犬を『スマホ撮影』するときのNG行為3つ

犬を『スマホ撮影』するときのNG行為3つ

愛犬の写真をスマホで日常的に撮影する方が多いことと思います。しかし、スマホでの撮影時に注意点を守らないと愛犬の目に影響を及ぼしたり、愛犬に強いストレスを与えてしまう恐れがあります。今回は、スマホで愛犬を撮影する際に気を付けたいポイントについて解説いたします。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

1.フラッシュを使う×

スマホのフラッシュ

フラッシュが犬に与える危険

長時間にわたり犬がフラッシュのような強い光を直視してしまうことで

  • 網膜の炎症
  • 網膜の剥離
  • 失明
  • けいれん

などを引き起こす恐れがあります。

ただ、1回フラッシュを見てしまったからと言って網膜が重篤な状態になることはあまり考えられません。しかし、長時間にわたって強い光を受けることで網膜への深刻なダメージが考えられます。強い光を受けてショック状態になるけいれん発作に関しては、1回のフラッシュでも起こりうるとされていますので注意が必要です。

犬はフラッシュにかまえることができない

暗い場所での撮影で使うフラッシュ(ストロボ)は、瞬間的に強い光を放ちます。人間の大人であればフラッシュの存在を知っていますので、ある程度フラッシュに心構えすることができます。

しかし、動物の場合はフラッシュの存在を知らないため、突然の強い光に備えることができません。人間であっても、至近距離でフラッシュを受けると目への刺激が強すぎるものです。

犬は「タペタム」によって光を多くとらえられる

目から受けた光は、瞳の奥にある「網膜」で電気信号に変換され脳へと伝達されます。網膜はフラッシュのような強い光を受けると強いショックを受ける危険性があります。

なぜなら、犬の目の網膜の後ろには人間にはない「タペタム」という層があるためです。タペタムは暗い場所でも視力をサポートするために、光を眼球内で反射させる役割があります。

フラッシュを使用して犬や猫を撮影した際に目が緑や赤に光ることがあるのは、このタペタムの層にフラッシュの光が反射しているためです。ただでさえ光をとらえやすいタペタムのある犬にとって、フラッシュの光は刺激が強すぎるのです。

2.シャッター音△

耳を立てて上目遣いの犬

犬は突然の音でビックリするのが苦手

犬は優れた聴力により、音に敏感に反応し危険を察知しようとします。人の話し声や他の犬が吠える声に反応して吠えてしまう子もいますし、花火や雷を怖がる子も多いです。しかし、中には「これのどこが怖いの?」と思ってしまうような普通の生活音に恐怖心を抱いているわんちゃんも多くいます。

その中には「カメラのシャッター音」「カメラのピントを合わせる音」も含まれているのです。犬は「突然の音」に強く反応しやすいため、いきなり鳴るシャッター音にビックリしてしまうことが考えられます。

海外のスマホにはシャッター音をオンオフできるものも多くあるそうですが、現在の日本のスマホは盗撮防止を目的にシャッター音を消すことができないものがほとんどです。スマホで愛犬を撮影する際には、愛犬がシャッター音やピント調節の音にストレスを感じていないかを知っておくことが大切です。

平気な子と苦手な子がいる

これはわんちゃんによって差が出るところで「シャッター音がするとカメラ目線をくれる」という子もいれば「シャッター音がすると逃げてしまう」という子もいます。ちなみに、我が家の愛犬もスマホカメラのシャッター音に怯えてしまいます。時にはガタガタと震えてしまうほどなので、それを知ってからはスマホカメラでの撮影は自粛しています。

イヤな記憶と音が結び付いている可能性も

シャッター音はもとより、カメラのピントを合わせる音はとても些細なものです。しかし、そんな音ですら犬の恐怖の対象となり得てしまいます。犬がたとえ些細な音であっても怯えてしまうのは「突然音がしてビックリするから」ということのほかに「その音とイヤな記憶が結び付いている状態」であることも考えられます。

もし苦手な音を克服できるとしたら、それらの音が良い記憶と結び付くことが必要です。撮影の際におやつを使用して「シャッター音がするとおやつがもらえる」という良い結び付きができれば、音に対する苦手意識が軽減される可能性があります。しかし決して無理はしないように、ゆっくりと慣れていくことが重要です。

3.無理に撮影する×

スマホのカメラ部分

無理な撮影はストレスになってしまう

人間を撮影するよりも、犬を撮影する方が難しいです。人間でしたら指示通りにポーズを取って静止していてくれますが、犬の場合は理想通りのポーズでじっとしているのは難しいためです。

さらには、理想通りのシチュエーションで撮るためにコスチュームや装飾品を使用したくなってしまいますが、これらはすべて人間都合であることを忘れずにいたいものです。わんちゃんが抵抗なく撮影させてくれる子であれば良いのですが、嫌がっている場合にはストレスを与える恐れがあるため無理に撮影をするのは控えましょう。

スマホカメラが目に見えて怖い

スマホカメラで撮影しようとすると、顔を背けたり逃げてしまう子もいます。その原因として、スマホのカメラ部分が目に見えて嫌悪感を感じていることが考えられます。スマホのカメラ部分は黒く丸く、まるで目のように見えます。

犬は相手に自分の目をじっと見つめられることを嫌がるため、撮影しようとするスマホカメラから目をそらそうとして逃げてしまうのかもしれません。犬にはこれがカメラであることは理解できませんので「なんだか見つめられてるみたいでやだなぁ…」と思っている可能性があります。

わんちゃんがカメラから顔を背けたり逃げたりするような場合にはカメラを近付け過ぎないようにして、おやつやおもちゃを使用してカメラ部分を見なくて良いように工夫すると抵抗感が軽減される可能性があります。愛犬にストレスがかからないよう、無理そうなら撮影を中止しましょう。

まとめ

スマホカメラとヨークシャーテリア

インスタグラムなどのSNSの普及により、愛犬の写真を撮ることが日課になっている方も多いのではないでしょうか?愛犬との瞬間をずっと大切にするために、手軽に撮影できるスマホカメラはとても便利です。

しかし、

  • フラッシュ
  • シャッターなどの撮影音
  • 無理な撮影

これらは愛犬の健康に影響したりストレスとなったりする恐れのあるものです。撮影する際にはフラッシュをオフにし、愛犬が嫌がったり怖がったりしている素振りがないかどうかをチェックしていてあげてください。一番大切なのは、飼い主さんの心のシャッターなのです。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 男性 YUZUパパ

    かわいい写真を撮りたい、良い写真を残したいという思いから、ついついスマホカメラを向けてしまいますが、Flashを点灯させないよう気を付けています。f(^_^;

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