
鈴木桂子
フロアスタンドや背の高い扇風機なども注意が必要です。コードなども束ねてカバーをするなど、見えないようにします。
中型犬や大型犬になると前脚の届く位置も高くなり、尻尾の力も強靭です。尻尾を激しく振った時に、尻尾の先が金属などに当たり切れてしまうことがあります。その状態で尻尾を振ると壁や床などに血が飛び散って、大変なことになってしまいます。むき出しの金属物など危険なものはどけておきます。
また、室内プランターも子犬の時などは良い遊び場所になり、土を掘ってしまうのでカバーをしたり柵を儲けたりするなどの工夫が必要です。
ハイドロボールも誤飲しやすいので気を付けます。室内プランターの肥料にも触れさせないようにしましょう。
犬の部屋のレイアウト
部屋のレイアウトについて
犬の部屋を考えるときには、部屋の間取りや家具の配置といったレイアウトも意識して作るとよいでしょう。中でも犬がリラックスして快適に過ごせるよう、部屋の仕切り方には工夫が必要です。
室内で飼う場合、散歩から戻ってきたとき用に足の洗い場を確保できると便利です。
人間と犬の違いを理解したうえで、お互いが気持ちよく過ごせるアイデアを部屋作りに活かしましょう。
レイアウトの工夫
犬は、もともと群れで生活していた生き物です。そのため、忠誠心が強く人間にも従順ですが、留守番などで一人で過ごす時間が苦手です。
そのため部屋の中で犬と暮らす場合、ふれ合う機会を多く持てるような空間作りを意識することがポイントとなります。また、犬の目線で安全を考えることも大切です。
- 階段は緩やかに作る
- 日光浴ができる見晴らし窓をつける
- 犬専用のスペースを作る
- 犬用のフェンスを設置する
- 犬の出入りを考えてドアとゲートを使い分ける
犬が部屋の中で暮らすときは、基本的にドアを閉めず犬が自由に出入りできるようにしてください。安全性に配慮し、ドアにストッパーなどをつけておけば、犬が誤って挟まれるといった事故も避けることができます。
また、キッチン・階段前・ベランダなど、犬に出入りを自由にしてもらいたくない場所は、床や壁にしっかりと固定できる犬用のゲートやフェンスを設置することで危険を回避することができます。
ジャンプ力がある犬の場合、飛び越えられないように高さのあるハイゲートを選ぶことをおすすめします。
鈴木桂子
ごみ箱は蓋付きにするのはもちろんですが、ペダル式は利口な犬だと開けかねないので(人の行動をよく観察しているタイプは学習能力が高い)、基本ゴミ箱は見えないようにしておくのがよいでしょう。
一度友人の犬がペダル式のごみ箱を開け、魚の骨を食べてしまい、喉に穴が開いて大変だったことがあります。生ごみは隠しましょう。
レイアウトの注意点
犬がリラックスして過ごせるように、家族の動線ではないところに犬の部屋となるスペースを作ってあげるとよいでしょう。またトイレスペースとベッドを一緒にすると、犬がトイレの上で寝てしまう癖がつくので避けましょう。
犬が食事をしているときに子どもが手を出すと犬にケガを負わされることもあるため、子どもがいる家庭では飲み水置き場やえさ置き場を決めるときにも配慮が必要です。
犬の部屋のインテリア
犬がいるとどうしても部屋が散らかってしまい、インテリアにこだわるのは難しいと考える方がいます。しかし、少しの工夫で、犬が暮らしやすい環境を作りつつ、飼い主さんの好みのインテリアを部屋の中に取り入れることも可能です。
インテリアの選び方
リビングやダイニング、テラスなど、家族がくつろぐ部屋に犬のくつろぐスペースを作る場合は、部屋のテイストに合う犬用のラグマットなどを選ぶとインテリアにも合わせることができます。
またソファや椅子は、家具を汚れから守ってくれる防水加工が施させれているもの、カーテンは遮光性と防音性を兼ね備えたものを選ぶとよいでしょう。
インテリアの注意点
犬にとって危険なものは部屋に置かないことを基本とし、転倒の可能性のある「背の高い家具や家電」を選ばないように気をつけましょう。
ルームランプのように固定されていない不安定な家具は、犬のいる空間には絶対に置かないようにすることが大切です。本棚など取り付ける際に固定できるものは、しっかりと固定できるように工夫してから配置しましょう。
部屋に置くゴミ箱を蓋がないタイプにすると、犬がごみ箱の中身を漁って誤飲誤食をしてしまう危険性が高まります。そのため基本的には蓋付きのゴミ箱を選ぶことをおすすめします。
鈴木桂子
犬は家族とくつろぐソファが大好きです。もし、犬にソファやベッドも開放するのなら、洗えるカバーを用意しましょう。
ソファは滑りやすい皮革タイプは爪で皮革が裂けたりもしますし、カバーをかけにくいので、滑りにくい布などの素材の方がよいでしょう。
簡単に洗える木綿などのおしゃれな、キングサイズ用のベッドカバーを何枚か用意しておいて、汚れたらすぐ掛けかえるようにするととても重宝します。
まとめ
室内で飼う犬の部屋作りにはポイントがあり、犬が快適に過ごすためにはちょっとした工夫が必要なことが分かりました。
いくつかのポイントを押さえれば、犬が暮らしやすい環境を保ちつつ、おしゃれな部屋を作ることが可能です。今回紹介したポイントを参考に、犬との暮らしを楽しめるとよいですね。
鈴木桂子
室内で犬を飼うには、余分な家具は極力減らし、人と犬がゆったりとすれ違える広さを工夫する必要があります。床にものを置かない工夫、危険なものを出しっぱなしにしておかない習慣が必要になるでしょう。
犬を可愛がり過ぎるがために、何でも犬のためにと過剰になって飼い主側にストレスがかかるのは快適な暮らしとは言えません。無理せず暮らせる工夫が、自然と各家庭のライフスタイルとなっていくのが理想です。
インテリアもクッションや毛布、カバーなどの色を選ぶことで随分幅が広がります。飼い主が寛げる場所、そこは愛犬にとっても寛げる大切な場所です。